アブラソコムツを食べて尻油な経験をした話
脂たっぷりの食べ物、旨いですよね。
霜降り牛に大トロに…
おっと庶民の味であるところの豚バラを忘れてはいけません。
アブラといえば二郎でしょうよ!(食べ物?)
さて、そんな脂ノリノリ系の生き物の最高峰といえば、
バラムツ・アブラソコムツ
深海魚で浮力調整だか水圧調整に脂を使っているらしく、全身が大トロ。
ただこいつらは毒魚扱い。
毒はその大量の脂。ヒトが消化できない油脂(ワックスエステル)で、一切消化されずに排泄され、いわゆる尻から油が出るという症状がおきます。
また安心安全に食べられる、
アブラボウズ
ってのもおりまして、
こっちは毒魚ではなく一般流通OK。
この二つが私の食べたなかで最高峰の脂まみれな生き物だと言えるでしょう。
二週間連続でこのオイルフィッシュたちをレポートさせていただきます。食べ比べってやつですね!
尻油魚アブラソコムツは経験済み
2016年くらいでしょうか?以前にDPZでH氏がバラムツを美味しそうに(オムツをはいて)食べていたのが記憶に新しい頃、ちょっと前のはなし。
※参考記事
物好きな友人と
「バラムツ食べたくない?」
「いいねー!」
と駿河湾に釣りに往きましてですね、
真冬の寒風ふきすさぶなか、バラムツ乗合船というまた物好きしか乗らない船に載せていただいたのです。我々のほかに男女2名おり、合計4名での乗り合いでした。
20時くらいに出船し、日付変更前くらいに戻ってくるプラン。
真っ暗な海の中で、船長の合図とともに釣り開始。
仕掛けがとにかくゴツくて、バカデカメタルジグに大ぶりのサバの切り身をぶらさげたやつ。
これをレンタルした"いかつい竿"でおろします(ゴツいリールにPE10号くらいのが300mは巻いてる!ちなみに手動)。
これを水深200mまで沈めて、あとはひたすら待つ!という釣り。
ちなみに水深計とかはついてないので、船長の言う秒数を数えて落としていくスタイルです。
果たしてバラムツは釣れるのか…?
深海魚たちとの出会い
さて、20~30分ほど待って反応がなければ一度仕掛けを上げてみるのですが、
上げてる途中に違和感。
どうも魚がかかってるっぽい?
200mも離れているせいか、よっぽどデカい魚でないと反応が伝わってこないんですねえ、ははあ…。
上がってきたのは死にかけのタチウオのようなのような不気味な魚。
船長いわくスミヤキという魚で、「これはこれで美味しい」とのことでありがたくキープ(後々調べたところ、正式名はクロタチカマス。刺し身で美味しかったです)
そうこうしていると、I氏の竿にもアタリが。
これがものすごい引きらしく、
尋常ではない竿の曲がり方をしています!
急ぎサポートにやってくる船長、
出船時に船長が
「バラムツは引きがすごくて、マグロ並。マグロ釣りの練習で釣りに来る人がいる。」
とおっしゃっていたのを思い出しました。
まさか本命のバラムツか!?
釣れちゃうのか!?
船長に"お腹に竿を固定するベルト"をつけてもらって魚と格闘するI氏!
戦いが続くこと数分、
「とつぜん反応がなくなった。」
とのこと。
巻いてみるとメタルジグをロストしてました。結び目を切られたのか?
凄まじい強敵だと再確認。
とか何とかやっているうちに、船の反対側を見てみると、
もう一方の男女ペアが魚をばんばん釣り上げてるんですよ。
ブリみたいな見た目とサイズ感なのですが、
黒々とした異質な魚…
けっこう釣れていて10匹近く上げたのではないでしょうか?
そしてその魚こそ悪名高いもう片割れ、
アブラソコムツ。
アブラソコムツを食べさせてもらった
聞くとどうやら二人は釣具のテスターさんらしく、新しい道具のテストをしているそーで、釣った魚は逃しちゃうとのこと。
「食べてみたい。」
とお願いをしてみるとありがたいことに快諾いただけ、船長が船の上でバラして食べさせていただきました。
「ひとり三切れまでにしときな、
あとイモ食ったほうがいいぞ。」
とのコメント共に頂いた味は今でも忘れません。
口に入れた途端ひろがる、脂の甘み。
それはもう本能的に"旨い"と感じてしまう明らかにヤバい味。
ついつい友人と二人で「うめぇ!」と言っちゃいました。
噛むと広がる旨味と酸味もこれがまた豊かで、主張の強い味同士でバランスがとれた高次元な身質。
後味にほんのりガソリンのような科学的な香りが残るんですが、コレはほとんど気になりません。
まさに過去に経験したことない旨さの魚。
コレはたしかに食べたくなる…!
そのあと船長もひとくち食べて、
「うめえな。」
「でもやっぱ本バラのほうがうめえな。」
とポロリ。
「えええええっ!!バラムツこれより旨いの!?
なにそれめっっちゃ食べたい!!!釣らなきゃ!!」
ってなったのですが、残念ながらこの日はバラムツのアタリはもうなくって、店じまい。
船長いわく「満月で明るすぎて魚が上がってこないんじゃないか?」とのこと、また新月の日に出直すことになりました。
アブラソコムツを持ち帰ってしまう
さて、
調子に乗ってアブラソコムツを大量にいただいて帰ってきてしまいました。
このロウのように白い切り身。全て毒魚はアブラソコムツ。
そしてここから始まるアブラソコムツを食べ続ける生活。
冷凍したりヅケにしたりして毎日消費します。
船長のコメントに従い、
・一食で3きれまで
・一緒にイモを一個食べる。
という厳格なルールに従いやったのですが、
健闘むなしく決壊という失態を犯しました。
アブラソコムツの決壊について
※汚い話をしてしまうのであれなら飛ばして下さい。
アブラソコムツの脂であるところの「ワックスエステル」。
これはいわゆるロウソクの蝋のようなもので、食べても直接害はないのですが…
人体で消化できずただただ排泄されるため、
油便というのが出ます。
私の場合は、きちんと便意はあって、ダダ漏れするようなことがないのは幸いでした。
シカシこれが感覚的には便というよりオナラに近い感覚でして、
いつもの感覚でいるとヌルッと出てくるんですよね…
いちおうオナラの気配を感じたら必死で我慢して、トイレに駆け込むことで事なきを得られそうで、
最初のうちは
「大変だけど生活に支障をきたすほどではないかな?」
とか油断してたんですけど、
作業中にこれがきて人生の危機に直面する事態が発生してしまい。
けっきょく私も先人にならい、しばらく東京でオムツをはく生活をしたのでした。
何とか食べきったんですけど、なんかもう色んな意味でごちそうさまですって感じでしたよホントもう。
まとめ
未知なる味を求め、はるばる駿河湾まで出向いてアブラソコムツをGETして食べてみた話でした。
聞いていた通り非常に旨い魚で感動。しかしやはり聞いていた通りその"消化できない油"はキョーレツで、キッチリ私も尻油の洗礼を受けたのでした。
ところで更に旨いというバラムツ、皆さん興味ありませんか?私はあります!!(懲りてない)
アブラソコムツ(油底鯥)
【採取場所】船釣り。駿河湾など、深い海
【採取時期】11月~2月
クロタチカマス科アブラソコムツ属。別名サットウ。バラムツと共にインガンダルマとも呼ばれることも。150mより深海に生息する肉食魚。ゾンビになったブリのような見た目をしていて、1mを超えることもある大型の魚。消化できない脂である"ワックスエステル"を豊富に含むため、食べると下痢をする。
※本種は「食品衛生法第6条2項:有害な物質を含むもしくはその恐れのある食品」に該当し、販売を禁止されております。そうと知らせずに食べさせた場合罪に問われる可能性があるため、扱いには注意を要します。
参考にさせていただいた資料:Wikipedia、デイリーポータルZ
宣伝コーナー
※いちおう毒魚なのでレシピなし!
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