カルガモをとって食べた
カルガモは私たちにとって、最も身近な鴨といえます。
どうして?
今回はそんなカルガモの話をさせてください。
カルガモは最も身近な鴨
ほとんどの鴨は渡りをし、温かい時期をロシアなど北国で過ごし、厳しい冬の時期のみ日本に飛んでくる生活を行っているのですが、
カルガモは渡りをしません。
渡りをせず日本に留まる鴨はカルガモのみ、夏も含めて一年を通して見る事のできる鴨はほぼこのカルガモなのです。
彼らは年中とおして日本におりますので、
可愛らしい子どもたちを連れて歩く姿を見せたり、
河原で人間からエサを貰ったり、
他の鴨は渡っていってしまいますので、日本でそのような姿を見せる事はほぼありません。
渡りの時期以外に、普段見ている鴨はすべてカルガモです。
そんな事から、カルガモは我々にとって最も身近な鴨だと言えるでしょう。
カルガモを食べてみたい
そんなカルガモですが狩猟鳥獣の一種、とって食べる事ができます。味はマガモに近く美味しいとのこと。普段は愛でる対象ですので少し罪悪感がありますが、一度チャレンジしたいと思っていました。
そんな猟期のしょっぱな、運よくカルガモがとれまして、味わう機会を得ることができました。
皮肉な話ですが、猟期のはじめのカルガモは約9ヶ月のあいだ無害な人間と接してきたため、非常に警戒がゆるくとりやすいです。
※猟期=とっていいシーズンは東京でいうと11/15~2/15、それ以外の9ヶ月間は人に襲われる事はまずないわけです
さて、しばらく熟成させ、食卓にあがりました。
カルガモは冬でも地味なカラーリングのため判別し辛いのですが、くちばしの先端が黄色という特徴を覚えておくと簡単にわかります。
羽をむしり、羽毛をあぶり、お肉にしてみました。
ここまで来ると素直に食材と認識できるようになりますね。
今回はとった日が特別に暖かい日だったためか、肛門付近の肉が多少腐敗しています。運搬時にはきちんと冷やさないといけませんでした。反省。
解体、胸肉を取り出してみました。モモ肉は腐敗により色とニオイが怪しかったため廃棄。ごめん。
上半身を料理に使っていきます。
ちなみに砂肝の中身は主に草類でした。
植物食の個体が美味しいという話ですので当たりの個体カモ。
切り分けると食べ物に見えてくる不思議。料理はオーソドックスに鴨鍋にしましょう。
鴨鍋をやると言うと、友人が炭火セットを持ってきてくださり、
鴨鍋は炭火で焼いてから作ると3倍うまい
と仰るので、鍋に加える前に炭火で焼くことにします。
じゅう。炭はよい…
胸肉がしっとり焼き上がりました。
試しにこのまま食べてみると、炭火のいいにおいがします、最初に口の中を満たす香りが芳ばしくたまりません。
味は野性味がありいわゆる鴨味が濃いのですが、炭の香りとの相性がいいせいか嫌な感じはしません。味が濃くて好きな人はたまらない味。カルガモうまいです!
では本番の鍋にいってみましょう。
鴨のガラでとった出汁と、しょうゆ・ショウガ・みりんとシンプルな味つけ。
調子にのって具材を沢山いれてしまいましたが、ネギ・肉・豆腐だけで良かったかもしれません。
火がとおったところでスープをすすってみると、良い出汁がでています。鴨の野性味に醤油とショウガとが合わさりほどよいバランス。なんとなく私の中の日本人の遺伝子が「この鳥はうまいぞ」と言ってる気がします。
肉は煮えきって硬くなってしまい、炭火から食べるより味は落ちてしまうのが少し残念。
それでも十分に良いアクセント。スープを三倍美味しくしたので十分に役割は果たしているのです。
最後は三倍うまいうどんでフィニッシュ。
ごちそうさまでした。
まとめ
普段は愛でているこの鳥を食べる事に違和感がありましたが、いざ食べてみると「日本人はきっと渡らず留まるこの鳥を昔から食べてきたんだろうな…。」とふと思うような懐かしい味わいがしました。
カルガモ、おいしいです。
YouTubeでもカルガモを食べます
YouTubeでカルガモをタコスにする動画を撮影しました。こちらもどうぞよしなに。
カルガモ
カモ科マガモ属、本州以南に留鳥する。稀にマガモとつがいになってロシアに渡ったりもするそう(愛ってスゴイですね)。子供を連れて可愛らしい姿を見せる側面もあれば、イネの害鳥とされたり、気性が荒くケンカしたりもする。身近にいるだけに様々な姿を見せてくれる鴨。
【注意】
本種は鳥獣保護法により保護されております。とるには狩猟法にしたがう必要がありますのでご注意ください。
書籍紹介
マンガで入りやすい狩猟の世界。オススメの本です。
エアライフルで狩猟を始める方向けのガイドブック。鳥をとるならこれ!
本格的に狩猟を始める方向けのガイドブック。イラストや写真が豊富で非常にわかりやすい!
【おまけ料理レシピ】カルガモ鍋
【材料】
カルガモ x一羽
ネギ x3本
豆腐 x半丁
水 x1~2リットル
★スープ
しょうゆ x少々
みりん x少々
しょうが x少々
かつおだし・こんぶだし xお好みで
【作り方】
1.
カルガモは羽むしり→羽毛炙り→解体し以下のように扱います。
・胸…鍋の具、一口大に薄くそぎ切り
・モモ…鍋の具、硬いので、包丁を入れておくとベター
・ネック、背骨、手羽…出汁、よく洗って内蔵を取っておきます
・砂肝、ハツ、レバー…使いません、醤油で煮て別に食べましょう
ここで、ネギと豆腐も好みのサイズにカットしておきます。
2.
鍋に水を入れ、ネック、背骨、手羽、ショウガを弱火で沸騰するまで煮て出汁をとります。沸騰したらそのまま10分ほど煮てガラを取り出し、みりんとしょうゆで味を整えます。※各だしはお好みでこのタイミングに入れます
3.
ネギを入れ、火を通します。
同時に、胸・モモをフライパンで強火で表面に焼き色がつくまでソテーしておきます。あれば炭火で焼きましょう3倍うまくなります。※ソテーだと2倍くらい
4.
ネギが煮える直前で、胸・モモを鍋に入れます。いちど沸騰させたのち肉に火が通ったら止め、豆腐を入れて完成です。スープがうまいので、あればうどんを入れてシメましょう。
※カルガモ肉がなければ市販の鴨肉で代用可能です。鴨肉はだいたいがアヒルもしくはアイガモですが、野生のカルガモにはアヒルやアイガモの血縁者が多いそう。だいたい煮た味になります。
ディスカッション
コメント一覧
残酷な写真や、食べて美味しいなど、酷すぎる。
可愛いカルガモを狩猟して平気なんて、神経を疑う。
すみません、そういう意見もごもっともかとは思います。
狩猟鳥獣であるカルガモはずっと昔から食用としてきた動物。
ご理解をいただく…というのは難しいかもしれませんが
そんな文化もあるのだなと知っておいていただければ嬉しいです。
肉食わないでね。
単純なお方ですね。「クジラやイルカは賢い動物だから、それを食べるなんて残虐。ウシやブタは神が人間のために作った動物だからいくらでも食べよう」とのたまう西洋人と一緒です。
人間は、カルガモはじめ鳥はかわいいと言い、ヘビは気持ち悪い、怖いと言います。インターネット上には、ヘビが鳥(の雛)を襲って食べる動画が幾つもあり、それを見た多くの人は「鳥がかわいそう。ヘビは悪い動物だ」と思うかも知れませんが、どちらも地球上に生まれた「命」という点では平等であり、生きるためには食べなければならないのです。それに、そうやって命のやり取りをする事で自然界の調和が保たれ、かえって豊かな生命が育まれて来たのですよ。
それを、外見や行動によってこの動物はかわいい、この動物は悪いと決めつけて、時には手を出して助けたり迫害したりするのは、まさに人間のエゴそのものであり、自然の摂理に反するものです。今回は狩猟であり、自然の法則とは違うとはいえ、特定の生き物への過度な感情移入は控え、冷静に考えるくせをお付けになるように望みます。
産まれたときから殺されて喰われる運命の養豚場や、我が子を愛でることも叶わない無精卵を生ませ続けされる養鶏場の産物を食べている人間。一方子孫を残そうと熾烈な生き残りを乗り越えてきた旅を終えようとしている鮭を捕らえて腹を割いて「イクラ美味しい」と言う人間。魚は瞬きしないから狩ってもOK、鳥獣は可哀想。釣りは許せて狩りは許せない、魚の捌きは見れるけど鳥獣は気持ち悪い。管理鳥獣は綺麗で野生鳥獣は残酷な行い。私は管理鳥獣しか食べないので聖人です、という立ち位置の人が多い。一度屠殺場の動画を見てほしい。
屠殺場の仕事を見て残酷と言うなら肉を食う資格がない。狩りを否定するのは管理鳥獣システムを否定してから言えることと思っています。返信不要。
コメント有難うございます。
生き物に関しては、畜産の動物も、野生の動物も、はたまたペットも、それぞれメリット・デメリットがあるでしょうね~。
畜産動物はたやすく子孫を残す事ができ、野生動物は死亡率は高いものの自由な生活ができ、ペットは子孫を残せない場合もありますが健康的な生活ができる…とかとか?(人それぞれの観点があるとは思いますが)。私達はそれぞれの動物たちの事を知って、納得した上で、接していきたいものです。
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