タシギはスナイパー(sniper)の語源。そして美味しい!
スナイパーという誰もが知るカッコイイ肩書、
その語源はタシギという一羽の鳥だったりします。

今回はそんな鳥、タシギについての話。
タシギはスナイパーの語源
その名の通り、田んぼなど湿地帯で見かける渡り鳥の一種で
ストローのような細く長いクチバシが特徴的。

飛び方が独特で
予測のしづらいイナズマ型に飛ぶのです。
そのうえ警戒心が高く、ヒトを見るとパッと飛んでしまいます。
そえゆえ、道具がまだ発達していない時代ではとるのが難しい鳥だったそうです。
難易度が高いタシギ(snipe)猟を
⇒スナイプシューティング(snipe shooting)と呼び
⇒スナイピング(sniping)と略され
⇒スナイパー(sniper)と猟師のことを呼ぶのです。
それが射撃の上手なひとを表す言葉として使われるようになり、いまにつながるスナイパーの語源になったというわけです。

さて、ときは現代
先ほどの背景より、
撃ちとればスナイパーを名乗れる!!
(ま、"シギ撃ちという意味"で、ではありますが)
ということで、
タシギは猟師のとりたいターゲットとなっています。

チュウジシギ・オオジシギ・ハリオシギというそっくりさんがおります。これらの鳥はタシギとよく似ており、なおかつどれも禁鳥です。
そっくりさんは春・秋の渡り鳥。対してタシギ・ヤマシギは冬の渡り鳥。冬である猟期に混同する可能性は少ないものの、シーズンや猟場によっては混じる事があるため、十分に気を配って狩猟をするべきでしょう。
タシギをとったので解体してみる
さて、そんなタシギを運良くゲット!
うんと寒い日に、たまたま田んぼあたりの水辺をほっついているのを見かけ、エアライフルで捕獲しました。
聞くところによるとジビエの本場フランスでは、タシギや似たヤマシギをベキャスと呼び、ジビエの王様ともてはやされるのだそう。
その味はすばらしく、いなくなるほどとってしまって、狩猟が禁じられたほど。

ゲットした嬉しさもさることながら、
どんな味なんだろう!?
と、高まる期待。
さっそく解体していきましょう。
皮目に脂がのらないタイプの鳥のようなので、羽むしりはせず皮ごとむいてみました。

剥いてみると、思った以上に小さい。
美味しいとのことですが、一匹じゃ満足できない系かな…

肉質はしっとりとした赤身。
ニオイは堆肥系の香りがほんのり。
部位ごとにバラしてみましょう。

筋肉のつき方はムクドリに似た感じ。
モモ肉も、ムネ肉も、そこそこの肉がついています。
内臓は弾が通ってぐちゃぐちゃで食用になりそうにありませんでした。残念。
ムネ肉をアップで、
他のお肉に比べて繊維が細かいような?
小ぶりとはいえ、じゅうぶん厚みのある肉質。
さっそく料理して食べてみます。
タシギをとったので料理してみる
初物なので、調理方法はシンプルにソテーでいってみます。
黒胡椒をぱーっとふりまして、
つぶしたニンニクと一緒にフライパンでソテー。
じゅわわわわ~
いい香り。
焼いているこの時間がけっこう好きだったり。
いつまでもこうしていたい。

ジビエは火が通り過ぎるとマズくなってしまうもの、幸せな時間はあっというま。
さっとあげてお皿に盛っちゃいましょう。

というわけで完成!
タシギのソテー
せっかくなので寄ってみます。
やけ具合はふっくらした雰囲気。
さて、いただきます。
ムネ肉からいってみましょう。
ナイフを入れると、
『スッ…』
えっ????
やわらか~~~~い!
抵抗なくスゥーーーーッとナイフが入ります。こんなお肉初めてですよ!
豆腐のように…とはいきませんが、バターのような柔らかさ。
これ本気で旨いやつなのでは??
一口でいきますよ~
ガブリ。
おぉぉ…………!!!!!!!!!(拍手)
繊細で柔らかな歯ごたえ。
変なたとえですが、まるでプディングのようなしっとり具合。
口に入れると舌の上でなくなってしまう…
香りは、
レバー系。
レバー系なのですが、嫌な臭さではなく、
お高いフレンチのレバーパテのような調理済みの味。
今回に限ってはうまいとかそういう言葉で表現するのが適切ではない感じ、
美食。
という言葉がふさわしいのではなかろうか。
はぁ…とってよかった…(感動
続いてモモ肉もいってみましょう。
骨がついたままで食べづらいのですが、
小さいのでやむなし、このまま噛みつきます。
がじがじ…
はむはむフムフム、
むっちりした弾力。
レバー感がなく、鳥の旨味が強い。
炭火焼きにした地鶏、
みたいな風味。
美味しい!
ムネ肉とモモ肉でまるっきり味が違うのが面白いですね
あっという間に完食。
ちょっとの量ではありましたが、あまりにも鮮烈な味わいで満足度が高い一羽でした。
ごちそうさまです!
まとめ
タシギは聞いていた以上に美味しい鳥でした。
ムネはレバーパテ、足は地鶏の炭火焼き、それぞれ火を通すだけで完成された料理に変身します。
とるためのハードルが非常に高い鳥ではありますが、それを乗り越えてなお食べたい!と思えます。すばらしい!
タシギ
【採取場所】沼、河川、池、田んぼ
【採取時期】猟期:11/15~2/15(東京の場合)
チドリ目シギ科タシギ属。タシギ類の中で最もポピュラーな種。雌雄同色。暖かい時期はロシアやシベリアなど北で過ごし、冬には東南アジア・インドなどに渡る。日本ではより南へ渡るか、本州中部以南で越冬する。動物食の強い雑食で主に水生昆虫やミミズなどを食べる。
【注意】
本種は鳥獣保護法により保護されております。とるには狩猟法にしたがう必要がありますのでご注意ください。
参考にさせていただいた資料:Wikipedia、エアライフル猟の教科書、狩猟読本、野鳥識別教室タシギ属4種(ジシギ類)の識別
※タシギゲットにはまず猟師になるところから!(Amazonより)
※タシギをとるにはエアライフルが威力的にも精度的にも最適。タシギをはじめた狩猟鳥の解説も掲載。オススメ!(Amazonより)
【おまけ料理レシピ】タシギのソテー
【材料】
タシギ x1羽
ニンニク(国産) x2片
オリーブオイル x大さじ2
黒コショウ x適量
【作り方】
1.
タシギを解体する。
皮ごとむいてしまってよい。
2.
ムネ肉を取り出し、モモ肉を切り分け、黒コショウをふっておく。
レバー・ハツも美味しいのでわけておく。砂肝も美味しいが非常に小さい。
3.
フライパンに油をしき、スライスするかつぶしたニンニクをきつね色になるまで炒める。
4.
フライパンからニンニクを取り出し、
モモ肉、ムネ肉、レバー、ハツをいれさっと火を通す。焼きすぎないこと。
5.
軽く塩をふっていただく。
ディスカッション
コメント一覧
気になっていたシギの味をレポートしてくれてありがとうございます。
日に日に記事の組み立てが上手になっていますね。
有難うございます。嬉しいです!
何でもお食べになるのは結構ですが、昨今はコロナなどの野生動物から病原体も流行っている現状です。貴方も人間である以上いつ未知のウィルスのキャリアなりになる可能性も否定出来ないと思います。
マタギのような精神もなく、ただ悪食の披露がしたいのならアフリカなど野生動物を食べる習慣の大陸に行かれてレポされるが良いでしょう。日本人は僅かタンパク質と米と漬物だけで充分生きていけし必要以上の物を食べたがるのは大喰らい番組と変わらないほどの悪行です。命の有り難みを知るとかいうのは詭弁で自己欺瞞でしかありません。いずれは因果応報と私は思いますよ。ただし他人を巻き込む迷惑をかける可能性はやめてほしいですね。
コメント有難うございます。
おっしゃるとおりジビエは感染症の危険は常にあり、コロナの件も明日は我が身。調理場をアルコール消毒したり、マスク・手袋着用など対策をやっております。
他人をに迷惑をかけないよう、よりいっそう注意をしなければなりませんね。