キンクロハジロがマズくなく、びっくりするほど美味しかった話

キンクロハジロ


ある猟期、キンクロハジロ(金黒羽白)という狩猟鳥獣の鴨を発見。

そいつはマズいことに定評があるカモ、

キンクロハジロ
キンクロハジロ(wikipediaより)

魚臭いクセがあり、以前に食べたキンクロハジロは鍋を全滅させるくらいの破壊力を発揮しました。

以前たべたキンクロハジロ鍋
以前たべたキンクロハジロ鍋(マズかった)

そんなキンクロハジロが目の前にいる。全く逃げなくて、いつでもとれそうな状況(キンクロくん、逃げなよ!)

とるかどうか悩んだんですが、けっきょく練習も兼ねてとりました。

キンクロハジロ
キンクロハジロ

これをさばいて食べてみたら、なんと意外な味で…!今回はそんなキンクロハジロの話をさせてください。

散弾銃のバードハンティングは難しい!

とある猟期、いつもはエアライフルなんですけど、今回は散弾銃を持ってカモ狩りの練習。

銃を背負いバイクにのってカモがいそうな溜池をめぐります

池をめぐってカモを見つけ、いたら飛び立つカモを散弾で撃ち落とす!というハンティングスタイル。だいたいクレー射撃と同じ要領。言うだけなら簡単なんですが、これがまーむつかしい!

まず池にカモがいる確率が低い…10箇所まわって、1箇所いるかどうか。

池にいるカモ。これは保護区の撃てないところにいる賢いカモ
池にいるカモ。これは保護区の撃てないところにいる賢いカモ

でもって、カモが池に運よくいたとしても、銃を構える前に飛ばれたらダメ。

散弾銃の射程はいいとこ20~30m、射程圏外に逃げられたらアウトです。「この池はいなそうだなー」って雑に池に向かってたりすると、意外と居ちゃって先に飛ばれたりするんです。常に忍び足でゆっくり、姿を見せないように池に近づかなければなりません。集中。全集中。

・バイクは池から離れた場所にとめ
・枝や落ち葉を避けてそっと歩き
・いつでも射撃姿勢にうつれるよう銃を構え(でも弾は直前まで入れない)
・池についたら、双眼鏡でキチンと獲物の姿を確認
・いたら、飛び立つカモを狙撃

うーん!要素多すぎませんか!

「いないなー」と思っても茂みに隠れてたりするので、隠れたカモを見つける能力も求められます。ゲームならマップだのレーダーだのありますし、異世界転生もののラノベなら気配察知スキルとかで発見できるんでしょうけど、現実はすべて自分次第。つまりむつかしい!

なもんで、一年目は成果をほとんどあげられませんでした。

キンクロハジロを散弾銃でとった話

そんな数少ない成果の一つがキンクロハジロ。

いつもの池を「どうせいないだろ」って、雑に覗いたら、一羽だけカモがいて、「あ、やべ!」ってなったんですが、当のカモは逃げないんですよね。

「ははぁ、こいつはあれだな?」と双眼鏡で覗くとやはりというか、キンクロハジロ。

キンクロハジロ
キンクロハジロ(wikipediaより)

もともと警戒心が薄い鳥ですが、それにしても眼前にいるのに飛ばないのはどうかと思う。カルガモならとっくにガーガー鳴いて飛んでますよ。

とはいえ「キンクロハジロはマズい」という経験をしている私。撃つかどうかちょっと(だいぶ)悩んだんですが(ちなみに悩んでる間、当のキンクロハジロはさっぱり逃げる気配なし。逃げなよ!!)

「たまには食べるかー!」と、ゆっくりと散弾銃を構え、水上にいるキンクロハジロをロックオン。バン!と一撃。

激しい水柱が立ったのち、プカプカと水に浮くカモ。ちーん。ごめんね!(逃げなよ!!)

「散弾銃を使うカモ猟の初成果が水上狙撃ってどうなん?」

などと思いつつ、回収ツールでカモを引き寄せて…

キンクロハジロをゲット!

キンクロハジロ
キンクロハジロ

たまには魚くさいカモも良いでしょう。持ち帰って食べてみることにします。

キンクロハジロを料理する

キンクロハジロは、羽をむいて、バーナーで炙ってお肉にします。

こうなれば美味しそう。ほぼ丸鶏ですよね(頭以外は)

羽をむしったキンクロハジロ
羽をむしったキンクロハジロ

そしたら次は解体、ひとまず胸肉を外してみましょう。

キンクロハジロを解体する
キンクロハジロを解体する

ん!赤身だ。

以前の悪夢が蘇りますが、これだけ見ると美味しそう。

キンクロハジロのムネ肉
キンクロハジロのムネ肉

問題のキンクロハジロは白い脂の層があったんですが、こいつはありません。

以前にとった脂ノリノリなキンクロハジロ
問題の脂ノリノリなキンクロハジロ(マズかった!!)

あの脂が魚臭かったんですよね、なんというかイワシの内蔵?みたいな風味が脂とあわさってマズいんですよ。

食べたメンバー全員でキンクロハジロ=マズいと合意したほど。

その脂がないということは、コイツはそこそこ食べられるのでは…?

キンクロハジロのムネ肉

ちょっと可能性がでてきました…!食べてみましょうか、このキンクロハジロを。

キンクロハジロを食べる。味は?マズいのか?

今回のメニューはキンクロハジロの胸肉のソテー。カモはけっきょくこれが一番おいしい。(ダメでも他の食材がないのはエラいですね)

キンクロハジロの肉を焼く
キンクロハジロの肉を焼く

サッと両面を焼いて、こんな感じ、見た目はよいですがはたして?

キンクロハジロの肉
キンクロハジロの肉

それではキンクロハジロを食べてみましょう。

最悪の場合に備えて、口直し用の日本酒を用意)

キンクロハジロの肉
日本酒はマズかったきに効果を発揮します!

さっと塩をふり、意を決して…いざ試食!

もぐ…

もっきゅもっきゅ。

「ん?」

「ええええええええ??」

カモ味だ。

魚の味がしません。

キンクロハジロの肉
キンクロハジロの肉

新鮮なおかげで、臭みはなし、カモらしい野性味がきちんとあり、狩猟本能にガツンと響く味。

つまりうまい。

びびりながら食べていたせいで拍子抜け、ちょっと残念?のような?

でもよく考えたら…

「キンクロハジロが美味しいのは、悪いことではないのでは?」

(警戒心が薄くてとりやすいですしね)

このあと、キンクロハジロの足も料理して食べてみましたが、ふつうに美味しい。

キンクロハジロの足肉
キンクロハジロの足肉

こんな"個体によって意外と美味しい"ってのがあるから、とって食べる活動は面白いのですよね。これこそジビエ!楽しい!!

キンクロハジロがマズくなるのは、日本で脂肪を蓄えたあとなの…カモ?
渡ってきてすぐとればマズくないの…カモ?

イロイロと考えつつキンクロハジロを噛みしめます。ごちそうさまでした。

まとめ

散弾銃を使うカモ猟に挑戦。その初成果はまったく逃げようとしないキンクロハジロでした。

魚臭いのを覚悟しつつさばいて食べてみたら、脂肪がまったくついておらず、そのおかげか普通に美味しい。渡りたての赤身キンクロハジロはおいしい(個体差はあると思います)という事がわかりました。個体差による味の違いこそジビエの楽しみ。またキンクロハジロが逃げなかったら食べてみよう、そうしましょう。

キンクロハジロ(金黒羽白)

【採取場所】池、河川
【採取時期】猟期
カモ科ハジロ属。ハジロの仲間であり潜水して水底の貝類などを食べる。海ガモと呼ばれるが内陸の河川にもいる。黒っぽい色合いで、目が金色だからキンクロハジロ。冬に日本に飛来する渡り鳥の一種で、冬季の寒い時期だけ日本で暮らし、子育ての時期にはロシアなど北方に帰っていく。

参考にさせていただいた資料:Wikipedia、狩猟読本

書籍紹介コーナー

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【おまけ料理レシピ】鴨肉のソテー

【材料】
カモ ※新鮮なのがいい。鶏ムネ肉でやってもOK
コショウ

オリーブオイル

【作り方】
1.
カモは羽をむしり、胸肉を取り出す。

2.
胸肉を薄くそぎ切りにする。
どれだけ薄くできるかが勝負どころ。

3.
フライパンにオリーブオイルを多めにひき、中火で煙がでないくらいに温める。

4.
2をフライパンで片面づつ焼く。
軽く焦げ目がつく程度に、しかし焼きすぎずサッと、両面返しつつ加熱する。

5.
お皿に並べ、コショウと塩をふって完成。
温かいうちにいただく、柔らかくて美味しい。