イランで食べた2週間のペルシャ料理レポ【番外編】
前回の記事でイランに行ってきた話をしましたが、イランにはニ週間ほど滞在した都合、さまざまなイラン料理…またの名をペルシャ料理をいただきました。

とって食べた話ではないですけど、中東の食文化をどっぷり経験してきたので、まとめてみました。どうぞよしなに。
イランでは欠かせないナーンの話
イランではナーン(パン)をよく食べる
イランの人々は主食として小麦と米をどちらも食べるのですが、小麦はナーンとして食べるのが主流。

ナーンとは「小麦製品」を総称する言葉とのことで、たくさんの種類があります。

とはいえ、主食として食べられているナーンは3種類
ラヴァシュ
とても薄くてハリのあるナーン。クレープより薄いかも?お店ではローラーマシンで作られていました。

ぷちぷちみたいな凸凹があるのが特徴、様々なものを巻いて食べます。野菜や料理にはじまり、ジャムやチーズなど、塩っぱいものから甘いものまで。レストランではほぼ確実に出てきます。

特に朝食はだいたいこれでした。ホテルでも親戚のおうちでもこれ。

小麦だけで作られているため、合わせる食べ物の味を邪魔しない。どんな食べ物ともよく合う。

レタス・トマト・チーズをはさんだものがお気に入り。日本の家にも常備したい!

サンギャク
手で伸ばした全粒粉入りの石焼きナーン。ほどよい厚みがあり、フカフカ・モチモチしていて食べ応えがあります。

昼食や夕食でたびたび食べましたが、味と食感がしっかりしているので濃い味の料理やハムなどがよく合います。とても美味しい。
サンギャク屋さんを覗かせていただきました。
かまどの中は回転式で、生地を置く場所には小石が敷き詰められています。これが伝統的な焼き方らしい。
バルバリー
ゴマがふられたナン。ゴマがふられているぶん他の二種類よりちょっと高い。とはいえ、ごくごく庶民的なナン。こちらも食事のお供としてよく食べます。これも肉料理によく合う。

その他のナーン
小麦製品なら、だいたい「ナーン」。名前のよくわからない御当地ナーンもたくさんあります。

ナーン専門店もたくさん。さまざまなナーンを売っています。

見たことないものから、見たことあるものまで…!

ちなみに、日本でよく見るこのコッペパンめいた具材を挟みやすいものは…ナーネサンドイッチと呼ぶらしい。そのまんま!

ハンバーガーもありました。バンズはやっぱりナーンなのかな?

イランの米の話
イランでは米も食べる
イランでは米料理もたくさん食べました。長米でバスマティライスと呼ばれる品種。チェロと呼ばれケバブなどとよく食べられます。

私もいくまで知らなかったんですが、イランの北には田園地帯があって、田んぼでお米を育ててるんですよ。異文化のなかの異文化。

タフ・ティーグと呼ばれる料理(炊き方?)で食べることもよくあります。
茹でた米を一度あげ、油をまぶし、鍋で焦がして提供する手法。

綺麗な“お焦げ"がつくのが上手な印らしく、これができないと嫁に行けないと言われることもあるんだとか。
油がまぶされた米はもちろん悪魔的にうまい。特に底のカリカリのお焦げが最高!焼きおにぎりの一番良いところを永遠に食べてるカンジ。
ポロ(炊き込みご飯)
炊き込みご飯のようなポロと呼ばれる料理も何度か食べました。こちらは親族のおうちでいただいたルビアポロと呼ばれるもの。美味。

シーリンポロ
イランのバザール(市場)の人気レストランで食べた品。ランチタイムにいったら席がとれないほどの人気店。

モルグは鶏肉。それと甘く煮付けられたニンジンとポロ。甘い=シーリンであり、ニンジンとポロを混ぜながらいただくのですが、甘さと塩味のコントラストでいくらでも食べられそう!
ちなみに写真の料理の店はこんなかんじ。イランのバザールの老舗レストランです。大人気!

ターチン
人気レストランからもう一品、ターチンというのはヨーグルト炊き込みご飯。ギュッと押し固められた米はズッシリと密度を感じます。押し寿司に油をまぶして焼き固めたみたいな??

脂肪分の多いヨーグルトが使われており、とにかくリッチな味付け。

うまいのですが「この国に滞在したら太る!!」と確信しましたね。
イランの肉料理
イランは羊料理をよく食べる
イランはいわゆるイスラム主教国なので、豚肉を食べません。
代わりによく食べるのは羊肉や鶏肉、羊はお尻に脂の塊をつけた尻脂羊(ドゥンバ)と呼ばれる品種が有名。

臭いのかな?と最初は思ったんですが、そんなことはなく。品種の違いからなのか、さっぱりとして食べやすい。様々な料理で使われています。

アブ・グーシュト
尻油羊の肉を使ったスープ。この羊のお尻の油を使うのがキモらしい。肉と野菜を小さい石鍋でホロホロになるまで煮込まれています。

ちなみにすっごく辛そうな見た目、をしてますが、全くそんなことはありません。それどころかイランには辛い食べ物がほとんどありませんでした。
食べ方が面白くって、食べる前にスープと具を分けます。んで、具は潰して食べます。なんで?

分けたスープにはナーンを浮かべ雑炊みたいにして食べます。クルトンなんて程度ではなく、汁がなくなるまでたっぷり入れるものらしい。なんで??

日本人からすると「もったいな!!いいの!?」って感じですが、濃厚な羊ダシがパンに染みて美味しい!

で、わけた具は、マッシュポテトみたいな感じにしたあとナーンに包んで食べます。ナーンとスープの二段活用、

親戚の家と、観光地の老舗食堂とで、食べました。どちらも同じくらいに美味。
シシケバブ
親族の家で食べたヒツジの串焼き。シシ(串)ケバブ(焼き)という意味で、金属製の串にお肉をさして焼いたもの。この日はレバーやハツで、味付けは塩のみ。

材料のお肉は数時間前にさばいたものであり、鮮度最高。塩だけだけどとても美味しい。
牛のケバブ
牛の肉も食べるとのこと、牧草の問題なのか、やや高価な存在。こちらはカーシャーンで食べた“ひとこぶ牛"という品種の牛の串焼き。

赤身でパサつくのかな?と思ったら、全然そんなことなくリッチな味わい、お肉から乳の味がするんですよね。すっごく美味しい。
ちょっとしたブランドものらしい。松阪牛みたいな感じ?
牛のケバブを煮た料理、なんでのもありました。ホセイミさんのケバブという料理らしい。

柔らかくて煮込まれていて、とても美味。
モルゲアルー
左上のは、モルゲアルー。鶏肉のサワーチェリー煮、甘く酸味がしっかりしていてフシギな味。

スーペジョー
スープっぽいものは、スーページョーといって麦のスープ。味噌汁ポジションらしい。これも酸っぱい!イラン人は酸味があるものが好き。

キョフテ
いわゆる肉団子の料理。ソースにはサワーチェリーが使われていて甘酸っぱい味付け。甘酢あんに似ているかも?

団子がデカくて、中に卵やナッツが入っているのがポイント。とにかく食べ応えのある料理。お腹がパンパンになる。
親族の子は「子どものころから沢山食べすぎて、あんまり好きじゃない」と言ってました。それほどのボリューム感…!

フェセンジャーン
これは鶏肉を使ったシチュー的な料理なのですが、ザクロシロップとクルミで長時間煮込んだもの。甘酸っぱい味わいでとても美味しい。

レストランで食べたものは鶏のムネ肉でしたが、本場では鴨肉を使うとのこと。そっちも食べてみたいなあ~~。
ゴルメサブジ
羊と豆のハーブ煮込み。コクがあり複雑な味。丸いのは乾燥ライムで、つぶすと酸味が出ます。

ゲイメ
イランのメジャー料理のうち、変わってるな~と思ったものはこれ。ゲイメ。
豆を具材にトマトや乾燥ライムなどを香り高いスパイスと共に煮込んだ料理。それに何故かフライドポテトがトッピング!なんで?

ちなみに表面が不思議な形をしてるタフティーグは、鍋底にナーンを挟んで焼き上げたもの、こうすると作りやすいらしいですよ!(いらんイラン知識)
イランのピザが美味しい!
イランで何が一番美味しかったか?と聞かれたら「ピザ!」と言うかもしれない…
出前システムがあって、インターネットから頼むと30分くらいで届くんですよ。

そして美味しい。特にチーズが美味しい。

これでもか!!というほどたっぷり乗っていてかつ濃厚。酪農が盛んで、お手頃価格で沢山手に入るんですよね。

味付けも甘じょっぱくて、日本人に合う。つまりおいしい!
レストランや出前で何度かいただきましたが、どれも美味でした。

しかし、欠点があり…

イラン人はもてなしパワーが高く、客人をもてなすことに喜びを感じる民。
なもんで、家に帰ると親族が「ピザ頼むけど食べる?」と促され…
私が「お腹いっぱいだから平気だよ。」といっても。
親族は「じゃあサラダでもどう?」と言うんですよね。

「じゃあサラダだけでも。」なんて答えたら、すぐにスマホでぴっ♪ぴっ♪と注文し、
サラダと、ピザが2~3枚とどいて、食べることになります。

もてなしたい気持ち+デリバリーサービス のコンビネーション。私の胃袋は数日で死にました。

イランにいくときはお腹をすかせて行きましょう…!胃腸薬も忘れずに。
野菜料理は?
野菜料理はそれほど種類がありません。レストランでは日本でもよくある"野菜サラダ"みたいなのがメニューに乗っていましたが、どちらかというと洋食ポジション。。

シーラジ・サラダ
ペルシャ料理のサラダはコレ、刻んだトマト・キュウリ・タマネギをマリネしたサラダ。

こってりとした料理の合間に食べると美味しい。

サブジホルダン(ハーブボウル)
普段の「野菜」の役目をになっているのはこのハーブボウルかも?ネギ類やミントなど、辛いものや香りがいいもの・酸っぱいものなど、様々なハーブをミックスしたミックスハーブ。

ドレッシングなどをかけるわけではなく、そのまま食べます。肉料理なんかと一緒に口にほおりこむ感じですね。

レストランなんかでも肉料理を頼むとこれがでてきます。肉料理には欠かせません。

定食の脇にちょこんとのってるのも、このハーブ。

イランでは野菜=ハーブ、なのかも?痩せている土地でも育つハーブをうまいこと使ってるのかなあ。
果物はめっちゃ食べます
ちなみに果物はめちゃめちゃ豊富。

毎食のように欠かさず食べます。

特にメロンとスイカが激安でめっちゃ美味しい。毎日のように食べていました。果物の話で一本記事が書けそうなくらいなので食レポはまた別の機会に…!
イランの郷土料理は、その土地にいかないと食べられない
イランの欠点なのですが、外食産業が育っていません。
レストランはメニューの品数が少ない…、かなりおしゃれなレストランでもこんな感じ、

フードメニューはどこも10種類くらい。下町のうどん屋ですらもうチョイ品数ありません?
メジャーなもの以外は専門店で食べられるのみで、その専門店はほとんどないらしい。

各家庭では色々な料理を作るそうですが、"わざわざお店に食べに行く"ってのはあんまりないそうです。
嫁の実家でごちそうになったのは…
アーシュレシテ(奥のスープ):イラン唯一?の麺料理、ハーブうどん
キャシュケバデムジャン(左中央):ナスとヨーグルトのペースト
オリビエサラダ(中央右):ポテトサラダに近い具沢山サラダ
ミルザガゼミ(手前):ナスとトマトと卵の炒め物
こんな感じ、お店のメニューではこういう小料理は少ないのですよね。
近代になって、多少は種類が増えてきたらしいんですけど、洋食系。あとはピザとかハンバーガーみたいなファストフードが中心とのこと。
珍しいものを食べるなら、専門料理店で
お店のメニュー数が少ないので、珍しい料理を食べたいなら専門店で、って感じらしい。しかも、その手の専門店はその土地にしかなくって「行かないと食べられない」とのこと。食べ物は歩いた先にあるわけですね。
これはイスハファーン名物のベルヤーニ。モツのミンチをたたいてハンバーグのような形に整形した料理。土地の名物ではあるものの、その土地から外に出てこない。

キャシュク入のスープ。これも郷土料理で首都圏(テヘラン近郊)ではほぼ食べられない、どころか存在すら知られてないのでは?みたいな感覚らしい。

南のペルシャ湾寄りの街だと、海産物を使った料理もあるらしい。もちろん首都圏では食べられません。うおおおお!いつかそっちも行ってみたいな~~~~!
まとめ
イランの2週間の滞在で食べた食べ物をまとめてみました。ナーンと米を両方食べる欲張りな国で、料理は総じてリッチな味付けの料理が多く、滞在すると太ること間違いナシ。
ただ、外食産業が育っていないので、珍しい料理や特別美味しい料理にありつくのは一苦労、そんな印象でした。
一部の料理は日暮里の例のお店とかで食べられます。ぜひおためしあれ!

他にも、デザート・お菓子類・ドリンク、などが色々あるんですが、語りきれないので、今回はこのへんで!!また次回。
ディスカッション
コメント一覧
イランの料理が知れてよかったです
イラン料理、面白いですよ!
品定め中のトモさん(笑)
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