クヌギのドングリを食べる。アク抜きに挑戦
クヌギという木のドングリをご存じでしょうか。
デッカいやつだと言えばピンとくるはず。そうあの大きくてまるっこい、ヤジロベエとかに加工して遊ぶヤツです。
殻を剥いてみると、栗ライクな見た目で美味しそうなんですけど、アクが強くて苦いんですよねコイツ。
私も茹でたり、水に晒したり、油で揚げ焼きにしたり、とアタックしてみたのですが、結果としてほとんど抜けず、苦いまま。
クヌギを食べるのは無理なのか?とモンモンをしているときに出会ったのがトチの実(クヌギ以上にアクの強い木の実)、そこでぴーんときましたよ。
トチの実のアク抜きと同じ手法で食べられるようになるのでは?
理論上はいけるはず!やってみなければっ!
…というわけで、今回はトチの実ふうにクヌギのアク抜きをして
パンに加工して、
食べてみたレポートですよ。果たしてクヌギはパンになったのか!?ご期待下さい。
クヌギってどんな木?
というわけでクヌギをとりにいきましょう。
季節は秋のはじめ。台風来たあとを狙おうとしたんですが、今年は東京にやってきませんでした。困りますね!ぷんぷん(ふつうは逆)
実を求めてやってきたのは都内のとある森林公園。
んで、こちらがクヌギの木。
クヌギは日本を代表するドングリの木で、山野に自生しているだけでなく、公園にも植えられています。ちょっとした林のある公園にいけばまずいます。
木肌の特徴はざらっとしたウロコ状。カブトムシが好きそうな樹液が漏れ出ているのでわかりやすい。コレを目印に探しましょう。
実際にこの樹液はカブクワ大好きで、夜な夜な樹液宴会が開催されています。見つけておくと夏の夜にも楽しめますよ。
クヌギを拾うよ
んで、お目当てのドングリを求めて地面を眺めると…よしよし落ちてますね。
クヌギのドングリは丸っこくてたこ焼きみたいな形をしています。
とびきりデカくてわかりやすいのが偉い。
ぱっとみクリのようで美味しそうな見た目をしているのですが、ドングリの中でとびきりアクが強くてそのまま食べることはできません。
帽子つきのものも見つけました。このアフロじみた帽子とデカいドングリは他になく、まず間違いなく鑑定できます。
ちなみに地面に落ちているドングリの多くは、虫が入っています。
中に入っているのはゾウムシの仲間。卵をドングリの中に植え付けてから、ドングリを切り取って落とすのですよね。
このように穴の空いたドングリがその証拠、
成長した幼虫がこの穴からでてくるんですよね…穴が空いてるのはまずダメ。
そんなわけで、穴のあいてないドングリを探して2キロほど拾ってみました。
とはいえこの中にも虫入りが沢山混じっているんでしょう…
こればっかりはちょっぴり気が滅入りますね。
クヌギのアク抜きをやってみる
クヌギのアク抜き手順① 干す
まずは干して虫を抜くところから、冬の間、風通しの良いところにおき、虫を抜きました(勝手に出ていきましたよ。画像は自粛!)
クヌギのアク抜き手順② 熱湯で戻す
カラカラに乾いたクヌギがこちら。
このままでは固くてカラをむけないため、まずは熱湯で戻します。
しっかし、かなりの数のクヌギに穴が空きました。どれもこれも虫が入っていたのでしょう…
試しに割ってみると黒く変色していました。虫と一緒に入ったカビでダメになっているっぽい。もったいないのですが、穴が空いたのは廃棄しちゃいます。
大丈夫そうなやつだけよりわけ、熱湯に漬けますよ。
終わり、こんな感じ、
右の袋は虫にやられてたヤツ。
いけそうなやつは一晩かけて戻します。
クヌギのアク抜き手順③ 皮をむく
翌日、水気を戻したクヌギがこちら。
ふやけたカラは少し力を入れると割れました。
具合の良いものはこんなカンジで綺麗。なんとなく美味しそうなんですが、まだアクは抜けていません。
せっかくクヌギを食べるので…
ということで縄文クラスタの縄文ドキドキ会@jomondokicomさんに来てもらいました。氏いわく「縄文人もクヌギを食べていた」とのコト。遺跡からクヌギの跡が見つかってるんだそうですよ。
そうつまり今回は縄文食への挑戦でもあるというわけ!
クヌギを割るために使うのは、縄文ドキドキ会さんのお手性の石器。
これが使いやすいのなんの!
くぼみにドングリをおいて
石でギュッと押しつぶすと…
このようにパックリ割れるわけですね。
すげー便利!さすが縄文人。
そんなこんなで二人でむきました。
試しにちょっと味見してみましょう。どれくらいのアクなのやら?
カケラをぱくりと食べてみます。
もぐもぐ…
おっ、甘い??
いけるのでは…
っていや、いやいやいやいや。
むりむりむりむりむり。
苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い。
ぺっぺっ。
最初は甘みを感じたものの、後味がものすごく苦い。飲み込めません。
しかし、エグみのようなものはなく、この苦味さえ抜けば美味しく食べられそう。がぜんアク抜きをやる気が高まってきましたよ。
クヌギのアク抜き手順④ 灰汁につける
アク抜きには灰を使います。
むいたドングリを半分に割り、
灰をたっぷり溶かしたお湯に漬け、アクを抜きます。
いちおう、リトマス紙でアルカリ度をチェックしておきますか。
どれどれ…
うわ、めっちゃ色が濃い!
度数表と見比べると…、ほぼマックス。少なくとも13度~14度はありそうです。これならまあアクは抜けるでしょう。
いったんこの日はこれで解散。数日放置してアクを抜いたのちに続きをやることに。
クヌギのアク抜き手順⑤ アルカリを抜く
3日ほど放置してみました。
ってうわ!???
なんかめちゃめちゃ泡立っているんですけど!?
腐敗か?
失敗か?
と思って匂いをかいでみたものの、無臭。
なんなら味もしません。
触れてみると、猛烈なヌメリ。ヌタウナギもびっくりでヌタヌタ!
うーん?
これが抜けたアクなのか?
それともドングリの麦芽酵素的なやつが活性化したのか?
毒はなさそうに見えるので、このまま使うことにします。
よく洗い、流水でヌメリをとります。
水をちょろちょろ流しつつ、48時間ほど放置。
これで灰汁の成分とともに、アクとヌメリは抜けていく………………………はず!
アクぬきしたクヌギの味は?
流水処理をしたクヌギがこちら、
しっかりと洗った上で、石で潰し、丁寧に水ですすいでおきました。
ここで再び味見をしてみましょう。
ドングリのかけらをパクッと食べてみます。
ん!
しっかり苦味がとれている!!
後味に緑茶くらいの苦味がありますが、許せるレベル。アク抜きは成功と言っていいでしょう!
しかし、アクと一緒にあの甘みも抜けてしまったようで、味がしないのが残念なところ、まぁそれは想定通り。
さて、パンにするためには乾燥させて粉にひく必要があるわけですが…
長くなってきたので、分けます。
次回に続く!
果たして不安しかないヌルヌルクヌギはパンになったのか!?ご期待下さい。
まとめ
日本最大級のドングリであるところのクヌギのアクを抜いて食べてみました。同じくアクの強いトチの実のやり方を参考にやってみたところ、だいたいうまくいきました。
誤算だったのは保存性が低いこと。一冬を越す前に多くが虫にやられ腐敗。現在までトチの実を食べる文化が残っていて、クヌギを食べる文化が残っていないのは、そのあたりが理由なのかもしれません。
クヌギ
【採取場所】森林公園
【採取時期】秋、9~10月
ブナ科コナラ属。日本の代表的なドングリの木。落葉広葉樹でいわゆるドングリの木。その中でも最大級の大きさの実をつけるのが本種。食いでがあるため縄文人も食べたらしい(出土している)。また樹液が豊富にでるためカブトムシやクワガタムシも大好き。夜の昆虫採取は本種の林で。
参考にさせていただいた資料:Wikipedia
スペシャルサンクス:縄文ドキドキ会@jomondokicom
宣伝コーナー
アクぬきには重曹、灰の9割くらいのパワーです
リトマス試験紙があると知的好奇心が満たせますよ
初めてのアク抜きはトチの実からどうぞ
【おまけ料理レシピ】クヌギのアク抜きレシピ(トチの実風)
【材料】
クヌギ x1キロ
草木灰 x一袋
【作り方】
1.
クヌギを拾う。色艶がよく穴のあいてないものを選ぶ。
2.
熱湯に入れ、一晩おきカラをふやかす(決して茹でないこと!)
※1と2の間に時間があく場合は、冷凍庫で保存すること
3.
カラをむく。
石でカラをつぶすと楽。
4.
半分に割り、草木灰の汁に漬ける。
一週間ほど漬ける。
5.
実を取り出し、よく洗う。
48時間ほど流水で晒す。すぐに腐敗するため注意。
6.
実をつぶし、よく洗ってアクぬき完了。
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