クジャクをさばいて食べてみた。味は?

2024年5月5日クジャク,季節【冬】


クジャク。飛ばない鳥の一種で、東南アジア原産。

インドの山林で木の実や虫をついばんで、メスにド派手な羽を見せびらかすタイプの生物。

インドクジャク@wikipediaより引用
インドクジャク@wikipediaより引用

そんなクジャクが日本野生で生息していたりします。

飛べない鳥が自然にはるばるインドから日本まで歩いてやってきた…なんてことはなく、ひとの仕業。アライグマみたいに連れてこられたわけですね。

今回、ナント駆除されたクジャクをさばいて食べる機会を得られました。巨大飛べない鳥、クジャクの味はいかに?

クジャクってどんなの鳥?なんで日本にいるの?

実は日本には何度かきていたらしく、古くは"日本書紀"の記載で、6世紀にはきていたそうな…

孔雀図(円山応挙・画、江戸時代後期、MIHO MUSEUM所蔵)
孔雀図(円山応挙・画、江戸時代後期)

とはいえ、そんな昔から住んでいるわけではなく、定着したのは20世紀。沖縄県。

さいしょは小浜島という小さい島でホテルが放し飼いにしたんだそう(昔はおおらかですねぇ…)

小浜島はここ!

しかし…

クジャクの数が増え、
→ホテルが近隣の島の学校に寄贈
→学校の飼育施設が台風でこわれて
→各島で大量にクジャクが放たれ

結果、小浜島だけなく、石垣島・宮古島・黒島、などに定着しちゃいました。

そんな珍しい鳥、みんなが捕まえてすぐいなくなるのでは?と思うじゃないですか。

日本の法律上、"鳥"であれば、外来生物であろうと「鳥獣保護法」の対象になってしまうため、捕獲できないのですよね…

『クジャクの住んでいる島!』

…と聞くと、なんとなくロマンチックではありますケド。実際は在来の生物を食べる大型動物が増えた形になるため生態系にめちゃめちゃ影響を与えているそうです。今や第二のマングースと言われるほどに。

とはいえヒトも傍観しているわけではなく、生息地の島では猟師によって許可捕獲という駆除が行われております。

クジャクがきたよ!

さて、そんなクジャクがどうして私の手元にあるのかといいますと

猟師仲間から

「クジャクがあるんだけど、食べたいから解体して。」

と依頼があり、

インドクジャク
クジャク、解凍中。カチカチ

話を聞くと、宮古島で駆除されたクジャクを送ってもらったそうなんですが、さばくのが大変すぎて、冷凍庫に入れっぱになってしまっているんだそう。

それなら鳥猟師の私がさばく他ないですねえ!(超うれしい!

インドクジャク
クジャク、解凍されて羽が動かせるようになってきた!

…ということで、

猟師が4,5人ほど集まってクジャク解体&料理会をする場に呼んでいただいたわけです。

んで、これがそのクジャク!

若いオス。重さは5キロくらいでしょうか。でかい!

クジャク
クジャク。でっかい!でかい鳥

ブルーからグリーンの構造色、間近で見てみると思っていたよりずっと美しい。宝石みたいにキラキラしています。

こんな鳥を食べる機会を得られるとは!
鳥猟師やっててよかったっ!

クジャクの羽
クジャクの羽、小さめ。キジくらい(数百m)は飛べるらしい

顔まわりの色合いも素敵ですが、

長い尾羽もなかなかのもの。鱗模様のような、植物のような複雑な模様。いいなあいいなあ。

クジャクの尾羽根
クジャクの尾羽根、飾り羽はありませんでした

こんな美しい鳥、さばいちゃうの勿体ないなあ~

クジャクの尾羽根
クジャクの尾羽根

クジャクをさばく

なんて会話を一瞬したものの、

猟師に囲まれたクジャクは…

クジャク
解体されるクジャク

ぶちぶちぶちぶちぶちぶち!!!

と、羽をむしられてしまい。

羽をむしられるクジャク
羽をむしられるクジャク

あっという間にになってしまったのでした。

でも…

クンクン…

見た目はトリなんですけど、ニオイが独特。

クジャクの身
クジャクの身

甘いような?くさいような?

ナイフを入れるときも、やはりその香り…

腐敗臭ではないのですが、かいだことのないかおり。なんだろう?

クジャクの体臭?

クジャクを解体する
クジャクを解体する

においはともかく、体の構造はニワトリとそれほど変わらません。

同じような作りをしていて、同じような肉がとれました。しいていうと竜骨(胸の骨)がしっかりしてたくらい。

クジャクのお肉
クジャクのお肉

どちらもキジの仲間なので、それほど骨格に差はないのでしょう。

クジャクの肉を料理する

ではでは、待ちに待ったお料理タイム。

作るメニューは

・バンバンクジャク
・タンドリークジャク
・バタークジャクカレー

にしましたよ!

クジャクのお肉の料理
クジャクお肉の料理

以下ダイジェスト!

バンバンクジャクを作る

ささみはお肉本来の味をみるためバンバンジーに。

クジャクのささみ

さっと湯がき、細かく割いていきます。

肉質はほとんど鶏肉と変わりません。ミオグロビンが少なく、淡いピンク色。典型的な“飛ばない鳥の肉質"をしています。(つまりうまそう!

クジャクを料理する

キュウリなんかも細かくして、

ごまペーストあたりで作ったタレをかけるだけ。

ゴマペースト

簡単♪

クジャクのお肉の料理

クジャクバンバンジー完成っ!

バタークジャクカレーを作る

続いてバターチキンカレー。なぜか?“インド"原産なクジャクに敬意を払ってのことですよ。もちろんね。

バタークジャクカレーの材料

皆で協力をしてスパイスをむきむき。マンパワーの偉大さよ!

スパイスとヨーグルトでマリネ液を作ります。

バターチキンカレーは意外とカンタン。トリ肉とスパイスがあれば作れちゃうんですよ。そうクジャクでもね。

バターチキンカレーのスパイス

使うのはモモ肉、クリスマスによく食べるアレ。骨をはずしますよ。

クジャクのお肉

スネに筋骨が入っていること以外はニワトリと変わりませんね…

先ほどのマリネ液とあえてしばらく放置。

クジャクを料理する

2時間ほど漬けたら、焼いて、

トマト缶、バター、生クリーム。

クジャクを料理する

軽く煮詰めたら…

クジャクのお肉の料理

バタークジャクカレー、かんせー!

タンドリークジャク

タンドリーなのはもちろんインド原産なインドクジャクに敬意をですね(しつこい

用意するのはマリネ液に漬け込んだムネ肉、

クジャクを料理する

炭火で焼きます。

コツは炭を肉の反対側に寄せてじっくり焼くこと。low & slow で。

1時間ほどじっくり焼いて、

カットすると、しっとりいい感じの焼色。

クジャクを料理する

薄切りにして並べたらこんな感じ!

クジャクの料理

タンドリークジャク、完成!

クジャクの味は?

さて、作ったクジャク料理を紹介したところで実食といっときましょう~~~

クジャクの味はいかに?

クジャクのお肉の料理

まずは、あっさりめのバンバンクジャクから。

いただきます。

ふむふむ…もぐもぐ…

クジャクの料理を食べる!

うん。ホボ、トリ味。

あっさりして美味しい。

のですが、さばいていたときの香りがするんですよね…。

机の上にクジャクが佇んでいて、

見つめられながら食事しているような…??

クジャクの味はいいんですが、なんだろう不思議な感じ。

うーん。机の上の鳥はおいといて、つづき!

タンドリークジャク。

パラリと塩をふっていただきます!

はむはむ…ふむふむ…

クジャクの料理を食べる!

なるほど、スパイスの香りがすばらしい。

まだクジャクはいるのですが、スパイスのおかげでややマイルド。

少し距離が空きました。窓際まで下がってくれた感じ。森へお帰り。

最後にバターチキンクジャク。

クジャクの料理を食べる!

すっごく良い香り!!いただきます。

ぱくり。もぐもぐ…

バターのリッチな香りと、濃厚なスパイスの風味。カルダモンの上品な香りがポイントですよねバターチキンは。

うんうん。それと例のクジャク臭もほんのり。

ってなんでや!カレーですよ。おかしいじゃろ!

クジャクカレー

さすがにスパイスが優勢ですが、わずかにクジャクが窓の外から覗いてるくらいに。早く帰って…インドに!

とはいえ、他の参加者に食べてもらったところ、

「クジャク、すごく美味しい!変な感じしないよ。」

皆一様にこう言うのですよね。

なんで私だけ?
クジャクがいるんです?

もしかすると、さばいていたときの”クジャクの体臭”が私の鼻にこびりついちゃった??

クジャク臭は鼻に残りやすいんですかね。

でも、

「刺し身はさばいた人だけ生臭くて美味しく食べられない。」

とか言いますし、クジャクでもそうなのかも?ヤツがいたのは私の鼻の中か?

さばいたあとは一旦お風呂だの鼻うがい?だのリフレッシュしてから食べたほうが良かったのかもですね。

次回はそうします!

中々クジャクを食べる機会なんて無いかとは思いますが!!
ごちそうさまでした!

まとめ

日本の南のほうに住み着いちゃったクジャクをさばいて料理する機会をいただいたので、さばいたのち料理しました。

インド原産の鳥に経緯をはらってカレーにしたのですが、クジャクの味は普通にさっぱりトリ味で美味。しかし解体時から香る独特の「クジャク臭」がキワモノ。鼻に残って食べるときも常にクジャクを感じる始末。さばいたあとは鼻を清めてから食事にしたほうが良いかもしれませんネ。

クジャク(インドクジャク)

【採取場所】沖縄の南のほう
【採取時期】できません(許可捕獲のみ)
キジ科クジャク属。東南アジア原産。雑食性で昆虫や木の実を食べる。日本には本来生息しないが、沖縄県宮古島に外来種として生息。ホテルや学校から逸脱した個体を中心に野生繁殖している。

参考にさせていただいた資料:Wikipedia、朝日新聞
スペシャルサンクス獲物提供:K氏、P氏、A氏(ありがとうございます)

書籍紹介コーナー

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【おまけ料理レシピ】バタークジャクカレー

【材料】
ヨーグルト x100ml
トマト缶詰 x一缶
バター x30g
生クリーム xお好みで
ショウガ x適量
ニンニク x適量
クジャク xもも肉2枚 ※鳥もも肉でも可
塩 x適量
砂糖 x適量

・スパイス
クミン x適量
コリアンダー x適量
カルダモン x適量
ターメリック x適量
シナモン x適量
赤唐辛子 x適量

【作り方】
1.
クジャクをさばいて、モモ肉をとる。
モモ肉は骨を抜いて、スネの筋骨を丁寧にとっておくこと。
一口サイズにカットする。

2.
スパイスとヨーグルトをよく混ぜる。
スパイスは好みの分量でいい、よく分からなければ全部小さじ1で。
よく混ぜたら、1を漬ける。皿に入れてラップをし冷蔵庫で12時間おいて味をなじませる。

3.
12時間後、バターをフライパンにあけ、バターを熱する。
ニンニクとショウガを低温で茶色く色づいて香りが出るまで炒める。

4.
3に、2の肉を加え、じっくり焼く。
両面焼き色がついたら、トマト缶を加え、じっくり炒め焼きにする。
ここで炒める時間で酸味が変わる。じっくり炒めると酸味が甘みに変わります。味見つつやろう。

5.
じっくり炒めたら、2の残りのマリネ液を加える。
10~15分ほど煮て、最後に生クリームを加え、塩・砂糖で味を整えて完成。