カタクリの葉っぱは甘い。めっちゃ弱くて貴重な春の妖精の話

野草・山菜カタクリ


何処のご家庭にもある片栗粉、唐揚げとかトロみつけに使うやつ。あれはジャガイモとかのデンプンでできてるわけですが…

もともとはカタクリ(片栗)という植物の根っこデンプンで作ってたのをご存知でしょうか。

カタクリ
カタクリ

昔はそこら中に生えていた植物で、珍しくもなんともなかったんで使ってたんでしょうけど、そんなカタクリは東京では貴重で保護対象。

西東京のあたりでも街をあげてカタクリを保全して名物にしてたりします。

カタクリの名所の「かたくりの湯」
カタクリの名所の「かたくりの湯」、写真はgooglemapより

そのあたりにいくと、

看板「カタクリを保護しています。とらないでね。」

ってのはよく見ます。しかし植物自体はめったに見ません。保護されてるのにいないのはなぜ?(理由はこのあとすぐ!)

春の山野
初夏の山野(なにもいない)

しかしあるとき山菜採りの先生が

「山奥にいけば、カタクリがわ~~~っと生えている。一株につき一枚だけならとっても大丈夫。さっと茹でて食べると甘い。」

カタクリの群生

って話すんですよね。

「なんと興味深いことか…!?」

いつか食べてみたいと思っていたわけですが、ついに味見する機会に恵まれたのでその話をさせて下さい。

カタクリってどんな植物?

さてカタクリってどんな草か簡単に説明しときましょう。

分類はユリ科カタクリ属でユリらしく多年草。まだら模様の葉っぱ紫色の花が目印。春のごく限られた時期しか見られないため「春の妖精」などと呼ばれることもあります。

妖精と呼ばれるだけのことあって生態が不思議で、とにかくめっちゃ弱いのでそのあたりの話をさせてください。

カタクリ

①カタクリのここが弱い!!葉っぱは1ヶ月そこらで枯れる

まず葉っぱを出す時期がすごく限られていて冬の終わり~春までのみ。そのあと実をつけて枯れてしまいます。それでシーズン以外に探しても見つからないわけですね。短い間に地下茎に栄養を溜め込んで翌年のために半年以上備えるという戦略らしいですが、それにしても短すぎませんか?弱い!

ちなみに、そのカタクリの地下茎はこんな感じ。想像よりずっと大きい近い地下茎を持ち大きいもので長さ4~5cm、太さ1cmにもなるらしい。なるほど確かにデンプンがとれそう。

※掘り返すわけにもいかないので公開しているHPより画像引用させて下さい。

カタクリの地下茎
カタクリの地下茎(岐阜医療科学大学のHP「カタクリの定植活動を行いました」より引用)

②カタクリのここも弱い!葉っぱは二枚まで

どんなに大きく育っても葉っぱは二枚しかつけません。これをとっちゃうとその年はもう葉をつけないそうです。それで光合成をして栄養を得るわけで、食べ頃のをぜんぶ毎年とってたら枯れていなくなるらしい。弱い!

カタクリ

③カタクリのここ弱い!花をつけるのに7年かかる

カタクリは種から花をつけるまえにめっちゃ時間がかかる植物。最初の一年目はネギみたいにひょろっこい葉っぱを出すだけ(しかもそれが春で枯れる)。そこから花をつけられるほど大きな葉っぱに育つまでたっぷり7年はかかるらしい。気が長い!

カタクリの新芽(たぶんそう)
カタクリの新芽(たぶんそう)

…などと弱点ばかりで、ヒトのような貪欲な動物が根を掘り返して食べるとあっという間にいなくなってしまいます。今となっては貴重な植物、だいじに保護しましょう。

とはいえヒトがとらなければ増えることができるのは何かしらメリットがあるわけで、おそらく“他の植物が葉っぱを出すまでの短い期間"のニッチを埋めている植物なのかなと思います。日光を遮るライバルがおらず優位に光合成できる時期だけ葉っぱを出すのではなかろうか?

カタクリをとって食べる

さてそんなカタクリをとったのは日本海側の某所、現地に明るい方に案内していただきました(感謝!)。

山の斜面

だ~~~れもこないような山のうえを目指してのぼってゆきます。まだ残る雪をよけて登っていくことしばらく。

コゴミまみれの山菜ポイントに行き着くわけですが、そんなコゴミの隙間にカタクリが生えていました。

ててん。いました花をつけるまで育ったカタクリ。

カタクリ(花)

たくさん生えていてじゅうぶん繁殖している様子。これなら多少間引いても大丈夫でしょう。花がついてないくらいのを選んでみました。

カタクリ

一つの株から葉っぱ一枚だけね、ぷちっとな。

カタクリの葉

いくつかの株から一枚づつ。とりすぎもよくないので味見するぶんだけね。

たくさん食べるのは生命力旺盛なコゴミとかにしときましょう、

カタクリ

持ち帰ったら新鮮なうちに味をみましょう!

カタクリの葉っぱを食べてみる

とったカタクリを宿に連れてきました。

カタクリの葉

茹でて食べてみしょう。ほんの僅かな時間だけ、塩水でさっと茹でます。さっ!

カタクリの葉をゆでる

そしたら冷水でさましまして…

ゆでたカタクリの葉

水気をきったものがコチラ、完成!

カタクリの葉っぱの刺し身

ゆでたカタクリの葉

…刺し身でいいのかなこれ?

味付けにほんのり醤油をたらして…

ゆでたカタクリの葉

いただきます。もぐ!

カタクリの葉をかじる私

ん!

美味しい。ぜんっぜんアクがなくて、聞いていた通りほんのり甘いような。

ありがとうカタクリ。

まとめ

東京では貴重すぎて手をだせないカタクリの葉っぱを目当てに、雪が残る山に登ってまでして食べてみました。そのお味は聞いていた通りほんのり甘くて…たしかにこれはとっちゃうな~!という味。

たまには味見をしたいので沢山残っていてほしいものです。みなさまも保護しつつ一株から一枚だけで味見してみていただければです。掘り出して株ごと売却とかはダメですからねぜったいっ。

カタクリ(片栗)

【採取場所】奥山
【採取時期】春
ユリ科カタクリ属。春のごく僅かな期間だけ葉をつける不思議な生態をした植物。地下茎で越冬し、冬の終わりと共に地上に葉を出し光合成で栄養を蓄える。その栄養をもって春先に花を出しタネをつける。そして夏が来る前に花と葉は枯れ、地下茎のみで一年の半分以上を過ごす。この地下茎を掘り出してデンプンをとったものが「片栗粉」の元祖である。しかし繁殖までに7~9年と時間がかかる植物で、今となっては鱗茎の採取はすすめられない。

参考にさせていただいた資料:Wikipedia、ヤマケイポケット図鑑 山菜・木の実
資料参照:岐阜医療科学大学
スペシャルサンクス:案内いただいたY氏、仲間の皆様、野草の先生

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【おまけ料理レシピ】カタクリの葉っぱの刺し身

【材料】
カタクリの葉っぱ

醤油

【作り方】
1.
カタクリの葉っぱを摘む。一株一枚づつね。

2.
その日のうちに、お湯を沸かし少量の塩を加え、茹でる。
茹で時間は5秒くらい。しゃぶしゃぶする感じで。

3.
茹でたら冷水にとってさます。
さめたら水気をきる。

4.
まずは塩だけでどうぞ。
そのあと、醤油で食べてみましょう。