ヌタウナギは生きた化石。旨いのか?とって確かめてみた
海でとれる生物は色々おります。
魚、貝、イカ、タコ、ウニ…etc…etc
どれも美味しい♪
さて、そんな生き物のなかの一群である無顎類をご存知でしょうか。
無顎類とは魚類の祖先にあたる原始的な生物。生物の歴史において5億年ほど前のカンブリア紀からデボン紀でたくさん出現したのですが、殆どが絶滅していったのだそう。
現存する生物ではヤツメウナギとヌタウナギの二種のみ。
「生きた化石っていうけど、どんな味がするのだろう?」
ずっと気になっていたところ、どうやら東京近郊でその一種のヌタウナギが釣れちゃうらしい。そして実際に釣った人がいるそう。
そんなおり、
「アナゴ釣りにいこう!ついでにヌタウナギもとれるかも。」
と友人にお誘いいただき、こりゃ渡りに船だとご一緒させていただいてきました。おかっぱりですけどね!
ヌタウナギってどんなやつ?
ヌタウナギとはまえがきでお伝えしたとおり、無顎類の一種。
ウナギとはいうものの、いわゆるニホンウナギとは全く別の生き物で、魚よりもサメよりも、よっぽど原始的な生物。
顎を持たない生き物、無顎類
その名の通り顎を持たない生き物です。
顎というと、我々人間も猫も、犬も、魚も、タコモイカも!ごくごく当たり前のように持っている食べ物を噛みしめる部位。彼らにはそれがありません。
「顎がなければどうやってエサを食べるんだ?」というところですが、
代わりに、丸い吸盤状の口を持ちます。
こんなやつね、
さながらエイリアンの口のようでヒョエッ!ってなります。
口から飛び出す歯のような部位で食べ物をかじって引きずり込むのでしょう。基本的に腐肉性で、大型海洋生物の死体に群がって食事をとったりするのだそうです。
ヌタウナギのヌタとは?
また、原始的な生物であるゆえ、ヒレが未発達で遊泳能力が低いのも特徴的。
泳ぎがヘタな代わりに、必殺の武器を持っています。
それが名前に冠するヌタ。
敵に襲われると体から分泌物を出します。それは給水ポリマーのような成分らしく、周囲の水分を吸ってゲル状に固まるのです。
食べられそうになったらこのヌタを障壁のように使って身を守るのでしょうか、それともビビらせて追い返すのか。
ほとんど絶滅した無顎類のうち、ヌタウナギが生き残れたのはきっとこのヌタのおかげ。すばらしい武器なのは間違いありません。
すごいぞヌタウナギ!
ヌタウナギをとりにいく
世間がGWのころ、ヌタウナギをとりにいってきました。
やってきたのは神奈川のとある岸壁。時間は夜。
話を聞くと、毎年この時期このあたりで釣れるそう。
アナゴ釣りの外道として釣れるそうですが、ヌタを撒き散らして仕掛けをダメにするせいでアナゴ釣り師に嫌われているのだそうです。
仕掛けはいわゆるアナゴ釣りの仕掛け、
アナゴをメインに狙うためエサはゴカイを使います。
アナゴ釣りのオマケでヌタウナギも釣れたらいいよね~!というノリ
釣り方はシンプルで、いわゆるブッコミ釣り。
長めの竿でド遠投。あとは待つのみ。
あとは、しばらく反応がなければ、エサチェックのため定期的にあげていきます。
おっ、早速釣れましたよ、
ヒトデが。
続いて誘っていただいた友人の竿にヒット。
立派なアナゴ!
間違いなく美味しいメインターゲット。天ぷらサイズじゃあないですか、いいなあ羨ましいです。
私も負けじとリールを巻くと・・・
なんか重いぞ!?
何が釣れたーー??
と、手元にやってきたのは、
気持ち悪いゴミ!!
海底にヘドロでも堆積しているのでしょうか。
シカシ不思議なヘドロで、釣り糸にぐるんぐるんと絡みついており、生き物感があるのです。
もしや・・・これヌタか!?
ぎゅっと近くなるヌタウナギの気配。
これは釣れるかも??
そんなこんなやってますと、再びリールに重みが。
またヘドロかな~?と思って巻いていくと。
なんじゃこりゃーーーーーー!!
艶めかしいピンク色の物体がヘドロと共にあがってきました。とりあえずアナゴではない。
こいつがヌタウナギか!?
まさかアナゴが釣れないままヌタウナギのほうがやってきてしまいました。
うっわ~
噛みつこうとしているのか、歯を出し入れ。
怖っ!
釣れちゃったのはよいのですが、
めちゃめちゃ不気味。
果たしてこの生き物は食べても大丈夫なやつなんでしょうか?
とても心配になってきました。ひとまず持ち帰ってみましょう。
ヌタウナギを捌いてみる
と、いうわけで自宅にやってきたヌタウナギ。
さぁ、どうやって食べてくれよう?
「食べて大丈夫なやつなんでしょうか?」とか言ったばかりなのですが、じつは勝算があります。
ヌタウナギは韓国料理において高級食材。
あっちではコムジャンオと呼ばれます。その好きっぷりは相当なもので、近海のものは足りず、海外からジャンジャン輸入をしているほど。
つまるところ、それなりに美味しいはずなのです。
というわけでワクワクしつつ、さばいていきましょう!
まずは綺麗にするため洗っていくのですが、洗っても洗ってもヌタがでてくる・・・。
ヌタヌタヌタ・・・
排水口がマッハで詰まります。
方針変更、
ヌルヌルの皮をさっさと剥いてしまいましょう。
ヌタウナギの皮は革製品に使われるそうなので丈夫なはず!
思いっきり引っ張ると、メリメリメリ!とむけちゃいました。
この感覚は蛇の皮むきに似ています。
キレイに剥けました。
続いてお腹を割って内蔵を取り出します。
おっと!?
お腹の中から蛆虫みたいなのが出てきましたよ、キモチワルっ!
よくよく見ると、これはヌタウナギの卵のようです。
「深海魚だが繁殖のために陸にやってくる」という話を聞いたことがあるのですが、本当っぽいですね。
さて、取り出した身がこちら、
骨らしき骨は見当たりません。軟骨で構成されているようなので、そのまま食べてみることにします。
ヌタウナギを料理する
ではさっそく調理していきましょう。
メニューは韓国風の炒めものにしてみます。
ヌタウナギを一口サイズにカットしまして、
フライパンにゴマ油をあけ、ニンニクと一味を炒めて香りをだします。
続いてネギの青いところと、一口大にカットしたヌタウナギをIN。
ざっくりと火が通ったところで味付け、
コチュジャンと、
味噌。最後にネギの白い部分を投入。
フライパンを振りつつジャーーー!っと炒めたら、
完成。
ヌタウナギのコチュジャン炒め
さて、お味はいかに?
ぱくり。
ムチムチ…
コリコリ…
ああっ、美味しい!!
旨味が強く、それでいてクセもなく非常に美味。
食感も独特で、タコのようで軟骨唐揚げのようでもあり、それでいて硬すぎもせず絶妙な具合。
確かにこれは高級食材と扱われてもおかしくはありません、
結論:生きている化石「ヌタウナギ」はうまい!
あまりにも美味しいので・・・
翌週にオカワリをとりにいってきました。(もともと行く予定ではあったのですが!)
四匹ゲット。
アナゴ釣り師が捨てたのも貰ってきました。貧乏くさい?だって美味しいんだもの。仕方ありません。
ぶじ食材を入手できたので、他の料理もやってみましょう。
二品目は、唐揚げ。
ぶつ切りにしたヌタウナギにニンニク+醤油の下味につけこんだものを、
180度の油でカラッと、
できあがりました。
ヌタウナギの唐揚げ、
タコや軟骨っぽい味なのでうまかろう!
お味は…
ぱくり。
あぁ~程よい弾力に力強い旨味…
期待通りの旨さ。
いや~うまい!
ヌタウナギうまいですよ。
続いてはちょっぴりチャレンジメニュー。
DPZのヌタウナギの記事で某H氏が食べていた料理なのですが、
ヌタウナギの刺し身
ニホンウナギは毒があるため、生で食べることはできないのですが(熱を加えると無毒化されるのです)、ヌタウナギは別の生物なので生でもいけるようです。
わさび醤油でいってみましょう。
ちょっとビジュアル的に勇気がいりますね…。
とはいえ、この生き物の味がよいのは知っています。
思い切って…!
ぱくり。
あっ!
ほんのりクセがありますが、思いのほかあっさり。
エイのエンガワみたいな食感と味です。若干食感に軟骨魚類的なクドさがありますが。
いちおう、アリ!ということで。
ごちそうさまでした。
まとめ
ヌタウナギ、見た目からは想像できない美味しさでした。
外道で釣れてしまった場合、騙されたと思って是非味わっていただきたい。いくつか調理方法を試しましたが、個人的なイチオシは唐揚げ。次点でコチュジャン炒めです。
ヌタウナギ
【採取場所】海岸
【採取時期】5月上旬
ヌタウナギ科ヌタウナギ。魚類ではなく、無顎類というグループに属す。日本近海でとれる種類は水深200mまでの浅い海で生活する種とのこと。多くの種はより深海で暮らすそう。繁殖力が低いために、乱獲すると数が減る傾向にあるため注意が必要とのこと。
参考にさせていただいた資料:Wikipedia、デイリーポータルZ
宣伝コーナー
【おまけ料理レシピ】ヌタウナギのコチュジャン炒め
【材料】
ヌタウナギ x1匹
長ネギ x1本
塩 x少々
唐辛子 xお好みで
ニンニク x1~2粒 ※チューブ可
ごま油 x大さじ1・たれ
コチュジャン x大さじ1
みりん x大さじ1 ※あれば甜麺醤
ミソ x大さじ1
砂糖 xお好みで
【作り方】
1.
ヌタウナギは軽く洗ったら皮をはぐ。塩と酢を塗り込みむとヌメリがとりやすい。
2.
ヌタウナギの身は内蔵をとって、ぶつ切りにする。
唐辛子とニンニクを薄切りにする。
ネギは青い部分を千切りに、白い部分を一口サイズにする。
3.
“たれ"を混ぜておく。10秒ほどレンチンすると柔らかくなり混ぜやすい。
4.
フライパンにごま油をあけ、ニンニク・ネギの青いぶぶん・唐辛子を炒めて香りをだす。
5.
香りがでたところでヌタウナギの身を入れ、火を通す。
6.
“たれ"を加え、よく絡める。
7.
ネギの白い部分を入れ、火がとおったら完成。