ミゾソバは食べられるが繊維がすごい件

野草・山菜ミゾソバ


今回のターゲットはこちら、ミゾソバ。

ミゾソバをつむ

東京の小川にもたくさん生えているやつで。水の少ない小川にびっしり生えていたりするのを見かけます。

ミゾソバ

これが一応食べられる食草だそうで、有名な薬の材料にもなったり?ならなかったり?するらしい。

東京の河川に生えていたミゾソバ
東京の河川に生えていたミゾソバ

気になったのででつんで食べてみました。おいちくなかったです。

ミゾソバってどんな草?食べられる?

やってきたのはとある耕作放棄された田んぼのなれのはて。ヒトが踏み入ることがほとんどなく、踏まれてない綺麗なミゾソバがたくさん生えているポイント。

ミゾソバのはえている草原

さくさくと分け入っていくと…

おぉ。大量に生えているではないですか!

ミゾソバ

写真に写ってるこの草がぜーーーーーんぶミゾソバ。これが食べられるなら、けっこういいのでは?

ミゾソバ

一本ひっこぬいてみました。茎はすーっと細長くてしっかりした質感。ちょっとだけトゲがあります。この茎は食べられなさそう。

ミゾソバ

特徴は牛の顔みたいな葉っぱ、昔は牛額草なんて呼ばれていたらしいです。

つまり…

ミゾソバ_牛

こう???

無理やりですが、ちょっぴり牛っぽいかも?どうかな?

ミゾソバ_牛

葉っぱの裏側はこんなかんじ。一度覚えたら忘れない形状で覚えやすいのがいいですね。

ミゾソバの葉っぱの裏側
ミゾソバの葉っぱの裏側

ミゾソバの花はこんな感じ。金平糖みたいでかわいい花をつけます。花を含めなんとなくソバに似てるから、ミゾに生えるソバでミゾソバと呼ぶらしいですよ。

ミゾソバの花@写真AC
ミゾソバの花@写真AC

このミゾソバ、先述のとおり食べられる草で、可食部はこの葉っぱ、特に先端のやわらかいところが美味しいらしい。

採取はぷちぷちと摘み取るだけなのですが、一点だけ注意があります。

ドクダミが混じっていることがあり、なんとなく葉っぱが似ています。間違えてつまないように細心の注意をしなければなりません…。

そう。ドクダミが混入したものならすべてがドクダミ沼に沈み込んでしまうこと間違い無し。こわっ!

ミゾソバは石田散薬という薬の原料になる!

ちなみにこのミゾソバは「石田散薬」という薬の原料になるそうです。石田散薬というのは新選組の土方歳三の生家が製造・販売していた薬で、その歴史は江戸時代から昭和初期まで続くとか。(250年!)

作り方は以下の通り、

牛額草壱貫目、日夫乾燥スレハ百目ニ減量、○而シテ之ヲ黒焼セルモノ鉄鍋ニ入レ清酒壱合ヲ簓(ささら)ニテ適時散布、取リ出シ再ヒ乾燥セシ○薬研ニ掛ケ粉末トセルヲ百包ニ分スル事  @一般社団法人北多摩薬剤師会のHPより引用

うんわからん。読めないのでChatGPTに現代語訳させてみました。

・牛額草(ミゾソバ)を一貫目(約3.75キログラム)用意し、日干しにするとおよそ百目(約375グラム)まで減量する。
・これを黒焼にしたものを鉄鍋に入れ、清酒一合をささら(竹の束などでできた撹拌具)で時々ふりかけながら加熱する。
・その後取り出して再び乾燥させ、薬研で粉末にする。
・できあがった粉末を百包に分けて用意すること。

とのこと。

つまり乾燥させたミゾソバの黒焼と酒を合わせたものってことですね?これが「骨折や打ち身、捻挫、筋肉痛、また切り傷等に効用がある」らしいのですが、“科学的には立証されてない"そうです。

「ないんだ!?」

好奇心で一度作って試してみたい薬ではありますが、いったん新鮮なミゾソバを試してみてからにしましょう。美味しければ食べたほうがまだ効きそうですし。

ミゾソバを食べてみる

てなわけでこちらがとってきたミゾソバ。やわらかそうな先端の葉っぱをぷちぷち両手いっぱい集めてきました。

とってきたミゾソバ

調べたところ、若干アクがある(シュウ酸の酸味や苦み)があるそうなので、下ごしらえとして軽く水に晒します。

ミゾソバを水に晒す

あとついでにドクタミチェックもしときましょう。

気をつけたので大丈夫だとは思うんですが…

どれどれ…

っていたあああ!!

ミゾソバに紛れてたドクダミ

あぶねえ…。料理がドクダミ味になるところでした。

ドクダミ沼を抜くためにもちょっと長めに水に晒します。30分ほどおいておきました。

今回は卵とじでも作ってみましょうか。まずはミゾソバをフライパンで炒めて、

ミゾソバを料理する

トマトを加えてしなっとするまで加熱、

ミゾソバを料理する

そしたら卵を落として~~~

ミゾソバを料理する

完成、

ミゾソバの卵とじ。

ミゾソバの料理

見た目はほうれん草みたいで美味しそうですけど、はたして?

いただきます。

ミゾソバの料理

ぎゅむぎゅむぎゅむ…

んん~~~~~!!

まず味は良いんですけどね、臭かったりしないし、ほんのり苦みがある程度で、

ただ繊維質がすごい。

噛んでも噛み切れないんですよ。例えるなら“ティッシュペーパーを食べたとき"みたいな。

ミゾソバの料理

かんでもかんでも、口の中で繊維がまとまっていって飲み込めないあのかんじ。伝わるかな…

ミゾソバの繊維はアレ。先端だけとったつもりでしたが、ちょっとしっかりしすぎかな~~~!

まぁいけなくはないですが、モリモリ食べたい系ではないです。お腹壊したりはしてませんけどもね。茎はずしたら多少マシかも?

ごちそうさまでした。

まとめ

近所に生えていたミゾソバを炒めて食べてみました。結論、マズいわけではないのですが、繊維がけっこうすごくてそれほど美味しいものではありませんでした。

だから山菜図鑑に乗っていないし、黒焼にして石田散薬にしたりするのかもしれません。次は黒焼にチャレンジしてみようかな?

ミゾソバ(溝蕎麦)

【採取場所】河川敷、湿地帯
【採取時期】春
タデ科タデ属。水気の多いところに生える一年草。河川敷や湿地などに群生する。葉っぱが牛の顔に似ていることから"ウシノヒタイ"などとも呼ばれる。苦みと酸味があるが食用になる。薬の材料にされることもあるが、科学的にはそれほど強い薬効があるわけではないらしい。

参考にさせていただいた資料:Wikipedia

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食べられる草の前に、食べられない草を学ぶのがオススメ

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木の種類を調べるのに樹皮ハンドブックが便利

【おまけ料理レシピ】ミゾソバの卵とじ(改良レシピ)

【材料】
ミゾソバ(先端のやわらかいところ)
トマト


【作り方】
1.
つんできたミゾソバは軽く水で洗い、茎の部分をちぎってはずす。葉だけを使う。

2・
フライパンを温め、油でトマトを炒める。塩を少し加える。

3.
トマトがしなっとしたら、ミゾソバを加え、全体を炒める。

4.
ミゾソバがしなっとしたら卵を入れ、塩をふったら完成。