ヤマブシタケの奇妙な白いモコモコに顔をうずめてすーはーした話
まるで不思議の国の毛むくじゃら妖精のような外見のヤマブシタケ、
出会った中でもとびきりお気に入りのキノコです。
あの質感、あの香り…ああもう一度かいでみたい…!
今回はそんな思い入れ深いヤマブシタケの話をさせてください。
ヤマブシタケとの出会い
それは信州の深山。友人たちに針葉樹と広葉樹の混じる森へ連れていってもらったときの話です。
![](https://totte-taberu.com/wp-content/uploads/2019/08/山伏_01_R-640x480.jpg)
秋のキノコ採りということで、森の中で初めて見る様々な(とって食べられる)キノコを教えていただきました。
![](https://totte-taberu.com/wp-content/uploads/2019/08/ヌメリスギタケ_00_1.jpg)
![](https://totte-taberu.com/wp-content/uploads/2019/08/決して食べてはいけなそうなキノコ.jpg)
![](https://totte-taberu.com/wp-content/uploads/2019/08/山伏_25_R-640x480.jpg)
そんなこんなでまだ見ぬキノコを探し、森の奥まで分け入っていっていったとき……
同行者の一人から歓声が!
慌てて駆け寄ってみると、
…でん!
![](https://totte-taberu.com/wp-content/uploads/2019/08/山伏_04_R-553x640.jpg)
木にぶら下がる真っ白なモコモコ、
なんだこれ!?
新生物発見か!?
いや、ヤマブシタケだ!!
この神秘的なキノコには不思議なあこがれがありまして、いつか見てみたいと願っておりました。まさか出会えてしまうとは!!
およそ何で出来ているのか分からない真っ白なトゲのようなヒダをぶら下げた外見。
![](https://totte-taberu.com/wp-content/uploads/2019/08/山伏_06_R-480x640.jpg)
生き物なのか?植物なのか?
この白いモコモコはどんな役割があるのか?
カサは見当たらないのに胞子はどこから散布されるのか…?不思議でたまりません、はぁ…すてき。
うっとりと、ついつい見入ってしまいます…
![](https://totte-taberu.com/wp-content/uploads/2019/08/山伏_09_R-640x480.jpg)
そうやって採種したものを持たせてもらいました。
![](https://totte-taberu.com/wp-content/uploads/2019/08/山伏_11_R-640x480.jpg)
ズッシリ重い!大きさはバレーボールより一回り小さいほど、このボリューム感も流石なものです。
断面はこんなかんじ、
![](https://totte-taberu.com/wp-content/uploads/2019/08/山伏_10_R-640x480.jpg)
モコモコのぶぶんは先端が針のように尖っているのですが、まるでシリコンのような滑らかさ。これ以上ないほど心地よい手触りです。
そして、天然のヤマブシタケの最高の楽しみ方も教えていただきました。
それは…
嗅ぐ。
ヤマブシタケに顔をうずめて、すーーはーーー!するんだそうです。
さっそく私も、
ずぼっ!!といきまして
すーーーー
はーーーーーーー!!
鼻孔に広がるこの穏やかな香り…これは……森林浴!?
木漏れ日のさす森を歩いていればふと薫る木々と草木の芳しいマリアージュ。揺れる枝葉の奏でるオーケストラを聞きながらモミやツガなどの針葉樹が茂る中をのんびり歩いては、時おりキノコや森の花を愛でては顔を出す森の動物に挨拶…そして妖精たちが森へ誘い……
はっ!
あまりの心地よさにトリップしてしまいました。
イヤしかし、いい香りでした!
ありがとうヤマブシタケ。
とってきたヤマブシタケを食べます
嗅いでおしまい、なんてことはなくとったヤマブシタケは美味しくいただくことができます。
一部を分けていただいたのですが、モトが大きかっただけありまして持ち帰ってもなおじゅうぶんなサイズ。
まずは単体での味をみたいので、キノコ料理でイチバンよくやる天ぷらからいってみましょう。
ヤマブシタケの天ぷらを作ってみた
一口サイズにカットしまして、
衣をたっぷりまとわせて、アツアツの油でじゅわっと揚げます。
キノコはじっくり時間をかけて火を通すのがコツ!と教わりましたので、水分を追い出すようにじわじわ付きっきりで揚げてみました。
完成、きれいなキツネ色のヤマブシタケの天ぷら、
ではさっそくパラリと塩をふりまして、いただきま~す
ジゃくっ…
ん、甘い。
美味しいです。カリッとした衣の中はじゅわじゅわ触感、甘みがまずやってくるのですが続いてやってくるじわ~~っと染み出す旨味がたまらない。いやな香りはまったくなくて、ただただ甘みと旨味の爆弾。なんだこれは仙人の食べるスナック菓子か。
エリンギやシイタケなどの繊維のプリプリしたキノコとはまた違うトロみのある食感がすっごく好み。近いものをあげるとすれば”玉ねぎの揚げたやつ”でしょうか。ジュワ感と甘みがそれっぽい。
どうやら食材として、めちゃめちゃ高いポテンシャルを持っているようです。
ヤマブシタケのパスタを作ってみた
続いて旨味を活かしたらどうなるか?ということでパスタをやってみました。
ニンニクと玉ねぎをざーっと炒めまして、
ヤマブシタケを投入、火が通ったら生クリームも投入。
茹であげた太めのスパゲティとからめて~
でん、完成!
ヤマブシタケのクリームパスタ。
これも当然にウマい、
火を通すと香りが穏やかになるためクリームとの相性は抜群。とろとろに溶けたヤマブシタケにクリームが染みたやつがまたうまいのなんの。
大盛り作ったつもりでしたが、アッサリ完食。
ごちそうさまです。
まとめ
不思議なモコモコのヤマブシタケ、手触りも…芳りも…味も…全てがパーフェクトなすばらしいキノコでした。連れて行ってくださった友人に感謝を。そして欲をいうならまた出会いたい。でもってまた顔をうずめてすーはーしたいのです。
※ヤマブシタケの名前の由来は、山伏の服の胸のあたりについてるぽんぽん飾り(梵天という)に似てるところからつけられたそう。てっきり山伏の住んでいるような深山に生えているからだとばかり思っていました。
![](https://totte-taberu.com/wp-content/uploads/2019/08/ヤマブシ_01_R-640x522.jpg)
ヤマブシタケ(山伏茸)
【採取場所】広葉樹の倒木・立ち枯れ・うろ
【採取時期】夏~秋
夏の終りから秋にかけて、広葉樹の倒木や立ち枯れの部分に発生する木材腐朽菌の一種。近年では栽培も可能になりまた臨床試験において血糖値を低減させる・抗がん性・抗アルツハイマーなどの健康効果が報告されている。にわかに注目されているキノコ。
【おまけ料理レシピ】ヤマブシタケのクリームパスタ
【材料】
ヤマブシタケ x50~100g
玉ねぎ x半かけ
ニンニク x適量
パスタ x100g
生クリーム(牛乳でも可) x100ml
バターorオリーブオイル x適量
塩 x適量
【作り方】
1.
ヤマブシタケは一口サイズにカット、玉ねぎはみじん切りか薄切り、
ニンニクはすりおろすか薄切りにしておく。
2.
バターorオリーブオイルをフライパンにあけ、弱火でニンニクを炒める
3.
ニンニクの香りがでてきたら、玉ねぎを入れ中火にし透き通るまで炒める。
透き通ったらヤマブシタケを入れ、じっくり炒める。
4.
ヤマブシタケがくたくたになってきたら、生クリームを入れよく混ぜ沸騰させる直前で火を止め、塩で味を整える。
5.
パスタを茹でておき、フライパンでソースに絡めたら完成です。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません
この記事のトラックバックURL
記事の検索はここから!
【とって食べるドキュ】第1話 特定外来生物アライグマ 好評配信中!
新着記事はコチラ!
: 木の実
スダジイは超うまいドングリ。その見分け方のメモ
それは、たまたま行ったとある射撃場、連れが「良いもの見つけた」と、持ってきてくれ ...: 野草・山菜
アマドコロは甘いのか?根っこをほって確かめた
とある春、友人Tといっしょの採取でアマドコロに出会いました。 美味しい山菜だと聞 ...: 野草・山菜
リュウキンカの毒性を調べて食べてみた【毒草注意】
2月ごろ。とある休耕地のアゼで見慣れない植物を発見しました。 湿気のある斜面にも ...: 海
カメノテをとって食べてみる
カメノテという生き物がいます。 磯の岩の隙間にくっついてるフジツボの仲間の生物な ...: 海
ヒラツメガニが丸かじりできた件
とある秋の夜、浜辺で生き物採集。 この日とれたのはヒラツメガニという渡りガニ…! ...にほんブログ村 ポチってね!
活動の支援、募集してます!!
当サイトは”アフリエイト・プログラム”に参加しております。広告クリックや商品の購入が、執筆活動の助けになります!!