タイワンリスをアイヌ風に食べる

2024年3月14日★狩猟,タイワンリス,季節【冬】


先日、三浦半島にてタイワンリスをゲットしました。

今回はそんなリスを食べてみた話をさせてください。

リスを食べてみたい

時間が少し戻るのですが、ゴールデンカムイ、という狩猟マンガアイヌマンガを読んでから、作中で主人公たちが食べたリスが美味しそうで「リスをとって食べたい!」とずっと思っていました。

 

リス、ゴールデンカムイ一巻より引用

ターゲットは狩猟鳥獣であり外来種のタイワンリス、

作中でアシリパさんが使用していたくくり罠はリスを対象にして使用できません、エアライフルで捕獲を試みることになります。

このリスは東京近辺では横浜から三浦半島までのエリアに生息しているとのことですので、ゲットするべく三浦半島の可猟区へ遠征してきました。

タイワンリスを探して三浦半島へ

三浦の林の中を歩いていると「ポト、ポトッ」と音がする。

音の原因をさぐると、木の上のほうでリスがセンダンの実をもくもくと食べているではないですか。音はタネが地面に落ちる音だったようです。

センダンの実、リス以外にも野鳥がよく食べにきます

千載一遇のチャンス!

リスがセンダンを食べるのに夢中になっているところを、下から幹レストでスットーンと狙撃。

バッチリ着弾!

落下してきたところをキャッチ、一発でとれるとは。
なんという奇跡でしょうか。

このあと、ピクリとも動かないので一度手を離したところ、気絶していただけだったことが判明。

突然逃げ出してしまい、猛烈に素手で捕まえるというトラブルが発生。野生動物を甘く見てはいけません(戒め)

さて、いろいろと苦労をしましたがぶじリスをゲットできました。すぐ近くの水場で血抜きをすませ持ち帰ります。

そんなわけで、持ち帰ってきたものがこちら、まな板におくとサイズ感を実感できますね。

両手におさまるほどのサイズであまり大きくはありません。
さて可食部はいかほどなのでしょう。

以下、解体画像はショッキングなものもあるので小さめの画像で掲載。大きく見たい人は奇特な方はクリックしてどうぞ。

まずはおなかからナイフを入れ、内臓を取り出し、

ちなみに内臓はセンダンの実がびっしり、

皮をめりっと剥いでいきます。マンガでは簡単にむけると書いていましたがけっこう固め。親指を皮と肉の合間に押し込んでムリヤリはがしていきます。

皮をむききったものがこちら、見た目は完全にネズミ系。私でもちょっぴり抵抗があるビジュアル。

モモ肉とそれ以外のお肉に切り分けてみました。皮下脂肪がほとんどないところが印象的、身軽さの邪魔になるのでしょうか。

ここまでくると食材に見えてくるから不思議ですよね。

臭いをかいでみると少し生臭さがあります。魚臭さに似た木の実系の臭さ。火を通したら消えてくれるとよいのですが…。

タイワンリスを料理する

ではさっそく料理していきましょう。まずはゴールデンカムイのアシリパさんに習いアイヌ風にいってみましょう。

リスのチタタプ(たたき)でオハウ(汁もの)を作ります!

マンガによると、チタタプを作るときは「チタタプ、チタタプ」と言いながら包丁で叩いていくとのこと、

ゴールデンカムイ一巻より引用

まるごといけるそうですので、リスの本体を叩いてチタタプにしてみます。

ではさっそく、チタタプチタタ……ン。ンンン?

いきなり頓挫。
トテトテなんて叩けませんよ…骨が硬いですよ…アシリパさん。

背骨が一般家庭にある包丁では太刀打ちできない硬さ、しかたないので除去することにしました。

では改めて、

チタタプチタタプ、

チタタ…プッ!(ガッ

チタタ…プゥ!(ゴッ)

なんだかんだ骨は硬いので斬るには気合を入れる必要があります。この言葉は気合を入れるための合言葉なのかもしれませんね!

数分間めいっぱいたたいていると、だんだんとミンチになってきました。

生臭さを少しでも解消するため、しょうがを混ぜ込んで仕上げます。

骨にあたる感覚もだいぶ減ってきました。これで完成とします。おつかれさまじぶん。

次にお汁を作っていきましょう。香り付けには、同じ場所で採取してきた野草のハマダイコンの葉っぱを入れてみます。

こちらを細かく刻んだものと、

家にあったニンジンとタマネギを入れ、お汁を作成。

味付けはもちろんオソマ味噌で!

ではでは、出来上がった汁に先程のミンチをツミレにして入れていきましょう。

ツミレに火が通ったら器に盛り付けて完成。リスのオハウ、できあがりました!

タイワンリスの味は?

では早速実食、いただきま~~す♪

ぱくっ、もぐもぐ…

おお…!頑張ってミンチにしたおかげで骨が全く気になりません。たまに歯に触れますがアクセントとして良い方向に働いてます。アリです。チタタプアリですよ。

味も…素晴らしく良い。アイヌ風にいうと「ヒンナヒンナ♪」

味噌だけの味付けですが、リスから濃い出汁がでておりスープがうまい。加えてリスのつみれも生臭さが消えており、鶏肉に似た味わいがします。鶏肉よりも風味が濃くて実に美味。

美味しかった!(残ってるのは出汁になった背骨)

お次は生臭さと真っ向勝負!
モモ肉をジュウウっと素焼きにしてみます。

焼き揚がったところで、塩をふってかぶりついてみましょう。

ガブリ、むぎゅううう!

地鶏に似た力強い弾力があります。生臭さは…なし!味も良いですね!鶏肉に似ていますが独特のコクのある旨味があります。いわゆる「ネズミ系」の旨さというのはコレなのでしょうか。

最後に残りのモモ肉で唐揚げもやっておきましょう。醤油で下味をつけ、片栗粉をまぶして揚げたものです。

バクッ…!

うまーーーーーーーーーい!!

素焼きで鶏肉っぽかったことで想像はしていましたが、唐揚げとはめちゃくちゃに相性がよいです。ブリッブリの弾力で味の濃い肉が口内を満たしてたまりません。

おしむらくは、揚げてしまうとリス感よりもトリ感が勝ってしまい「鶏肉みたいなもの」になってしまうので、リスのリスらしさが味わないトコロでしょうか(笑)

食べ方としてはマンガにでてきた汁物が、濃い出汁を味わえてイチバンかもしれません。

ごちそうさまでした!

まとめ

タイワンリスは血抜きと加熱をきちんとやれば、美味しくいただけるということがわかりました。鶏に似ていますがより旨味の強い「ネズミ味」。アミノ酸の刺激がバッチバチ。汁物にするとその強烈な旨味を余すところなく味わえます。

タイワンリスは特定外来種に指定され、駆除が行われております。身近にリスが生息している方は狩猟免許をとってリスをとって食べてみてはいかがでしょう。

タイワンリス

【採取場所】山裾、山林
【採取時期】11/15~2/15
ネズミ目リス科タイワンリス属、中国からマレー半島までの広い範囲に住むクリハラリスのうち台湾に生息する種。日本では観光用として放されたものや動物園などの個体が逃走、野生化している。雑食性で植物の葉や種子また昆虫などを食べる。ニホンリス(非狩猟鳥獣)との見分け方は耳、丸いほうがタイワンリス。

【注意】
本種は鳥獣保護法により保護されております。とるには狩猟法にしたがう必要がありますのでご注意ください。

書籍紹介コーナー

狩猟をはじめるなら、まずこの本!

リアル寄り狩猟マンガ。ためになります

狩猟の刺激に触れたい方には"熊撃ちの女"、重い話なんで注意!

【おまけレシピ】タイワンリスのオハウ

【材料】
タイワンリス x1匹
水 x1リットル
その他お好みの具材 x適量
※ダイコン、ニンジン、タマネギ、葉野菜、などがおすすめ

(調味料)
味噌 x適量
しお x適量
しょうが x大さじ1

【作り方】

1.
タイワンリスをモツぬき→皮むき→解体、まで行い、頭、背骨、尻尾を取り外します。

2.
包丁でたたきミンチにします。包丁の先端側をささえて取っ手を持ち、先端まな板につけたまま取っ手側を動かすようにして切ると骨を断ちやすいのでおすすめ。骨に当たらないくらいまで細かくなったら、しょうがと塩ひとつまみを加えて混ぜ合わせます。

3.
お好みの具材を一口サイズにカットしておきます。

4.
鍋に水を入れ沸かし、リス以外の具材を投入し火を通し、味噌で味を整えます。

5.
リスのミンチを10円玉くらいのサイズにまるめ、軽く片栗粉をまぶして鍋に入れます。1~2分茹でて火が通ったら完成です。