ニホンザルの肉を食べてみた。感動するほど美味だった件

ニホンザル


サル肉をいただきました。

ニホンザルを、まるっと一頭。

ニホンザル
ニホンザル、もらいもの。本記事ではぼかしをかけさせていただきます

ニホンザルってのは在来の日本固有種のサル。狩猟鳥獣ではないので、許可がない限りとれません。

今回は駆除でとったものを、知り合いの猟師さんからいただきました(アリサさんが)。

私が昔聞いた話だと、

「雑食の生き物の肉はまずい。だからサルはまずい。」

なんて伺いましたが…

本当にそうなんでしょうか?実際に食べて確かめてみましょう。

日本では昔からサルを食べていた?

「サルのお肉を食べる」というと、何となく「だめでしょ!」みたいな雰囲気がありますが、意外と日本では昔から食べていたらしい。

ニホンザルの肉、さばいたもの
ニホンザルの肉

調べてみたら、古くは縄文時代の遺跡で骨が出てきて食べていることがわかっていたりするらしい。また、江戸時代では薬や珍味として扱われており、いくつかの書物に言及があるんだそう。近代でも美食家の本に記録があったり(魯山人味道)、地方の口伝で残ってたり(石川県の「秋猿は嫁に食わすな」)など、たくさんの資料に情報がありました。参考:人はサルとどのようにつき合ってきたか

なるほど。ひとまず食べても問題ないものであり、美味しい?らしいことがわかってきました。それでもまだちょっぴりドキドキしますが…!

サルをさばいてみる

さて、さばいていきますか。

ニホンザルの肉
ニホンザルの肉、ひきとったアリサさんが内蔵を抜いてくれて、冷凍していました

さばくのはお外。かつ共通感染症が心配なので念のためにマスクと手袋。

持論ですが、なんとなく「食べたくない」と思う食べ物は「感染症を本能的に避けてるため」だと思うんです。寄生虫や病気など、近しい生き物であればあるほど感染しやすくなります。魚よりも鳥のほうが感染しやすい(鳥インフルとか)、豚牛はもっと伝染りやすい(プリオン症とか)、でもって霊長類が最も伝染りやすいハズ。それで避けてるんじゃないのかな?

まぁ、病気の生き物は自然界で生き残りづらいので、元気だったはずの獲物であれば大丈夫だとは思いますが、それでも念のために完全装備。

ニホンザルの肉を前にひるむ私
ニホンザルの肉を前にひるむ私

ナイフをいれていくと…

「お、おぉ…」

色々な生き物をさばいてきましたが、やはりサルは違いますね。ちょっぴり「ウッ!」って思いますもん。

ニホンザルの肉

とはいえ、構造はイノシシとさしてかわりません。足首からナイフを入れ、ぐるりと皮をむいていきます。

ニホンザルの肉をさばく
ニホンザルの肉をとりだす

そんな感じで、後ろ足がとれました。

こうなると小型のイノシシやアライグマと変わらない、普通のお肉ですね~。脂身が黄色いのがちょっと違和感あるくらい?

とりだしたニホンザルの肉
とりだしたニホンザルの肉

30分ほど作業を行い、お肉がとれました。

とりだしたニホンザルの肉
とりだしたニホンザルの肉、左が後ろ足、右が前足

普通に美味しそうなのではなかろうか?

サル肉を料理してみる

台所わーぷ!

さっそく猿肉を食べてみましょう。料理はシンプルに塩焼き煮込みでいってみます。

ニホンザル肉を料理する
ニホンザル肉、前足。右がとったお肉

まないたも分けたいので、ひらいた牛乳パックで使い捨て、

スライスすると、変哲もないよくある赤身肉に見えますね。サルなんですが…

薄切りにして焼いてみましょう。

じゅう…

ニホンザル肉を料理する

脂が落ちて美味しそう。食中毒がとにかく怖いので、しっかりめに火を通しておきます。

いっぽう、サル肉の後ろ足は、切らずに丸ごと煮込んでみました。野菜と一緒にコンロの上でコトコトと、じっくり3時間くらい。

そうしたらなんか黄金色のスープができあがりました。

ニホンザルの煮込み
ニホンザルの煮込み

ちょっと色の濃さにびびる私。なにこれたべていいやつ!?

猿肉を食べてみる。味は?

どっちも出来たところで、食べ比べてみましょう。

まずは焼き物から、味付けは塩のみ。つまりサルの塩焼きでございます。

ニホンザルの塩焼き
ニホンザルの塩焼き

いただきま~~~す!

むぐ、もぐもぐ…

味は…

牛肉だ。

ほぼ牛のそれもちょっと脂がのった良い肉。へんな香りや臭みがなく、しっかり焼いてもやわらか食感で、脂と肉の旨味。

つまり、とてもおいしい。

ニホンザル肉

江戸時代とかのむかしは薬扱いだったと聞いていたので、ミョーな味がするのかと思ってたんですけど、そうでもなく、ただただうまい。

単純にタンパク質不足の時代なら、薬になりえたのかもですね。うまい薬、最高じゃん。

猿肉の煮込みの味は?

続いてサル煮込みも食べてみましょう。

こっちも味付けは塩のみ、シンプルにサルのダシを味わう所存。

黄金色のスープにびっくりしてしまいますが、肉が美味しかったのでちょっぴり期待。もしかしてうまいのでは?

ニホンザルの煮込み
ニホンザルの煮込み

ずず…

!?

うまい。

じっくり煮込んだお肉はホロホロやわらか、それいて優しい旨味と肉のダシ。牛のテールスープみたいな味ですね。

煮込んだニホンザルの肉はホロホロ
煮込んだニホンザルの肉はホロホロ

めちゃめちゃ美味しいです。

こんな美味しいんだ、ニホンザルって…!!

一緒に食べたアリサさんは「うまい。牛肉がなかった時代、狙って食べてたのもわかる」というほど。

この黄金色のスープのコクがすばらしい、牛よりスッポンより好みかも?

ニホンザルの黄金スープ
ニホンザルの黄金スープ

シカよりもイノシシよりも圧倒的にうまい。この旨さはがんばってでも取りたくなる旨さ。

「ニホンザルは適切に保護しなければならない」

そう思わせる味でした。

ごちそうさまでした。

まとめ

普通はとって食べることできないニホンザル駆除個体のお肉をもらって、さばいて食べてみました。

とにかくさばくのが不安になる動物でしたが、お肉になっちゃえば普通のみためで非常に美味。これは狩猟対象にしていたら、"いなくなっていた"かもしれません。ニンゲンの美味しいものを求める欲はすさまじいですから…。

ニホンザル(日本猿)

【採取場所】不可(保護動物であり、狩猟免許があってもとれません)
【採取時期】不可
オナガザル科マカク属。日本の固有種で、野生に生息する「サル」といえば本種。雑食で穀物や植物の葉、昆虫、などなど、好みの食べ物は地方差があり、土地のものを食べられるものは貪欲に食べるタイプの生物。狩猟動物ではないが、頭数調整などで駆除された個体が食用にされることがある。

参考にさせていただいた資料:Wikipedia、日本モンキーセンター
スペシャルサンクス:お肉を譲ってくださったMさん、もらってきたアリサさん

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【おまけ料理レシピ】ストーブ煮込み

【材料】
肉 ※赤身肉
野菜(ニンジン、白菜、ジャガイモ、など)

【作り方】
1.
肉と野菜をカットする。大きめサイズのほうがじっくり加熱できる。

2.
ストーブの上に鍋をのせ、肉と野菜を入れ、ほっておく。

3.
水かさが減ってきたら、随時足す。焦がさないように。

4.
3~4時間煮込んだら、塩で味を整えて完成。