イノシシを撃ったんでラーメンにしてやろう

2023年2月16日イノシシ,季節【冬】


報告。

今年はじめて銃猟で獲物をゲットしまして!

ミニサイズですが!(有害駆除の成果)

いや、ゲットしたというか…

猟犬がイノシシを押さえつけて近くに連れてきてくれたのをトドメさしただけではあるのですが…

それはそうとして!

イノシシがとれたらやってみたい事があったんですよ、

それはイノシシラーメンを作ること~~。

イノシシをゲットした話

初夏のこの日、有害駆除に参加しておりました。

有害駆除というのは、狩猟とは別のくくりで、国や町の依頼を受けて獣をとる(駆除する)仕組みです。依頼さえあれば猟期以外でも獣をとれるのが特徴。

ターゲットはイノシシとシカで、近年増えてきて農業中心に被害がでているとのこと。これは猟師が不足している現代の社会問題のひとつだったり。

ちなみに私は有害駆除を依頼されたグループの活動に参加させていただいてる立場で、役割はタツ(追い込まれた獣を撃つひと)。ちなみにターゲットを追い込むのはセコという役割のが担当します。

この日は持ち場は先輩オススメの山の中の河原、山を上りヤブをかきわけ1時間くらい入ったところです。

いい場所なのですが、これまで中々獣と出会うことがなかった私は「今日も森林浴で終わるのかな~~~?」とか考えていました。

そんなわけで、ティアーさん(てっぽーの名前!)を抱いて木に座っていると…

「ワンワンワン!」

と犬の鳴き声が、近づいてくるんです。

それに

「ブウブウブウ!!」

と別の鳴き声も聞こえてくる、これはチャンス到来か!?

そーっと近づいてみると、

ウリボウに毛が生えたようなちっこイノシシが噛み付いておる。

はこっちをチラッとみて

「早く仕留めろよ。」

って視線を送ってくるわけです。

シカシ目の前にはとっくみあう犬とシシ、

「これ下手に撃ったら弾が犬にあたってマズいよね…?」

ということで、なすすべなく待っていたのですが、

いてもたってもいられず…

イノシシが弱ってきたかな~~~?ってところで、足で踏んづけてイノシシを動けなくし、

ズドン!!

これは仕留めたあと冷やしているシシ

と一撃、

こうして初の獲物をゲットしたのでした。

これはもう全てお犬様のおかげ、ありがとう犬。

猟は犬が大切というのを実感しましたよホント。

ちなみにこの日は運がよく、別の場所でデカイノシシもとれて、

数名がかりでデカイノシシを山から下ろす地獄の沢下りが行われ、皆イロイロと失ったりしたのですが、それはまた別のお話。

さて下山したのち、

イノシシたちはそれぞれさくっとお肉になりましたとさ。

やったね!!

ついでにイノシシの骨もゲットした

さて、そんなイノシシの部位のうち私が欲しかった部位はといいますと…

骨。

そうつまりはイノ骨。

こんなの売ってないわけですから、とらないと入手不可能なわけですよ!

「好きなだけどうぞ」と有り難いお言葉をいただいたので、たくさん貰ってきました。

何に使うのか?

えっと、これでラーメンを作るのです。

つまりはイノコツラーメン。

さぁいってみましょう。

イノコツラーメンを作る

ラーメンは鶏やら豚でたま~に作っており、今回はそれをイノシシ骨でやるというわけ。

まずは骨を軽く下茹で。

殺菌と、掃除を処理しやすくする、二つの役目を兼ねております。

真ん中のは背骨、ロースをとったあとの骨。まだちょっと肉がついてます

表面的にさっと火を通したらOK、

んん?

豚と比べるとめちゃめちゃアクが出るじゃないですか!

白い泡が全部アク!

これはイノシシらしさに期待できそう!

これは前足と後ろ足の骨、見た目はトンコツとそっくり

加熱が済んだら、お次は細かい肉片をこそぎ落とす作業、雑味の原因になるので丁寧にやっておきます(特にイノシシですし!)

これがなかなか重労働で、ある意味ラーメンづくり最大の難所かもしれません。

包丁でこさいだり、ハサミで切り落としたりしました

小一時間ほどかけ、だいたい削ぎ落としました。

見て下さいこの美しい骨!

背骨の肉は全部落としました

続いてこれを真っ二つにする作業、

骨の髄を出すためですね。豚骨スープの本体は骨髄、これテストに出ます。

糸鋸でやるのですがけっこうな重労働、斬鉄剣がほしい…

さて、全て真っ二つにしたら鍋で煮ていきます。

薬味として昆布ショウガタマネギを追加し、

ショウガはたくさんいれてもそれほど目立ちません。実は普段食べてるラーメンにも入ってるかも?

たっぷりのお湯でしばらく茹でます。

水を入れすぎると沸騰したときあふれるので注意!これはダメな例

アクをとりつつ15分ほど茹でたら、

長ネギニンニクも追加、

ニンニクはむかなくてOK、ネギは青いところも白いところも使います

でてくるアクをとったりしつつ、じっくり煮ていきます。

アクとりは丹念にやっときましょう。なんてったってイノシシですから

フタをせずに中火で一時間ほど煮たものがコチラ。

水がずいぶん減りましたね、今思えばここで昆布抜いてもよかったかも?

まだまだ煮足りない感じがしますね、骨の髄が残ってますもん。

とはいえ朝まで煮続けるのは勿体ないし、家が臭くなりそう…

そんなわけで圧力鍋に頼ることにしましょう。

圧を強めにかけて、プラス1時間加熱、

仕上げに圧をかけたまま朝まで放置。

水を少し足しました。黄色く濁っているのは脂の層ですよ

翌朝、

髄が溶け出して骨の中がスカスカになってますよ。

本来はあの空洞に髄液(個体ですけど)が詰まってます。よく煮るとゼラチン質になり溶け出します

これをスープ作りは完了、

ラーメンに仕上げていきましょう。

イノシシラーメンを食べる!

さて、ガラとスープをわけちゃいましょう。

更に、スープを更に目の細かいザルで濾したら、肉片の残りカスがとれました。

何となくこの残りカスは食べられそう?

というわけで、砂糖と醤油を足して煮てみることに。

というわけでトッピング完成、

ラーメンの絞りカスで作ったそぼろ。

美味しそうなのでは?

では改めてラーメンにしていきましょう、

スープを再加熱すると…

「我が家はいつからラーメン屋になった?」

ってくらい濃厚なトンコツ臭があふれてきました。

ヘイラッシャイ!!(部屋が臭いのはもうあきらめました)

近くの製麺所でラーメンの麺を買ってきましたら、

お玉3杯のスープに、スプーン一杯の醤油を足し、そぼろと野菜をトッピング…

イノコツラーメン、完成!!

さて味は?

ずずず…

あれれ?

あっさり美味しいトンコツ味。

もっとこうもわんもわんした野性味があると思っていたのですが、

そんなことぜんぜんなくて、なんだか肩透かし…

ズルズル…

うーんめちゃめちゃマイルドな風味であっさり完食。替え玉ほしー!

ちょっとアクを丁寧にとりすぎたかもしれません!

うまいですが普通のトンコツラーメンですよこれは!

翌日の二杯目、スープはストレートで味付けは塩のみ。

チャーシューをイノシシ肉で作ってトッピングしてみました。

こっちのほうが美味しい!

あっさりなイノシシスープにはあえて醤油を入れないほうが合うかもしれません。トンコツの旨味の中に滋味深い味わいがあるような?

ごちそうさまでした。

まとめ

イノシシの骨で作ったイノコツラーメン、コレが思ったより普通においしくって肩透かし。もっと臭いもんだと思っていたのに!

次は二郎風にアクをとらず塊肉も盛大に入れてヤベーの作ってみたいですね~~!そのためには大きいイノシシを自分でとらなきゃ、精進します。

イノシシ

【採取場所】山野
【採取時期】11/15~2/15(猟期)
鯨偶蹄目イノシシ科。雑食、穀物・木の実・昆虫・木の根・水生動物、などなど何でも食べる。肉食はしないため食べるためにヒトを襲う事はないが、突然ばったり出くわすと攻撃してくる場合がある。基本的にヒトの気配を察すると逃げていくため、遭遇を避けたいのであれば音をたてイノシシに避けてもらうのがよい。

【注意】
本種は鳥獣保護法により保護されております。とるには狩猟法にしたがう必要がありますのでご注意ください。

参考にさせていただいた資料:Wikipedia、クックパッド(ラーメンレシピの参考)、狩猟読本
スペシャルサンクス:お世話になっている猟隊のみなさま

【おまけ料理レシピ】イノコツラーメン

【材料】
イノシシの骨 x前足2本、後ろ足2本、背骨

・薬味
ネギ x2本
タマネギ x1個
国産ニンニク x1個
ショウガ x1片
昆布 x1枚

・調味料
塩 x適量
味の素 x適量
醤油 x適量

・道具
圧力鍋 ※でかいものがよい

【作り方】
1.
イノシシの骨は関節で折り、湯通しする。表面に火が通るまで。

2.
湯通しした骨をよく洗い、肉と肉を丁寧に削ぎ落とす。筋はそのままでもOK。

3.
綺麗にした骨を、糸ノコで半分にする。
硬くてキツい場合は、1時間くらい煮てから切ると少し楽になる。

4.
3を30分ほど茹でつつ、アクをとる。
この間フタをしないこと。

4.
半分に割ったショウガ、半分に割ったタマネギ、ほぐしたニンニク、水で戻した昆布、を加え更に1時間煮る。

5.
圧力をかけ、1時間煮る。
このとき水が足りなそうなら足す。
1時間煮たあと、火を止めて圧をかけたまま1時間以上放置する。

6.
骨の髄が流出したことを確認。溶け出してなければ再び圧をかけて同様に煮る。
溶け出していれば、骨から髄を残さずかき出す。髄を取り終えた骨は取り出す。
昆布・ネギ・ショウガも形が残っていれば取り出す。

7.
スープを再加熱する。沸騰ちょっと手前ほどで、泡立て器で撹拌し、筋や髄液をスープによく溶かす。

8.
荒いザルでスープを濾す。
濾した絞りカスは調味すれば具材になるので使うとよい。

9.
濾したスープに塩や好みで味の素を加え、味を整えたらスープが完成。

10.
温めたどんぶりにスープを注ぎ、好みで醤油を加える(使うのはみりん1と醤油1を1/2になるまで煮詰めたカエシ醤油がオススメ)
茹でた麺を加えたら完成。
トッピングはネギ・紅ショウガ・タマネギみじん・チャーシュー、なんでも旨いと思われます。