コイの丸焼き、マスグーフを作って食べた。血抜きしないし鱗もとらないのに旨い!
コイの丸焼き、マスグーフを作ろう!
という会に参加してきました。
それもマスグーフの本場はイラクで作り方を勉強した方に指導を受けつつ、
本気のコイの丸焼き会をやりました。今回はそのレポートになります。
コイの丸焼き料理、マスグーフとは?
以前に「外来生物丸焼き会」というイベントをやったとき、アメリカナマズやコイを丸焼きにしました。
材料のコイは皆さんご存知の淡水魚。
原産は中央アジアで黒海とかカスピ海あたりが中心。日本にいるやつも殆どはそこからやってきた外来魚。
琵琶湖あたりには日本固有種もいるらしいですが、ほとんどが外来魚。しかもデカいので自然への負担も大きい…
「負担を下げるために食べて減らしましょうね。」というわけで、そのとき知ったのがコイの丸焼き料理、マスグーフ。
エスニカルな響きがしますがそのとおり。遠くイラクの料理。
コイ原産地の旧ペルシャ帝国圏では古くからコイを食べる文化がありまして。調理方法も昔ながらのシンプルさ。そうつまりコイを焼くだけ。
イラクではお祝いごとに欠かせない料理だそうで、専門店も存在するんだとか。
私のイベントでは「そのままじゃあ臭いでしょ?」…ってことで、血抜きをして→鱗をとって→塩でぬめりをとり→スパイスとかをなすって焼く。という調理方法で焼きました、これは意外と高評価。骨が痛いこと以外は!
とはいえ、ホンモノのマスグーフはどんな味なんだろう…?
「味付けは?」
「ホネはどうするの?」
気になるー!
コイをとってマスグーフにする
カスピ海のコイに思いをはせていたある日、友人から
「マスグーフをイラクで習った知り合いいるから、みんなで作ろうよ!」
という話が。
どうやら出張でイラクに年の半分近く行ってて、かつ料理に詳しい方がおり、マスグーフを作ってくれるらしい。
それなら、まずはコイをとらなきゃあね!
というわけで、やってきたのは郊外の用水路。
「流れ込みのところでコイを見た!」
という情報をもとに、コイを網ですくっちゃおうぜ、という作戦。
ところが、コイはおらず…
直前の大雨で下の方に流れていってしまったのではなかろうか?
…コイがとれなきゃマスグーフを焼けねえ!!
ということで、参加者総出で川をガサガサすることに。
上流チームと下流チームに分かれて、包囲捕獲する作戦。山狩りならぬ、川狩り。
田んぼ際の用水路なんですが、歩いてみると、深い所も浅い所もあり、一筋縄ではいかなそう…
「コイが見えた!」
「デカいのが一匹!」
「下ったぞ!止めろ!」
声をかけつつ、絶対コイ包囲作戦を敢行。
みんなで一心不乱に網を振り回すこと一時間あまり。
最初のポイントから橋2個分ほど下った先、コンクリで区切られたプールのような場所にコイを追い込み…捕獲!!
70センチほどの、まるまると太ったコイがとれました。
これでマスグーフが焼ける!!やったぜ。
マスグーフの作り方
捕獲したコイを連れてやってきたのは、マスグーフ会を開催する友人宅。
コイはいったんお風呂にドボン!
三匹いますが、うち二尾はとれなかったときに備えて池袋で買っておいたヤツとのこと。転ばぬ先のコイ。流石です。
ここでマスグーフを焼いてくださるSさんと合流。
話を聞くと、ちょうどこないだ帰国したばかりで、それまではイラクにお仕事でいってて、この日のためにマスグーフの作り方を学んできたのだとか。
めっちゃ料理が好きな方なんだそーで、期待大!
一息ついたところでSさんのお料理講座が始まりました。
マスグーフの作り方はといいますと、まず生きてる新鮮なコイを用意。
続いて頭をゴンと!一撃、コイを気絶させます。
衝撃でなんかオモラシしてますが!気にせずやっていきましょうネ。
そうしたら開いて内蔵をとります。
「あれ、鱗は…?」と思ってSさんに聞いてみたところ、「いりません」との回答。
本場では血抜きをしないどころか、鱗もとらないんだそうです。
いいの!?そんなんで!?
というわけで、ただただ頭からパックリ2つに背開きにされたコイがこちら。
あとは内蔵をとって、洗って、塩をふるだけ。とのこと。
とてもシンプル!さすが古代から伝わる料理。
…とはいえシンプルすぎて不安になりませんか?なりますよね?
はたしてちゃんと旨いのか?
これを焼いていくのですが、立てて焼く 必要があるとのことで、サンドイッチできる網を用意。
イラクだと専門の「マスグーフ焼き網」があるそうなのですが、ないのでDIY。
「味変バージョンも作りましょう。現地でもよくやります」とSさん。トマトピューレにレモンを絞り、ソースを作成。うち1枚に塗るとのこと。
コイにトマト…?日本ではやらない味付けですがはたして?
塩やらトマトをなすったコイは、焚き火で焼いていきます。
炭じゃないのがポイントかな、広葉樹の材を燃やし、遠火で時間をかけつつ、じっくり焼くのだとか。
あまりにもシンプルな調理方法で心配がぬぐえませんが、果たしてうまいのか…!?
中東料理も教えてもらう
焼いている間、Sさんが別の付け合せの料理をはじめました。海外で習ったシリア料理を作ってくださるとのこと。
こちらは乾燥モロヘイヤを使った料理。
あっちでは乾燥モロヘイヤをふやかし、料理に使うのがポピュラーらしい。
味付けは鶏のスープ。香味野菜と丸鶏を茹で、このスープを味付けに使うとのこと。
ほぐしたトリ肉は具としてモロヘイヤに合わせるんだそう。
味付けはハーブミックス/コリアンダーシード/カルダモン/シナモン/クローブなど、…メッチャ美味しそう!
こっちはイラクの中東の極細パスタ、シャーリーア。
ギーという"澄ましバター"みたいなやつで揚げ焼きに、
これをコメと混ぜて食べる料理。中東のソバメシ的な?
料理名は得にないらしい。そうなの??
また、こちらはフリーケという"まだ青い麦を炙って脱穀した"というエスニカルな穀物と、油で揚げたナッツをあわせた料理。
食べたことない料理が次々に錬成されていきます。
どんな味がするんでしょ、食べるのが楽しみ♪
本場のマスグーフの味は?
そうこうしているうちにコイが焼けてきました。
焼けたコイはこんな感じ。
見た目はアジのひらきみたいな(でかいけど)
この時点での香りは、燻されたイイ香り♪そのへんの川のコイとは思えません。
メリメリっと中骨をはずして、
身をほぐしてから食べるのがイラク流なんだとか、へぇ…!
果たして旨いのか…?
まずはその辺の川でとったコイから、
ぱくり…
もぐもぐ…
美味しい。
質感はぷりぷり。川魚にありがちな臭みは一切なく、旨味にあふれ、香ばしくとても美味。
もしかして、
池袋で買ったやつと取り違えたか??
と思って別のコイを食べてみるものの、
こっちも旨い…!!
どちらかというと、その辺の川のコイのほうが旨い気すらします。
コイはただただ焼くだけで旨い。まさか本当に!?
血抜きもウロコ取りも、スパイス塗りたくりも、全部いらない、ただ焼くだけでうまい魚だったとは…
あっ、
そういえば味付けたやつもいたよね?
ってことで、トマト味の味変バージョンも食べてみます。
むぐむぐ…
こちらも美味しい。酸味がコイの身質と合います。
味をつけても、つけなくても、すごくおいしい!コイの懐の広さよ。
コイのY骨の対策
ただ欠点はやはり、
骨が痛い。
ということ。
固くて痛い通称Y骨が埋まってるんですよ。これを避けつつ食べないといけないのがタイヘン。
そうそう!食べ慣れているSさんにこの骨の対策を聞きたかったんですよ。
んで、伺ってみたところ…
「ホントそう。でも対策ないんだよねー。みんな頑張ってよけて食べていますよ。」
とのこと、
そうかーーーーないかーーーーーーーーーーー!
今後ともY骨とは末永くおつきあいしていきたいと思います。
ごちそうさまでした。
中東料理をいただく
…ではなくって、
作っていただいた付け合せの料理もいただきました。
・乾燥モロヘイヤの煮浸し
・シャーリーアーごはん
・フリーケと鶏肉の料理
つけあわせというレベルを超えたボリューム感!
モロヘイヤとコメを盛り付けて、レモンをしぼっていただきます。
苦みがあると思いきや、そうでもなく、こってりとした味付けでコメがすすみます(ソバメシだけど!)
フリーケもめちゃんこうまい。ショートパスタみたいだけど、食感がカリコリして、クセになりそうです。
そんなマスグーフと中東料理を味わう夜を満喫。
重ね重ねごちそうさまでした!
まとめ
その辺の川でコイを捕まえて、丸焼き料理マスグーフを作ってみました。本場で食べたことのある方に指導いただいて作ってみたのですが、血抜きも、鱗とりも、なんにもしないハイパーシンプルスタイル。本当にコイを薪で焼くだけ。
シカシ!焼けたコイを食べてみたところ、これがめちゃめちゃに旨くて感動してしまいました。身はぷりぷりで臭みなし、旨味たっぷり。コイは水質の影響を受けづらいのか?それとも丸焼き料理のなせるワザなのか?
コイ(鯉)
【採取場所】その辺の川
【採取時期】通年、寒い時期は餌を食べないのですくう
コイ科コイ属。流れが穏やかな川や池に生息する淡水魚。日本に生息するコイのほとんどは中央アジア原産の外来種。一部、琵琶湖の深部には日本固有種であるノゴイもいるそうですが少数派。昔は熱心に放流されてきた(中央アジア原産のを)が、近年は環境に与える影響が大きいとわかってきた。
参考にさせていただいた資料:Wikipedia
スペシャルサンクス:Sさん(ありがとう!!)
宣伝コーナー
ソバメシで使ってた極細パスタ、バーミセリとも呼ばれます。
バスマティライスといえばこの銘柄。茹であげたうえで油をまぶし弱火10分が現地流
中東全域で人気のお茶。王室御用達だったのこれ?
【おまけ料理レシピ】コイのマスグーフ
【材料】
コイ ※現地では基本ひとり一尾だそうです!
塩
【作り方】
1.
新鮮なコイをつかまえる。二人以上いるとラク。
2.
コイの頭を棒で殴って気絶させ、背開きにする。
頭もかち割る。テコの原理で開くのがコツ。
3.
内蔵を取り出し、軽く洗う。
水気をふきとり、コイの全身にしっかりめの塩をふる。
4.
薪で火を起こし、遠火でじっくりコイを焼く。
立てかけるようにして焼くとよい。
30分ほどでひっくり返しつつ、1時間~2時間ほど焼く。
5.
ほぐして食べる。
つけあわせは中東料理がオススメ!
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