フェニックスなヤシの実を食べてみた。デーツのかわりになるのか?

2024年1月30日木の実カナリーヤシ,フェニックス


最近知ったんですが、ヤシの実がうまい。

ヤシといったらココナッツ!みたいな風潮がありますが、ここで言うのはココヤシではなくて、ナツメヤシ。そう。デーツの話。

ナツメヤシという木の実。ちょうど親指の先くらいの大きさで、最近は健康食品としても人気。

んで、日本でもよく植えられているヤシの木にフェニックスというのがいますよね、どうやらこいつがナツメヤシに近い仲間なんだそう。

「つまり実が食べられるのでは…?」

と思ったらフェニックスの実の味を知りたくなるのがヒト族の性。

というわけで、日本でそこらにいるヤシ、フェニックスの実。つまりジェネリックデーツを食べてみた話です。

フェニックスの本名はカナリーヤシ!

フェニックス…というと、まず思い浮かぶのは不死鳥のほうなんですが、あれではなくって、温かい地方では定番のヤシの木のほう。

宮崎とか静岡とか、温かい地方では街路樹として植わってます。

正式名称はナツメヤシ属カナリーヤシ。カナリア諸島に生えてたから、カナリーヤシ。アフリカの西!カナリ遠くからやってきました。

とはいえ不死鳥のほうの名前の伊達ではなくって、以下のとおり。

病害虫に強く長寿なことから、不死鳥(フェニックス)の名前が付けられた。
宮崎県公式ホームページ「県の木フェニックス」より引用

病害虫に強いからフェニックス。

なるほどですね、確かに南国ではない日本で育つんですもの、生命力はそこらのヤシとは段違いなんでしょう。かなりつよいヤシなんです。

ちなみに日本でよく見る外来ヤシは大きく3つ、

このカナリーヤシともう一つがワシントンヤシこれがよく植えられます。あとおまけに定着しちゃってるシュロ。

これがワシントンヤシ。

ワシントンヤシ
ワシントンヤシ(画像はwikipediaより)

ワシントンから持ってきたからワシントンヤシ…ではなくて、単純に英名の“Washingtonia filifera(ワシントニア・フィリフェラ)"を直訳しただけみたいですね。ワシントンさんがくれたとかじゃあないんだ!ちなみにアメリカ原産。こいつの実は美味しいのかな?

もうひとつがシュロ。

上の2つは近代移入種ですが、これはアジア大陸から平安時代にやってきた(wikipedia調べ)かなり昔っからいる植物。なもんで定着して山の中とか公園に自生しています。

とはいえ日本の気候では大きく育てないようで、人の背丈よりも低く、ヤシと気づかれない忍者タイプのヤシ。こいつの実もどうなんでしょうね?

同じヤシでも全然違ってって面白い!

カナリーヤシは葉っぱがシダみたく、茎の左右に映えるタイプ。対してワシントンヤシやシュロは、手のひらや扇状の葉をしています。よく見るとヤシって色々いるんですねえ…。実も違うんでしょうねえ…。

それでデーツって?

でもってデーツの話ですよ。

最近は健康食品としてお店で売っているので食べたことある方も多いのではないでしょうか。

ちょっと大きいぶどうくらいの大きさのフルーツなんですが、これがなんとヤシの実なのです。

ヤシといっても、ココヤシではなくナツメヤシの実。

日本では馴染みがないのですが、世界的にはかなり有名で、特にアフリカからアラブのあたりではこれ無しでは生活できないほどメジャー。

紀元前数千年の昔から栽培されていて、乾燥させると日持ちすることから、砂漠地帯の携行食としてはなくてはならないものだったそうです。

イスラム教では「神が与えた食べ物」といわれているほど…!ラマダーン(断食で日の出てる間は食物を食べない習慣)あけに最初に食べるのはこのデーツなんだとか。もはや常食。

ちなみにお味はと言いますと、めちゃめちゃ甘い!

こってりした甘さで、たとえるなら 黒砂糖+干し柿 でしょうか?

濃厚かつずっしりとした味わい。現地ではオヤツとして、食事として、利用理の材料として、色々利用するんだそーです。

日本でも“お好み焼きソース"に使われてる。ってのは有名な話。

フェニックスの実の味は?

さてフェニックスに話をもどしましょう。

実はフェニックスはナツメヤシ属カナリーヤシということは先ほど伝えましたが。

つまり甘くて美味しいナツメヤシにかなり近い種類のヤシなんですよね。

そんなことを考えていたある日。静岡のとある海岸線を車で走っていたところ、

道路沿いにズラリと植わるフェニックス並木を発見。

そしてこれがナント、実がついてるんですよ!!!

これはめちゃめちゃ嬉しい。千載一遇のチャンスなのでは?

わかるでしょうか。

てっぺんの枝の付け根の、ホウキみたいな部位。鈴なりの実がついています。

遠目にはデーツそっくり。あれじゃ、ワシはあれがほしい!

というわけで用意したのはタモ網の柄。

これを伸ばして、実をツンツンして落とす作戦。

ツンツン!ツンツン!

何度かやってると、ポトリ。ポトリと落ちてきましたよ。

うおおおお!フェニックスの実、ゲット!これで永遠の命が手に入る!(入りません)

さっそく試しに食べてみましょう。

もぐ。

んぐ。

あぁ…

美味しく…ない!

まず第一に種がでかくて、可食部がありません。

やむなく、種と皮の間の薄い部分をなめるように食べるわけですが、甘みはなくてただただ渋い。

こ、これはだめなやつだ!

特に赤いやつが美味しくない、そもそも固くて歯がたちません。きっと未熟なのでしょう。

おいしければ、「おっ、これはカナリデーツだな!」くらい言ってやりたかったんですが、これはちょっと。ナリ損ねデーツって感じ。

しかし!!

いくつか味わってみたところ、やや乾燥気味なフェニックスの実は、なんとなく味がするような気がするんですよ。

渋みがほとんどなくて、ほんのり甘く、ささやかなサトウキビのかおり。

デーツも熟れてないものは渋く、干すと甘くなると言います。なるほど、やってみますか、乾燥フェニックスを。

フェニックスの実を追熟させてジェネリックデーツは作れるのか?

というわけで、フェニックスことカナリーヤシの実をいくらか持ち帰ってきました。

これをよく洗って、冷蔵庫で干します。

腐敗したら嫌なので、食品に使えるアルコールをかけて雑菌対策しつつやります。

さぁどうなる!?

…2週間後。

冷蔵庫に入れておいたフェニックスことカナリーヤシの実はこんな感じ。かなりシワッシワに!

これは乾燥できたと言えるのではなかろうか?

デーツみたいな茶色になってくれることを期待したのですが、そうはならないようです。

でもほんのり色が変わりましたね?

食べてみましょう。

はむ。

ん…

無味。

渋みは抜けたんですけど、味はありません。ていうか可食部もほとんどなくて、皮の裏側をなめるかんじ。

つまり美味しくはない、失敗…かなあ!

デーツの追熟方法がわからないと、だめなのかもしれません。これは本場アラブで学んで来るしかないのか!?

ごちそうさまでした。

まとめ

日本に移入されたフェニックスこと、ナツメヤシ族カナリーヤシの実を食べてみました。シカシ味は渋いばかりで美味しくない。

とはいえ乾燥してシワシワなものをたべたら、ほんのりデーツ感があったので処理方法次第ではなんとかなるかもしれません。要研究!本場で学んで来なくては…。

フェニックス(カナリーヤシ)

【採取場所】あったかいところ
【採取時期】秋
ヤシ科ナツメヤシ属。アフリカ西海岸原産。病害虫に強く長寿なことから、不死鳥(フェニックス)と呼ばれるとのこと。葉の下の枯れた葉が連なる部位にシダ植物がついてエリマキみたいな見た目になりがち。南国的オシャレな雰囲気を出すため街路樹として植えられる。ナツメヤシに似た実がつく。

参考にさせていただいた資料:Wikipedia
スペシャルサンクス:A氏

宣伝コーナー

古くから栽培されているナツメヤシには品種があり、デーツの味もいろいろ!試してみてください。私が好きなのは半生のMazafati種。


アラブのお菓子といえばロクム。甘くてもちもちした至福のお菓子♪

デーツといえばシロップも有名。まんま黒糖シロップ。ちょい香りが強いか?きなこもちにかけてみてください!

【おまけ料理レシピ】美味しくなかったのでレシピなし!