オニナラタケは世界一デカいキノコ?食べてみた

2024年3月14日キノコオニナラタケ,季節【秋】


とある秋、キノコを探しに山に入ったときのこと。

木の隙間からニョキニョキニョキっ!と生えてるキノコを発見、

おおっ、わっさー!と元気いっぱいに生えていますね。

こいつはなんぞ?

肌色から茶色で、いがぐり頭がチャームポイント。幼菌で状態がとてもいい…!

コイツは去年も見た知ってるヤツ!

ナラタケの仲間でオニナラタケというキノコです。

この枯木を苗床にしているんでしょう、木をぐるっと囲むように生えてきていました。

今回はこのキノコの話をしましょう。でっかいんですよこの子は。

オニナラタケの見分け方は?

オニナラタケはナラタケ属の一種。地方名でボリボリと呼ばれたりもします。

やや没個性ぎみですが、よく見ると特徴がはっきりしているので覚えやすいタイプ。ちょっと解説していきましょうね。

まず色、上の写真のようにクリーム色~茶色であること、

カサの側面には条線があり、中央ゴマツブのような飾りがついてること。また全体に微細な鱗片がついてます。

この鱗片がオニナラタケのオニらしさで、特に幼菌はいがぐり頭みたいなります。かわいいですね。

これがさっきのキノコに成長するんですよ!面白くないですか?

ひっくり返して、明瞭なツバも見分けるポイントとしておさえておきましょう。しっかりはっきりついてます。(ないのはコレラタケとか怖いのが混じってます)

柄は中実でしっかりめ、加えて成長すると明るい色から暗い色へのグラデーションが現れます。

だいたいこのあたりがオニナラタケの特徴。

【おまけ】オニナラタケの成長過程

成長過程はこんな感じ!

いがぐり頭が開いて鱗片に、カサのふたが剥がれてツバになるわけですねー。ふしぎ!楽しい!

ちなみに食べられるかどうか?というと、美味しく食べられるキノコです。ただ生食NGなのと、食べ過ぎるとお腹がゆるくなったりするらしいのでちょっぴり注意。

※野生キノコには似た有毒キノコが多数います。決して間違えないよう充分に観察して下さい。慣れてきたころが一番危険ですよ!

オニナラタケは世界最大の生物?

さて、そんなオニナラタケの雑学をひとつ。

「さて、世界最大の生物はなんでしょう?」

という質問、

これがゾウやクジラなんかではなくって、

オニナラタケ。

だという話があるのです。

えぇ…?こんなちっぽけなキノコが?

どういうことかと言いますと、それはアメリカの話。むこうでもオニナラタケは好まれていて、“ハニーマッシュルーム"と呼ばれ、キノコ狩りでは人気な種類のひとつ。

それだけ沢山いるということで…、

オレゴン州のマルー国立公園の地下には超巨大なオニナラタケが潜んでいるとのこと。

もちろん子実体(キノコ)のことではなく、キノコ本体の菌糸の話ではありますが、

そのサイズは

9.1 km平方メートル。

重さは推定、

3万1千トン。

で、でかい…!!

東京23区のうち中央区が"10.2km平方メートル"らしいのでだいたいそれくらい、とんでもない化け物…

【出典】アメリカWikipedia オニナラタケ

古い森の地下で、オニナラタケがゆっくりじっくり菌糸を広げた結果こうなったのでしょう。町を呑み込むアメーバ!みたいで、なんとなくぞっとしませんね。

ま、ヒトからしたら美味しいキノコの無限供給源みたいなもの。ありがたく頂戴するわけですが。

オニナラタケを食べてみる

ではでは、とってきたオニナラタケを調理していきましょう

オニナラタケ以外もいっぱい。左上から、シロヌメリイグチ、ハナイグチ、オニナラタケ(右上)、アカモミタケ(左下)、カワムラフウセンタケの仲間たち(右下)。

オニナラタケは成長具合が良いやつだけつんできました。

これくらいだと、カットせず使えるので便利。

量があるため、まず軽く下ゆで。

野生キノコは劣化しやすいのですが、かるーく加熱したあと水に漬けておけば、それほど味が落ちずに数日もつのです。生活の知恵。

さあ、どんな風に料理してやろうか!

オニナラタケの味は?

下茹でしたあとは、スーパーのシメジくらいの感覚で使っていきましょう。

手始めに、ニンニク&レモン汁に、たっぷりの塩コショウで…

オニナラタケのマリネ。

しっかりとしたキノコの旨味に、針葉樹の香り♪

かなりうまい。

食感もコリコリして軽快な歯ざわり、他にはないこの味覚。野生キノコは格別ですよね!危ないけど!

続いてオニナラタケのおみそ汁、

シンプルに水菜とオニナラタケだけ。

出汁に下ゆでの汁をちょっぴり入れました。オニナラタケの味が濃くでていて非常にウマい。具としても出汁としても優秀!

メインディッシュでしめときましょう、

オニナラタケの入りキノコすきやき!どーん。

でーん。カワムラフウセンタケやオニナラタケがたっぷりと入っています。

濃厚な森林の香りが溶け込んだ一品…まずいわけがなくって!

ごちそうさまでしたー。

まとめ

秋の森で出会ったオニナラタケ。それは「世界一大きな生き物」とも呼ばれるほど生命力たくましいヤツ。優秀な食用キノコでもあって、その味は針葉樹の香りがし美味。

ヒトにとってはでかい餌ですけど、森やその木々から見たら、森を呑み込む超巨大生物なわけですよね。目線を変えたらやはりぞっとしないかも…。

オニナラタケ(鬼楢茸)

【採取場所】山野(針葉樹林)
【採取時期】秋
タマバリタケ科ナラタケ属。木材腐朽菌であり菌糸を伸ばして拡大していく。弱った樹木にも寄生し、枯らしてしまうことも(ナラタケ病)。ナラタケの仲間の特徴は、カサに明瞭な条線があり、肌色~茶色の色、明瞭なツバをもち、柄が白~黒っぽいグラデーション。オニナラタケは加えてカサの表面に多数のササクレができるため区別できる。ヒトによっては食べ過ぎると消化不良をおこすため注意。

※野生のキノコを食べる際は自己責任でお願いします。よく観察し十分に鑑定する事を心がけて下さい。

参考にさせていただいた資料:Wikipedia(英)、弘前大学農学生命科学部附属白神自然環境研究センター 白神山地きのこ情報検索システム

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【おまけ料理レシピ】オニナラタケのすき焼き

【材料】
オニナラタケ
牛肉スライス
牛脂
春菊
豆腐
好みのお野菜
タマゴ

すき焼きタレ

【作り方】
1.
オニナラタケは石づきを落とし、汚れをはらっておく。
大きいものは半分に割っておく。

2.
フライパンを加熱して牛脂をなすり、牛肉を数枚こんがり焼く。
そこにすき焼きタレをたっぷり加え、ジュワーッ!とからめる。
ここで生卵ににからめて食べてもヨシ!食べちゃったらまた入れたらOK。

3.
オニナラタケをたっぷり加えて、すき焼きタレを足し、弱火でしっかり加熱する。
ここで生卵にからめて食べてもヨシ!

4.
白菜など好みの野菜をたっぷりと入れ、野菜とキノコからでた水分で軽く煮る。味が薄い場合はすき焼きタレを足す。

5.
最後に春菊と豆腐を加えて、ひとにたちさせたら完成。
だし汁と一緒にほおばると濃厚でうまい。