カベンタケとカエンタケとカベンタケモドキの紛らわしい話
今回紹介したいキノコはこちら、カベンタケ。
真っ黄色の棒状のキノコで、湿り気のある地面からにょろにょろ~~~~っと顔をだしています。
…あっ!
さきほどカベンタケと伝えましたが、
もしかすると、
カベンタケモドキかもしれません。
今回はそんなわからんカベンタケとカベンタケモドキの違いと、おまけでカエンタケの話です。
カベンタケってどんなキノコ?
真っ黄なにょろにょろ~としたものが地面から生えている…!?
な、なんじゃこりゃあー!
…てな感じですが、こう見えて、これでキノコ。それがカベンタケ
なんとなく生き物のような出で立ちですよね…
地中から手が生えてきてるような…?
無数のミミズが這い出してきているような…?
なんともこの世のものとは思えないヤツ。
ちなみにひっこぬくと、地中は白っぽい感じ。その下に石づきがあります。
ちなみにこのキノコ、ちょー独特な形をしているよう見えて、実は似た仲間が多いキノコ。
とりわけ見た目がそっくりなキノコがいるんですけど、それがカベンタケモドキ。
カベンタケとカベンタケモドキの違い
カベンタケ、とカベンタケモドキ。
この二つは近い親戚…
とかでもなくて、ぜんっぜん違う種類のキノコ。
つまり、他人の空似。
まぎらわしい!
なんで似たの!!
カベンタケは担子菌
違いを解説すると、
カベンタケは担子菌という、いわゆるカサとかヒダを形成するキノコ。
(どこにカサとかヒダがあるんでしょうね…)
カベンタケモドキは子嚢菌
もう一方のカベンタケモドキは、子嚢菌という、カサを作らないタイプのキノコなんだそう。
(こっちのほうがまだしっくりくるような?)
似てるけどちょー他人。
なんでかわからないんですけど、よく似ちゃったようです。
カベンタケとカベンタケモドキの見分け方は?
ちなみに両者の差は…
顕微鏡を見ないと判別できない。
とのこと、
うんない、むり!
でも、どちらも食べられるのだそうで、キノコの先生は「おれは区別せずに食べている。」とおっしゃっていました。
な…ナルホド。
じゃあ食べてみますか、私も。
カベンタケとにた猛毒キノコ、カエンタケ
余談ですが、
カベンタケ(カベンタケモドキ)とやや似たキノコに、
カエンタケというやつがいます。
また名前がちょっと似ていて面白い。
どっちが寄せたのかわからないですがいいセンスしてますね。
…と言いたいところなのですが、このカエンタケはちょーがつくほど猛毒で、1本食べたらだいたい死ねるそう。
それどころか「触れるだけでかぶれる」などとまことしやかに囁かれているほど
(ちなみに私は触りましたが平気でした)
寄せなかったほうがよかったのでは?
Q.名前が似ていて間違えませんか?
A.普通のひとはどっちも食べないので大丈夫。
ハイ。そうでした。
根本の色は黄色で似てるのもヤなところ、
とはいえ質感が違うくて、カエンタケは硬質でカチカチ、対してカベンタケ(モドキ)はふにゃふにゃなので、まぁ間違えることはないと思います。
ちなみに山にはカエンタケの黒バージョンみたいなのもいました。
このタイプのキノコ、実はけっこういるみたい?
ちなみにカベンタケもマイナーキノコゆえ、100%安全とは言い切れません。むしろネットの文献では食をすすめてない記事が多いくらいです。
どんなキノコでもごく微量の毒成分は含んでいるといいますし、中には食用のキノコが「やっぱり毒キノコでした!」と、食べてはいけない存在になることもあるくらいです(ウスタケ・スギヒラタケ)
基本的に
野生キノコはよくわからないまま食べるべきではない
ということ。
私はまぁ食べてみるんですけど…。(良い子は真似しないでね)
カベンタケをマリネで食べてみる
さて、怖い話をしたところでカベンタケ(モドキ)に話をもどしましょう。
触ってハリがいいもの、大きめのものを選んでとってきました。
カベンタケモドキが混じっている可能性がありますが、以降は便座上"カベンタケ"とさせて下さい。
初物なのでシンプルに味をみたい、
ということでマリネにしてみます。
まず軽く洗ってさっと下茹で、
数分茹でてみましたが、色落ち一切ナシ。
鮮やかな黄色をキープ!
料理の色どりに良いと聞いてましたが、なるほど確かに…
しっかりめに軽く水をきって、
ニンニク・オリーブオイル・レモン汁・塩・コショウ、を混ぜたマリネ液に漬け、一晩おいときます。これで完成。
翌日、
味見をしてみましょう。
カベンタケのマリネ
いただきま~~~す!
はむ…はむ…
食感はしっとりしっかり。市販のキノコでいうとシメジに近いでしょうか。
味は…主張がないですね。ほんのり旨味があるようなないような?だいたいマリネ液の味です。
マリネ液がうまければでうまい。そういうヤツ。なるほど、色合い要員ですねこれは。
カベンタケを炒めて食べてみる
もう一品作ってみましょう。
同じくとってきたホコリタケと合わせて、豆腐を使った炒めものにしてみましょう。
カベンタケのフーチャンプルーとでも言うべき?
カベンタケはちょうど一口サイズなので、そのまま使えるのがよいですね。
ホコリタケとともに、油でしっかり目に炒めます。
これに豆腐と卵を入れ、
めんつゆで味を整えたら完成。
カベンタケのフーチャンプルー
ものっすっごいキノコ臭。
野生のキノコ味がつよい料理ができてしまいました…
主に、ホコリタケからでてるっぽい。
お味はどうでしょう…
もぐ。
むぐむぐ…
げほっ!
き、キノコ味が強すぎる…………………!!
特にお前だホコリタケ、あまりにも強い菌味にムセてしまいました。
ホコリタケをよけ、
カベンタケしかないところ食べてみたところちょうどいいですね。
ダシの味をすったカベンタケは、お麩のような高野豆腐のような感じで、そこそこいけます。
ホコリタケは…ちょっとよけて食べちゃいましたね。この食べ方は苦手かも。
ごちそうさまでした。
まとめ
カベンタケ(もしくはカベンタケモドキ)は黄色の主張がドきついものの、味の主張はそれほどない見た目全振りなキノコでした。あんまりにも菌味が強いとムセてしまう。ほどよい風味なのは、それはそれでいいのかも?強いホコリタケは汁物向きかな。
カベンタケ(花弁茸)
【採取場所】山林(針葉樹)
【採取時期】秋
シロソウメンタケ科ナギナタタケ属。黄色く棒状の形をしたキノコ。地表に出ている部分が黄色で、根本にいくにつれ白くなる。根本で複数の棒が繋がってる事がある。可食。
担子菌門でいわゆるカサやヒダを形成し、担子器という機関で胞子を作るタイプ。
カベンタケモドキ
【採取場所】山林(針葉樹)
【採取時期】秋
ヒメカンムタケ科ヒメカンムリタケ属。色形ともに似ているが子嚢菌門に属する全く別のキノコ、子嚢で胞子を作る。カビや近いキノコ仲間だとアミガサタケとか。こっちも可食。
しかしカベンタケとカベンタケモドキはどうしてこんなに似てしまったのか…。もしかするとこの見た目の似っぷりも収斂進化?黄色くにょろにょろ~っとすることに何かすごいメリットがあるのでしょうか!?
カエンタケ(火炎茸)
【採取場所】山林(広葉樹)
【採取時期】秋
ボタンタケ科トリコデルマ属。赤い棒状の形をしたキノコ。地中は黄色く、頂点が赤、間は美しいオレンジのグラデーション。猛毒菌で1本食べなくても死ぬ。冬虫夏草やベニナギナタタケに似るので注意。ナラ枯れポイントに多く発生、何かしら関連があるらしい。モドキと同じ担子菌門。
参考にさせていただいた資料:ヤマケイ 日本のキノコ、Gakken 日本の毒キノコ、持ち歩き きのこ見極め図鑑、ほぼ日刊イトイ新聞
宣伝コーナー
【おまけ料理レシピ】カベンタケ(モドキ)のマリネ
【材料】
カベンタケ x手のひら一杯くらい
好みの具材 (パプリカ・ニンジン・カブ・エリンギ)など
・マリネ液
塩 x適量
ニンニク x1片
レモン汁 x少々
コショウ xたっぷり
オリーブオイル xたっぷり
【作り方】
1.
カベンタケは大ぶりで状態の良いものを引っこ抜いておく。
2.
カベンタケをさっと洗い、石づきを切り落としておく。
3.
マリネ液の調味料をあわせておいておく。
4.
お湯をわかし、塩をひとつまみ。カベンタケをはじめとしたマリネの具材をさっと加熱する。
カベンタケは1分ほどしっかりめに茹でておくこと。
5.
4の具材をしっかり水をきってから、3に漬ける。
一晩おいたら完成。