アライグマが臭いならベーコンにしちゃえばいいじゃない
私が狩猟でよくとってくる獲物、アライグマ。
その肉は旨味が強く優秀な食材であることは周知の通り。
ところが、なかにはクセが強い個体もいるのです。
というのも猟期末期にとれた大型のオスアライグマ。
この個体、前足を調理して客人に出したところ、
一口たべたところで、
「臭い」とのコメントが
そうか。
なかには臭いアライグマもいるのか…
いやシカシ臭い個体も美味しく食べたいもの。どうしたものか…?
と、考えた所ヒラメキました。
燻製ではどうだろう?
つまりアライグマベーコン
善は急げ。さっそくやってみました。
アライグマの塩漬けを作るところから
お肉は、例の個体の後ろ足を使います。
まずは漬け込み、
家にあるスパイスを使ってハーブソルトをこさえます。
タイム、オレガノ、クローブ、ローズマリー、ローリエ、などをチョイス、
これを塩、砂糖と共に肉にすりこみます。
ジビエということもあり、雑菌対策として塩はかなり多めにしました。
塗り込むというより、
塩に埋めるという表現が的確なのではなかろうか?
これを冷蔵庫の奥底で一ヶ月熟成させます。
豚でつくるときは二週間とかなのですが、野生の生き物なので長め。
その間はイグアナを追いかけて南の島にいったりして過ごします。
と、いうわけで・・・
一ヶ月たったものがこちら。
水分がぬけてピッチピチになっています。
抜けた水分はゴミ袋に溜まっていました。
ジップロックを貫通してしまうんですね、
危ない…ゴミ袋がなければ即死でした(野菜室が)。
あけてみると、
ハーブの香りがぶわっ!と広がります。
腐敗臭は一切なし、
お肉からはソーセージのような熟成香♪
うまくいったようです。
アライグマの塩抜きをやってみる
続いて塩抜きの工程に入ります。
まずは塩気を洗い流すところから。
ふははー、お前は今日からアラワレグマとなったのだー!
何だか勝った感じがしていいですね。
軽く洗ったのち、水を張った容器に沈めます。
塩の中に埋め込むような漬け方をしたため、塩の塊のようなしょっぱさ。
そんな骨の髄まで染み込んだ塩気を抜き取るには時間がかかるのです。
ちょろちょろ~っと水を流しつつ、この日は就寝。
続きは翌日!
さて翌日、
24時間ほど塩抜きをしたところで、取り出しました。
ちょいとカットし、焼いて味見をします。
ぱくぱく…フムフム…
ぼんやりとした塩味、
中心部はまだまだしょっぱいはずなので、外側が薄味くらいがちょうどいいはず。
OKとしましょう。
一旦、脱水シートに包んで冷蔵庫で休ませます。
余計な水気をきるのと、塩味を落ち着かせるためですね。
またまた翌日!
アライグマをスモークする
いよいよスモークにしますよ~。
あいにくスモークキットは持っていません。
家にあるもので自作しちゃいましょう。
というわけで、使い古しのパスタ鍋にチップを敷き詰めます。
こんなもんで良いでしょう。
チップの上に土台を作ります。
底に敷いたチップ
→ その上に粉ふるい①
→→ その上に円形の網①
→→→ その上に粉ふるい②
→→→→ そして最後に円形の網②
というトーテムポール構造にセット。
(本来は一段目にアルミホイルを敷くのですが、敷き忘れてしまいました)
一番上の網にアライグマをアライドオン。
フタをして準備完了。
家が臭くならないよう窓を全開にして、換気扇をブン回したら、
カチッと。
煙がしっかり出るまでは強火。
でもって、煙がでてきたら中火から弱火に変更します
フタの空気穴から煙がでてくるので、手元にあったアサリでフタをしました。
この状態で内部温度は100度を超えているはず。
このまま30分加熱します。
30分たったところで、火をきってしまいます。
あとは、フタを開けずに二時間冷まします。
二時間経過、
いい感じの雰囲気なのでは?
ではでは、ぱかっと。ひらけアライグマ~
んん~…
たちこめる燻製の香り…。
あぁ、良いですね~
この瞬間のために燻製をしていたといっても過言ではありません。
でん。
取り出してみました。
なんか、
メチャメチャ黒い…?
写真の写りが悪いように見えますが、
ホント黒いんです。
カットして内部をチェック、
なかも黒いぞ…?
火は通ってるみたいですが…
大丈夫です?これ?
試しに味見。
ぱくっ。
ガジガジ…
ん、いける!
食感は限りなくベーコンに近いのですが、弾力がスゴい。
ブリンと歯を弾き返してきます。
とはいえ噛み切れないほどではなくてベーコンの皮、もしくは硬めのハムのよう。
味は…
ちゃんとベーコン。
お肉は野性的なのですが、スパイスの香りがとても強いのが印象的。
それに燻製の香りが合わさって、
「野生・スパイス・燻香の三者がひとしきり殴りあったのち、お互い打ち解けた。」
という不思議な協調性のある味わいに。
アライグマベーコン、完成です。
うまくいきました。
アライグマベーコンで料理する
さて、作ったアライグマベーコン、
そのまま食べても美味しいのですが、せっかくなのでベーコンらしく料理に使ってみましょう。
まずは、
アラライチーノ
(アライグマペペロンチーノ)
ガーリックとアライグマ、香りがいい食材同士の相性はばっちり。うまい!
続いて、
アライボナーラ
(アライグマカルボナーラ)
ベーコンといえばカルボナーラ、もちろん作りました。
クリームソースの中でも存在感を失わないアライグマ。とうぜんうまい。アメリカ人は大好きな味ですね。
最後に、アメリカ人といえば…
ピッツアライ
(アライグマピザ)
クリスピーなピザ生地にオレガノトマトソース。そしてアライグマベーコン。
トマトとアライグマの相性が良いのは当然ですが、スモークにしたことでより存在感がアップ。旨さマシマシ。
どれもうまい。
ごちそうさまです。
まとめ
アライグマベーコン、アリでした。
これならば、臭いアライグマも間違いなく美味しく食べられることでしょう。
全国の臭いアライグマ被害に困っている皆さん!
とっ捕まえてベーコンにしてみるのは如何でしょう!!
アライグマ
【採取場所】森林、農地、果樹園、河川敷、都市部など
【採取時期】1/15~2/15猟期
アライグマ科アライグマ属。北アメリカ原産で日本にはペットとして輸入された。現在は野生化して、日本の生態系に影響を発している。雑食で植物から昆虫・魚類・小型哺乳類・鳥類・キャラメルコーン…など何でも食べる。野生動物の食味はその食性によるところが大きい。農地でとれた個体は美味しい。
【注意】
本種は鳥獣保護法により保護されております。とるには狩猟法にしたがう必要がありますのでご注意ください。
家を臭くせずに燻製をしたい!という方には家庭用スモーカーがおすすめです(Amazon)
桜チップはこれを使ってます(Amazon)
【おまけ料理レシピ】アライグマベーコン 分量てきとうでもいけるver
【材料】
アライグマ後ろ足 x2本 ※イノシシとか豚肉でも美味しくできると思います
塩 xたっぷり
砂糖 x塩の1/3くらい
好みのスパイス&ハーブ xたっぷり
・その他
ジップロック x1枚
ゴミ袋 x1~2枚
桜チップ x50~100g
脱水シート
スモーカー
(もしくは、ダメにしていい鍋とダメにしていいザル。ザルは粉ふるいが使いやすい)
【作り方】
1.
好みのスパイスとハーブを混ぜてミックススパイスを作っておく。塩と砂糖も混ぜておく。
オススメは、ローズマリー、タイム、ローリエ、ペッパー、クローブ、ナツメグなど。
2.
アライグマの足にたっぷりのハーブすりこむ。
そのうえから、塩漬けにするかのごとく塩&砂糖を厚くぬる。
3.
2をジップロックに入れ、冷蔵庫で一ヶ月漬け込む。
※液漏れするため、必ず二重にジップロックをしたり、ゴミ袋をかぶせておきましょう。
4.
一ヶ月たった3を取り出す。よく洗い、たっぷりの水or流水で24時間塩抜きをする。
塩抜きできたら、お肉をカットして焼いて味見をする。薄味であればOK。しょぱければもう数時間塩抜きする。
5.
塩抜きしたものを脱水シートにつつみ、冷蔵庫で12~24時間乾燥させる。
6.
スモーカーと桜チップで5をスモークする。
☆スモーカーがないけど燻製したい場合
6-1. ダメにしていい鍋とザルを用意する。換気扇を最大にし窓をあける。
6-2. 鍋をコンロにおき、底に桜チップをしく。
6-3. チップのうえにアルミホイルをひく(空気が入るように調整すること)
6-4. アルミホイルの上にザルを置き、ザルの上にスモークにする肉を乗せる
6-5. 鍋の蓋を閉め、コンロを火にかける。煙がでてきたら、弱火~中火で調整。
6-6. 30分加熱し、火をきる。そのまま蓋をして2時間放置する。
6.
そぎ切りにしていただきましょう。
内部まで十分に加熱できていない場合は、念のため食べる前に加熱するのがベターです。
アライグマをとる記事はコチラ
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