ワラサの血が旨くて吸血鬼なキブン。胃袋も食べる

2023年2月16日★釣り,ブリ,ワラサ,季節【秋】


秋のとある日、

「でかい魚うらやましい~~~!」

なんてぼやいていると、

「釣ったワラサ、食べますか?」

という、ありがたいコメントが!!

モチロン

「食べたいです!!」

と即答。

するとマジでいただけるという話に。

「ありがてーーーー!!!」ということで、登山帰りにバイクをぎゅーーーんと走らせ受け取りに。

70センチくらいの見事なワラサ!

バイクに積んだクーラーボックスに入らない。

「でも頭とか尻尾を落とすと味が落ちちゃうよ?」というアドバイスのもと、フタで無理やり押さえつけて帰路につきました。

ありがとうございます!!

美味しく食べます!!

今回はそんなワラサをさばいて食べる話。するとが美味しかったんですよが!

ワラサをさばく

まずはワラサを観察!

さてこちらが帰着したワラサ。

ワラサというのは出世魚であるブリの前身、

ワカシ(~35cm)
→イナダ(35~60cm)
→ワラサ(60~80cm)
→ブリ(80cm~)

という具合に進化?する魚というわけ。へぇーなんかポケモンみたいですね。(つまりブリは"メガシンカ"ポジション!)

ちなみに東京湾沖の船釣りで釣ったものだそう。つまりこれも東京でとって食べる生活の一環というわけ。

釣り主の処理がよく、海水氷に漬けられ口にも氷を突っ込まれた魚体は新鮮そのもの、目もまだ黒ぐろとしております。ボディの金色のラインも健在で非常に美しい魚体を保っています。

しかしカッコイイ魚ですね。

金色の形は遊泳に特化した三日月型、

折りたたまれたシャープな背びれもイケてる。

お腹側はまっしろで、でっぷりと太っています。

これは間違いなく美味しいやつ。
いいなあ、こんなの釣れたらさぞキモチイイんでしょうね!

さっそく捌いていきましょう~~~~!!

ウロコが小さく落としにくいため、金タワシでやることが多いらしいのですが、ないのでフツーのウロコ落としでやっちゃいます。

念入りにやって、ツルツルにしましたよ。

続いて頭を落とします。

がびやっ!とでるのは釣りの都合(後述)

内蔵を出しちゃいます。

これは胃袋か?食べられるらしいですよ。食べよう。

紐状のものはなんだろう、消化器官の一部?

※調べたら膵臓(すいぞう、消化液を生産する機関)だそーです!デカ胃とこのデカ膵臓がブリへの成長を支えるわけか。

内蔵を出したら、ゆっくり包丁を入れて、

三枚おろし、半身をとります。

中央に血合い骨があるので、それを摘出するように半分にします。

こちらが背側、脂もしっかり乗ってテカテカしてますよ。

肉がややピンクみを帯びているのは船釣りの都合で放血できないためだそうです。(血を流すとサメが寄ってきて釣りにならないんだとか!)

こちらがハラミ側、腹骨を大きく落としたのでちっちゃくなっちゃいました。

こちらも血が回っているのですが、釣り主いわくこの血が旨いらしい。

鮮度の良い血はにおわない。むしろ甘くてうまいのだとか。まさかそんな吸血鬼的な?

一般的に"釣った魚の血はその場で抜くのがベター"とされています。それは血が"臭みのモト"だとされているからですね。

シカシ、その血が旨いと。

うーん不思議な話、まァ正解は食べて確かめることにしましょう!

ワラサを刺し身にする

ここからは調理の工程に入ります!

切り出した身の皮をひきまして、

刺し身にひきます。繊細な作業が苦手な私はこの処理がへたっぴ、

誰か代わって!と叫びつつ、盛り付け完了。

もう一品。

摘出した血合い骨を鮮度がいいうちに焼いちゃいます。

血合いこそ血液たっぷりで美味しいらしいですよ?

やっぱり吸血鬼みたいな趣旨ですがはたしてヒトはどうなのか!?

血合い骨のガーリックソテー、完成。

そういえばニンニク入れたら食べらんないですね、吸血鬼は。

ワラサをドラキュラ的に食べる

お刺身は鮮度をキープするため冷蔵庫で冷やしておきました。

日本酒も用意しちゃったりなんかして、

脂でテカテカな身がなんともうまそう!!

養殖のブリよりもピンクみが強いですね~

これも血抜きの差なのでしょう。さて味に違いは出るのか?

ワサビじょうゆをたっぷりつけて…

いただきます!!

パクリ、

旨味がバチッ☆

「旨い…。」

まず血による臭みはまったくありません。

印象的なのは力強い旨味。これは血が後押ししているのか?市販のものよりずっと強い。そのうえ脂もノリノリで満足感が高い一切れに…。

たまらん、旨い!

続いてハラミのソテーもいただいてみよう。

血がうまいとわかった以上、期待ができるってもんです!

もふもふ…

おぉ~~~~~!!

ちゃんと美味しい。

こちらも刺し身と同じくいわゆる"魚くささ"のようなものはまったくありません。加えてフワフワした身はニンニクに負けない旨味の塊。

新鮮な魚の血、アリですよ。

先述したとおり一般的に血は抜くべきものとされていますが、それは鮮度が維持できない場合のデメリットの対処方法なのでしょう。

鮮度が落ちると血から嫌な匂いが出てくる。ゆえにまず血を抜いてしまえば多少鮮度が落ちても嫌なにおいが出にくい。

確かに食べた刺し身は二日目に若干味が落ちていました。さばいてすぐ食べきるのがイチバン

逆に鮮度、つまりは適切な温度管理ができれば血は臭くならない。

食卓に登るまで維持できるのであれば血はむしろ旨味というメリットになりえるのでしょう。

とはいえカルパッチョ風にソースで味付けをしたらチャンと美味しく食べられるレベルでした

ただ現実問題、私がバイクで釣りに行く場合なんかでは徹底した温度管理を維持したまま持ち帰ることは不可能。その場合は血を抜いてしまうほかありません。

設備の充実した船釣りで、かつ知識豊富な釣り師だからこそ楽しめる味、というわけ。今回それが食べられた私は幸せもの。実にありがたいことだと実感しました。

ワラサの胃袋と卵巣を食べてみる

さて、魚を一匹まるまるさばいたときの特権!

珍味いっときましょう。

ワラサの胃袋。

釣り主から

「内臓も食べられる。特に胃袋と心臓が美味しい。あと卵巣。」

とコメントがあり、試しに食べてみることにしたのですよね。

んでこれはその

卵巣。

ちっちゃ!!

体のサイズに見合わない小ささ!

ししゃも以下じゃん!?

調べてみるともっとでかくなるみたいなので、未成熟だったのかもしれません。残念。

気を取り直して胃袋からやっていきましょう。

中身は何が詰まってるのかなっと?

ぱかー

あら、オキアミがぎっしり。

釣りで使ったエサですね。魚生ラストの食べ放題は美味しかったですか?

中身を洗い流し、綺麗にしたものがこちら、

ずいぶんペラっとなりましたね~

これを塩もみ。

そして湯引き、

くるくるっとしましたね。元の形を取り戻してきた?

ついでにさっきの卵巣も茹でてしまいましょう。

コチラが茹で上がり、やっぱりちっちゃい!

胃袋はもういっちょ塩揉み、

これを一口サイズにカット。

今回はスープの具にしようということで、

スープも作ります。

アラをじっくり炙って、

香味野菜と共にグツグツ煮込んで、

とった濃厚スープへ、

先程の内蔵を加えます。

完成、

ブリの胃袋と卵巣入りアラ汁。

いただきま~~す。

ずずず…

すさまじい魚のパンチ力。ちよっと濃すぎるくらい!

コチラが胃、

魚にしてはギョリギョリした独特の食感が面白い。

風味はそれほどないので、大根おろしとかで和えても良かったかもしれません。

続いて卵巣、

ぼそぼそ、ぐにぐに…

うーん、

歯ごたえのしっかりした焼き明太子、

みたいな?

まさに珍味。

ごちそうさまでした。

まとめ

鮮度のよいワラサの血は甘く力強い旨味。「吸血鬼の好物である"新鮮な血"もこんな味なのかな…?」という気持ちにさせてくれる、想像以上に美味しい魚でしたよ。

私の釣りスタイルではなかなかありつけない獲物ですが、ぜひまた食べたいので機会があれば船釣りにもチャレンジしてみたいところ。(ただし船酔い対策が必要!)

ワラサ(ブリ、鰤)

【採取場所】船釣り
【採取時期】初秋
出世魚であるブリの若い個体、3齢くらいで60~80cmのもの。ブリは日本近海に生息するスズキ目アジ科に分類の海水魚。肉食性の回遊魚で、初秋ごろに東京湾(特にその入り口あたり)に回ってくる。主に船釣りで採取する。

参考にさせていただいた資料:Wikipedia、日本文芸社 釣魚図鑑
スペシャルサンクス:釣り師D氏

【おまけ料理レシピ】ブリの胃袋の大根おろしあえ

【材料】
ブリの胃袋 x1
大根 x一片
醤油 x適量 ※できたら九州醤油

【作り方】
1.
成長前のイナダであれば魚屋でまるまる一匹扱ってる事も多い。
ぜひさばいてみましょう!

2.
ブリの胃袋は中身をだし、きれいに洗い、丁寧に軽く塩もみする。

3.
沸騰したお湯で胃袋をさっと茹でる。

4.
血管を剥がす。軽く塩もみし、汚れを落とし、水洗いする。

5.
大根をおろし、九州醤油と1対1で混ぜ合わせる。

6.
4を細切りにし、5と和える。