フェモ幼虫の杏仁豆腐とノーマル杏仁の食べ比べ。味は?美味しい?【昆虫注意】

昆虫フェモラータオオモモブトハムシ

このあいだクズを食べる昆虫の成虫、フェモラータオオモモブトハムシの成虫を食べてみたら枝豆味だった、て話をしたところなわけですが…

季節がめぐり幼虫の季節がやってきました。そうこの幼虫は杏仁豆腐の香りがするらしい、むしろこっちのほうが有名!

フェモラータオオモモブトハムシの幼虫

どれほど杏仁豆腐なのか?杏仁豆腐マニアのこの私が実際にちゃんと作ったガチ杏仁豆腐と作り比べてやろうではないですか。まさか虫がそんな杏仁豆腐の香りするわけじゃないですかあははは。

フェモラータオオモモブトハムシの幼虫のとりかた

杏仁豆腐の前にフェモラータオオモモブトハムシ(フェモと略します。長いので)の幼虫の採取方法を説明しときます。

あっ、成虫の話は前回の記事を読んで下さい!

やってきたのは去年に成虫をとった関東郊外の笹藪、季節は冬があけた3月。夏は茂っていた葉っぱがすっかり落ちて閑散とした枯草色の景色が広がっています。

フェもはクズに付く虫。まずはクズを探すところから、

クズという植物は多年草で、大きく育つとツルが木質化し木質化したツルは冬になっても枯れません。笹をかき分けてそのツルを探していきます。

ツルを見つけたら、ツルに虫こぶをさがします。フェモが卵を生むと虫こぶ(ゴール)が形成されるのです。

虫こぶはこんな感じの外見。ぷっくりとふくらんでいたり、少し盛り上がったりします。ツルが太くなると幼虫が入っていても外見に現れないことがあるので難しいところ。

フェモラータオオモモブトハムシのゴール。木がふくれて裂けているパターン
フェモラータオオモモブトハムシのゴール。盛り上がっているパターン

ゴールを見つけたらハサミやニッパーなどで幼虫を切らないように切り込みを入れます。

フェモラータオオモモブトハムシの幼虫

切り込みを入れた後は手で剥いていくとベター。木材の中に茶色い蛹室がありそこに幼虫が潜んでいます。

フェモラータオオモモブトハムシの幼虫

クズのツルは他の植物に複雑にからみついていて、ひっぱっても簡単にとれません。剪定鋏のような道具があるとはかどります。

自然の植物を伐採するのは本当はダメなんですけど、ササやクズに関してはこのあたりの自治体(近くに千葉拠点があるので)だと増えて困っていてお金をかけて草刈りしている状況です。「草刈りのお手伝いをしている」という心持でやっていきます。

ササ・クズ以外の植物は切らないほうがいいでしょう。またゴミを道路とかに放置しないように気を付けて作業します

慣れてくるとどれがフェモ入りのクズなのか見るだけでわかるようになってきます。太いクズのツルであれば1本に10匹以上のフェモが入っていることもあります。

3人で小一時間ほどフェモとりして100匹以上のフェモ幼虫を捕獲しました。

同じ場所でずっとフェモ狩りを続けているとクズ繁茂の抑制にもなりそうですね。とはいえクズは大きな根っこ(葛根)を持っているため、地上を多少切られたくらいでは死なないのですけども。

フェモ幼虫の下ごしらえは?

友人の話では「フェモ幼虫は加熱して、しばらくおくと杏仁豆腐の香りがする」とのことでした。

そんなわけで採取したフェモ幼虫はすぐに茹でます。そのままだとすぐに死んで悪くなってしまう可能性があるので迅速に。

熱湯で1分ほど、さっとゆでて冷水でさまします。

水をきって、ペーパーでくるんで清潔にして冷蔵庫で三日ほどおきます。

これで良い香りがする予定。たぶんきっとおそらくっ!

フェモ幼虫で杏仁豆腐を作る

そして数日後、ようやく杏仁豆腐づくりを始めますよ。

アーモンドパウダー+杏仁霜 VS フェモ幼虫+牛乳 で作り比べてみます。

何を隠そう私は杏仁豆腐大好き人間。杏仁豆腐はアーモンドパウダー(杏仁霜とも言う)を使います。使うアーモンドパウダーは杏仁粉100%のガチの粉のやつ。

調理手順は、

牛乳を温めて
→アーモンドパウダーないしはフェモを加え
→砂糖で味を調えて
→水で溶いた寒天を加えて
→冷やす

という一律した手順でやっていきます。
牛乳だけでなく、寒天の分量と砂糖の分量も計って同一量で二つの杏仁豆腐を作成します。

フェモは幼虫のままだとどうにもならないので、まずはミキサーで粉砕することにしました。

牛乳とフェモ幼虫をミキサーにセット!

ミキシング!ゴーーーーーー!!

ガガガガガガガガガガガガガガガ。

「なんとうことでしょう…!」

なんかでろっとしたうす肌色の液体になりました。まず食べていいものには見えませんね。

他にやってる人がいなけりゃあ、まずやらない調理。誰か知らんけど最初にやったひとはすごい。

これを軽く加熱したあと、濾します。

うーーーーん!

黄色い。

いやーーーー!最初に食べた人はすごいですねえ…。

これを残りの牛乳に加えて混ぜるとこんな感じ、うーーーーん!(笑)

アーモンドパウダーのガチ杏仁豆腐と比べるとこんな感じ。どっちがフェモかわかりますか?

はい。わかりますね。右は明らかに怪しい。失敗作の見た目をしている。なべ底が焦げたのかな?うんたぶんきっとそう。

これをタッパーに移して冷まします。

冷めたらふたをして冷蔵庫へ、ふたが黒いほうがフェモです。

おやすみグンナイまたあした~。

フェモ幼虫の杏仁豆腐の味は?美味しいの?

翌日。固まりました。

これがアーモンドパウダー入のガチ杏仁豆腐。

ふつうのアーモンドパウダーで作った杏仁豆腐

こっちがフェモラータオオモモブトハムシの幼虫のペーストで作ったフェモ杏仁豆腐。

フェモ杏仁豆腐、フェモ腐?豆味だし?

盛り付けてみました。こうなってくると違いがそれほどわからない…!!

どっちがフェモ入かわかりますか?

YES。右側のなんか不純物が浮いてるほうです。でもまあ「なべ底が焦げたんですよ~!あは~!」って言えば誤魔化せるレベル。

ではでは食べ比べてみましょう。

まずはガチ杏仁豆腐から、ぱくりもぐ。

【 手作りガチ杏仁豆腐 】

杏仁香:★★★☆☆
おいしさ:★★★☆☆

うんうん。食べなれた杏仁豆腐の味です。穏やかな杏仁香、ミルクと合わさってまろやかな味わい。

続いてフェモ杏仁豆腐。

いただきますよ、ぱくり。

【 フェモ杏仁豆腐 】

杏仁香:★☆☆☆☆
おいしさ:★★☆☆☆

「あれ?それほどでも…ない?」

杏仁な香りはほとんどなく、牛乳寒天の味がします。

「あれ!?これは失敗?間違ってフェモ牛乳寒天を作っちゃった!?」

もしくはフェモは言うほど杏仁豆腐の香りはしないのか?噂が誇張されてただけ?

…と思いきや数日後に続きます。

驚きの三日後、まさかの杏仁覚醒

それから数日後、先にガチ杏仁豆腐を食べきった私は"フェモ牛乳寒天"も食べきることにしました。

せめてフェモ感を出そうと成虫をトッピングしたりして、成虫は杏仁香しないんですけどもね、

もぐもぐ…

えっ!?

「なんだこれ!?」

「めーーーーっちゃ杏仁豆腐の香りがする!!」

【 フェモ杏仁豆腐(3日後) 】

杏仁香:★★★★★
おいしさ:★★★☆☆

数日おいたらフェモ牛乳寒天が杏仁豆腐になっていますよ!?なんならガチ杏仁豆腐より香りが強いような感じすらあります。めっちゃ香る。

結果的にうまくいったのはいいけれど、これはどういうことでしょう…?

こっから先は推測、

杏仁豆腐のあの香り、杏の種に含まれるアミグダリンという成分に由来するのですが、この成分そのものに杏仁香があるわけではなく、これが分解されて生成されるベンズアルデヒドのほうに香りがあるのですよね。

もしフェモ幼虫も同様にアミグダリンを保有していたとすると、幼虫のまま冷蔵したのでは分解が進まず、杏仁豆腐状態に加工したことで分解されて香りが出た…とすれば納得がいきます。分解のキーがわからないので、あくまで推測ですけども。(杏仁の場合は植物の酵素で分解されるそうです)

ちなみにアミグダリンの分解で青酸配糖体が生成されるので食べすぎると毒になりえます(少量ならOK)。もし同じ成分だとしたら、フェモ幼虫って食べ過ぎたらだめなやつかも…?

こっからさきは研究者に任せます。ごちそうさまでした。

まとめ

フェモラータオオモモブトハムシの幼虫から杏仁豆腐の香りがするというので、虫こぶを割って取り出して、杏仁豆腐を作ってみました。ちゃんとした杏仁豆腐と比べたところ、出来立てはフェモ杏仁豆腐は牛乳寒天とほぼ変わらない風味だったのですが、3日後に爆発的なまでに杏仁香がするようになっていました。思っていたよりも遅れてやってくるのか、加工が必要なのか、はたまた温度管理か。わからないことだらけですが貴重な体験をすることができました。

食用種ではなく安全性はよくわからないので、試す際は自己責任でどうぞよろしくお願いします。

【余談】
ネタでビワ酒(杏仁香のするお酒)入の杏仁豆腐も作ってみました。しかしこれは牛乳と合わさるとどちらかというと"ビワの味"に戻ってしまったことをお伝えします。なんで?!

フェモラータオオモモブトハムシ(学名:Sagra femorata)

【採取場所】葛の藪の中
【採取時期】冬(幼虫)、夏(成虫)
ハムシ科Sagra属。外来種であり東南アジアのインドシナ半島あたりが原産地。ゾウムシのような体系でメタリックカラー。後ろ足がバッタやカエルのような形をしているがジャンプ力はないというへんてこりんな生態。幼虫はカナブンの幼虫を似ているが小型、主食はクズであり、幼虫はクズのツルの中でクズを食べて大きくなる。

参考にさせていただいた資料:Wikipedia
スペシャルサンクス:アリサさん、昆虫好きの友人

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杏仁霜で杏仁を作ると美味しいよ!

昆虫図鑑はいいぞ!!

内村先生の食べられる本ハンドブック!いいぞ!

【おまけ料理レシピ】フェモラータオオモモブトハムシ幼虫の杏仁豆腐

【材料】
フェモラータオオモモブトハムシの幼虫
牛乳 ※特濃がうまい
寒天
ゼラチン

砂糖

【作り方】
1.
フェモラータオオモモブトハムシは採取したらすぐに熱湯でシメておく。
冷水でさまして冷蔵庫で保管、事前に寝かせる必要はないと思う。

2.
寒天とゼラチンは水と牛乳を合わせた分量に対する必要量の半分ずつ使用する。
水に入れてふやかしておく。
牛乳2:水1くらいの比率がベター。

3.
1と牛乳をミキサーで撹拌する。
鍋にうつし、沸騰させない程度に加熱する。

4.
3をザルで濾す。
ヘラでエキスをしっかり絞り出す。

5.
2を加熱して寒天とゼラチンをしっかりと溶かす。
ザルで濾してダマになったところを取り除くと舌触りがよい。

6.
3と4を合わせて、沸騰させない程度に加熱する。
砂糖を入れて甘さをつける。

7.
砂糖がしっかり溶けたら火から降ろして、さます。
ぬるくなるまで時々かき混ぜてやると、均一に固まる。

8.
ぬるくなったら容器にうつし、フタをして冷蔵庫に入れる。
そのまま3日寝かせる。驚きの杏仁風味になるはず。