アカミミガメ緊急対策を前に味見したら旨かった話【解体シーン注意】
とある夜、都内某所にてザリガニ釣りをやっていたところ…
やたらにデカい生物をゲット!
みしぴぴぴ…(噛んだ
ごほん、ミシシッピアカミミガメです。
やっかいな外来種として聞く生き物、このまま野に放つのもなんなので食べてみることにしまょう。
今回はそんなアカミミガメを食べてみた話です。
ミシシッピアカミミガメとは?規制されるの?
食べる前にちょっと調べてみました。
アカミミガメは南米からやってきた淡水ガメ。
目の後ろの赤い印がチャームポイント。特に小さい頃はきれいな緑色をした大変かわいらしい亀です。
1960年代ごろのペットブームでミドリガメとして縁日で売られ始めたそうなのですが、脱走が得意な性質や大きくなると大型化するため飼育しきれないなどの事情で一部個体が野生化。旺盛な繁殖力で年々と数を増やしています。
雑食のため生態系への影響はもちろん。植物食もする為にレンコンや稲など農作物を食害し、農業害獣として駆除の対象になることもあります。
アカミミガメの被害は08年ごろから目立ち始めた。レンコンの茎や新芽を食べられ、10年の県の調査では収穫量が前年より3割減った畑もあった。
食害被害を抑えようと、地元農家らは12年から本格的にカメの駆除を開始。12年の捕獲数は2863匹だったものの年々減少し、18年には564匹と5分の1以下になった。 @徳島新聞より引用
2019年現在は緊急対策外来種に指定されており、環境省では駆除マニュアルを作成するなど対応を実施。とはいえ今となっては生息域も広ければ生息数も膨大すぎて根絶は困難。
一時期、ミシシッピアカミミガメが特定外来生物に指定さて飼育が大変になるのではないか?と噂になりました。しかし2019年現在その予定はありません。2015年に「5年後に輸入規制を予定している」と語られたニュースはあるものの、これもはっきりと決まっているわけではないよう。
現在も飼育している方の多い種であるため、規制されてしまうと捨てられる個体が多かれ少なかれでてしまうので難しそうな感じもし、なかなか対策の難しい生き物となっております。我々にできることは”飼育している個体は逃げ出さないよう管理する”程度でしょう。”野生の個体数が増えすぎないよう食べて減らす”ができればより良いかも?というわけで本題に入っていきましょう。
ミシシッピアカミミガメの下処理について
難しい話、おしまい。
とってきたアカミミガメを食べてみましょう。
食べるにあたっての下処理として、二週間ほど泥抜きをやってみました。とはいえあんまり意味はなさそう、キモチの問題かな。内臓はきれいになります。
ちなみにアカミミガメは初挑戦、クサガメはやったことがあるので同じ感じで行けるだろうやっていきます。
1.血抜き
まずは頭を落として血抜き。
カメを飼った事のある人間にはちょっと心に響きますが…ごめんカメ。いただきます。
処理に心が痛む場合は屠殺に冷凍庫を利用するやりかたがあります。1~2時間ほど冷凍庫に入れるのですが、これでカメは冬眠ののち安楽死、なるべく苦しませずにシメる事が可能です。これはカミツキガメなどを行政で駆除する場合にも行われている処理なんだそう、食肉とする場合は血抜きに多少の影響が出るでしょうが味はそう変わりません、アカミミガメにも使えるはず。
2.甲羅外し
水が濁らなくなったら血抜きが完了、
続いて甲羅をはずします。
アカミミガメの甲羅は手足の隙間の狭いスク水型、
隙間のでかいビキニ型のカミツキガメと比べると切る部分が多くてややめんどう。同じアメリカ大陸出身なのに、中国大陸のクサガメと同じタイプなんですね。
甲羅外しに使う道具は金ノコ。
ちなみにこれは百均のファミリーソーという商品、替刃も売ってて便利でおすすめです。
硬い棒状の金鋸など、良いものを使うともっと楽ですが私はこれでじゅうぶん。
それでは、ギコギコと左右の脇下の甲羅を削っていきます。
ちょっぴり手こずりましたが左右のカット完了、
それでは開けてみましょう。パカっとな。
クサガメのときはここでぷ~~んとカメ臭がただよってきましたが、アカミミガメはありません。臭腺がないからでしょうか。良いですね。これは味も期待できるのでは?
内蔵ドン。メスだったようで、たくさんのキンカンを抱えていました。いつも思いますが申し訳ないやら増えなくてよかったやらで複雑なキモチ。
4.解体
ようやく肉にアクセスできるようになりました。皮を包丁で削ぎ、手足をひねってはずしていきます。肉付きはまあまあ、手羽先か手羽元くらいのサイズかな?
しかしなんといいますか、南国風の緑と黄色のカラーがあんまり食欲をそそりません。なんだか毒がありそうな雰囲気。しかしこいつは無毒、強気にばんばん食肉加工していきます。
前足、後ろ足、頭、しっぽ、をそれぞれ外したら完了です。
今回は内臓は食べないので廃棄。肝臓はギャンブルですが、腸管はよく洗えばホルモンとして食べられます。
クサガメで慣れていたおかげか20分ほどで解体完了しました。
5.下茹で&皮むき
続いて下茹で、沸騰したお湯でさっと火を通します。カメは食中毒の原因となるサルモネラ菌を保有するためこの工程は必須でしょう。
ついでに余ったお湯でまな板やら金ノコも熱湯消毒をしておきます。
下茹でが終わったら、温かいうちに皮むき。
けっこう丈夫な皮がついていますね~ペリペリ、ペリペリっと。わりとこういう作業好きかも。
皮をむいてしまうと南国風の毒々しい色がフェードアウト、食べやすそうな色にかわってひと安心。ようやくお肉と認識できる見た目になってきました。
ミシシッピアカミミガメを料理する
皮むきがおわった肉がこちら、お店で売ってる状態になりました。あとは調理するだけ。
最初は定番の唐揚げでやってみましょう。
各部位をニンニク醤油ソースにつけこみまして、
食材が凸凹してなかなかタレになじまずひと苦労、濃いめの味付けてじっくり漬けていきます。しかし頭部が入ると急に脳がバグって食材に見えなくなる不思議…。
味がついたら片栗粉をまぶして、いい感じの温度の油でカラッと揚げていきます。
サルモネラが怖いので、念のため二度揚げ。
ミシシッピアカミミガメの唐揚げ、できました!
揚げ具合はバッチリ、
それではいただきます……ぱくっ(あちっ!!
おっ、これはいケますね!!オドロキのうまさ。
ゼラチン質が油で溶けてジューシー、むっちり柔らかい鶏もも肉のような触感です。クサガメをやったときは固くて臭くてちょっぴりイマイチだったのですが、アカミミガメは硬さも臭みも感じません。
うまいぞ、アカミミガメ!
カメらしい旨味も強い。
味だけならばすっぽんやカミツキガメにも負けないのではないでしょうか。
あっというまに完食。もっと食べたかったですね~、欠点は労力に比べて可食部が少ないところでしょうか。
ちなみに、後日に甲羅を煮込んで雑炊もやってみました。
こちらも美味しい♪
独特の丸みのある旨味たっぷりの出汁がでていて絶品でした。
ごちそうさまです。
ありがとうアカミミガメ、またとります。
まとめ
アカミミガメは予想以上に美味しいカメでした。
広く生息しており、なおかつ特定外来種ではないため運搬もお手軽ときて、カメ未経験の方向けの食材。ぜひまずここから試していただきたい。そう自信をもって言える味です。
とはいえ甲羅をはずしたりと大変な下処理に比べて可食部が少ないという欠点はあります。シカシそれは良い道具を使えば効率化できる話。たくさんとって効率的に食肉化をやれば、駆除にもなり美味しいものも食べられて一石二鳥…なんじゃないでしょうか!
※効率的にやれそうな道具、Amazonで売ってました。しかも安い。
ミシシッピアカミミガメ
【採取場所】河川、沼地、移入個体であるため住宅地の近くに多い
【採取時期】5月~9月
ヌマガメ科アカミミガメ属、最大で30センチ弱まで成長する中型のカメ。クサガメとはミミ部分の赤色有無、腹の色、甲羅の稜線の形(アカミミガメはくっきりした山は一つだが、クサガメはくっきりと三つの山ができる)などで区別できる。流れの緩やかな河川や池などに生息、雑食で植物から昆虫魚類まで何でも食べる。
【おまけ料理レシピ】アカミミガメ雑炊
【材料】
アカミミガメの腹甲と背甲 x1づつ
水 x1~2リットル
ショウガ x半カケ
ネギ x1本 ※一部を雑炊の薬味にする
塩 x適量
A(雑炊用)
卵 x1個
冷米 x適量
【作り方】
1.
アカミミガメの腹甲と背甲はさっと下茹でし、よく洗い膜や内蔵を落としておきます。
温かいうちに外周の皮をむいておきましょう、ピンセットがあると楽ちん。
ネギは白いぶぶんを薬味用の小口切りにし、残りはショウガと一緒に軽くスライスしておきます。
2.
甲羅がたっぷり浸かる量の水に甲羅・ネギ・ショウガを入れ、茹でます。
沸騰させたら弱火にしフタとして、2時間ほど茹でて下さい。
圧力鍋やシャトルシェフなどでもOK。
3.
甲羅がボロっと崩れてきたらオッケー。
ザルでこしてネギ・ショウガ・甲羅をあげてしまいます。
4.
軽く煮詰めながら、塩で味を整え好みの濃さに調整します。
5.
適量を小鍋にとり、沸騰したら冷米と溶き卵を加えて火を止めます。
薬味のネギをかけていただきましょう。