ワサビ野生種を河原で見つけた話。ドクゼリと似てるってホント?

野草・山菜ワサビ,季節【春】

とある春。「山菜食べたいよね。」ってことで、友人と、車で郊外へ赴いたところ…

まさかの野生ワサビを発見しまして。

山菜の図鑑で存在だけは知っていたのですが、中々見つからず。

図鑑にも「山奥の清流で見つかる。減っているので根はとらないように」とか書いてるくらいで、中々のレア物。半ば諦めかけていた食材なんです。

まさか野生のワサビを味わう日がこようとは…!ついでに似ている?と言われる毒草ドクゼリの話もしますよ。

野良ワサビの探し方

東京では桜がすっかり散ったくらいのころ、友人と郊外に山菜さがしにやってきました。

以前にきて、なんとなく目星をつけていた場所、

しかし…!

まだ早すぎて(標高が高すぎました)コゴミはまだ葉がでてないし、ウドは去年の枯れ木が残のまま。ボウズまっしぐら!!

やむなくグーグルマップとにらめっこして新規開拓をすることに。

だ…

川があればなんかあるはず!

…ということでマップとにらめっこしつつ。良さげな川を探しては車をまわすこと数度。

そんなとき…

とある山奥の河原のポイントで、なんか目立つ葉っぱを発見したんですよ。

こ、これはっ!?

野生ワサビの特徴と見分け方

けっこうでかい株で、なーーーーんか見覚えがあるんですよね。

葉は濃いめの緑色で、つるりと光沢があります。形はハート型、大きさは手のひらをはみでるほど。

フキのように長い茎を持ち、中央の株から放射状に伸びています。

花もついていて、

沢山の白い花が穂先についてるタイプ。

花弁が4枚。

…ああああっ!!!

「Hさん!!これワサビじゃないですか!?」

つい叫んじゃう私(山の中なのでセーフ)

「本当?じゃあ試しにかじってみなくてはね」とHさん。

ですよね。かじって辛ければ間違いなくアタリ!

万が一違ったり、付着した寄生虫とかいたら嫌なんで、味わったあとペッと吐き出す方針。マネしないでね。

もぐもぐ…

おあーーーーーーーーーーー!

辛い!!!ちゃんと辛い!!!!!

これは間違いなく野生のワサビ。

ワサビをかじって辛い私(山菜採りのときはメガネをかけます。視力2.5がほしいから)

一度食べてみたかった野生のワサビ!これがワサビかーーーー!

さて、ワサビといえば根っこを食べるイメージがありますけど、根は食べたらなくなっちゃうんですよね…

今回のワサビは大きなニ株、さて根っこを…

→ 食べるか?

→ 食べないか?

根の一部でも食べたら弱っちゃうのは明らか。野良ワサビを見つけたのは初めてで、この株がどれくらい強いかわからないんですよね…

うーーーーん!と悩んだのですが、今回は茎だけを食べてみることにします!

来年またきてみて、今より増えていたら根っこも食べてみようかな。

また会おうぜ!

ドクゼリはワサビと似てる?似てません!

余談。

春先にときどき、

「ワサビと間違えて、ドクゼリを食べて中毒!」

みたいなニュースが飛び込んでくるのですが、ドクゼリとワサビってそんなに似ているんでしょうか?

・発生事例
(症例 3 ) 4 月下旬に宮城県の企業の職員食堂で、昼食時にワサビと間違えて採取したドクゼリをすりおろしてご飯にふりかけ食べたところ、午後 2 時頃から 36 人が痙攣などの食中毒症状を起こした。入院した 12 人のうち重体 1 名を含む 4名 が集中治療を受けた。

“厚生労働省:自然毒のリスクプロファイル"より引用

↑こんな感じのヤツです。

ドクゼリの毒って強力なんですよね、死者もでているくらい。万が一にもアタりたくはない。

食べる前にちゃんと調べておきましょう。

というわけでドクゼリはこちら、

ドクゼリ、Wikipediaより引用

うん…

ワサビとは似てもにつきません。

茎がやや似ていますが、赤みがかかっていたり、葉の形状が違ったりで明らかに別物。

ドクゼリの葉っぱはこんな感じ。

ドクゼリ、Wikipediaより引用

これは間違えないかなあ…

セリとも似てると言われますが、それにしたってドクゼリの葉は細長い。わかるはず。

セリ、都内で見つけたもの

ドクゼリの花はこんな感じ。

ワサビと同じく白い花が集まっていますが、だいぶちがう。間違えることはないハズ。

ドクゼリ、Wikipediaより引用

また、

ドクゼリの根っこがワサビと似ている。」

という話もありますが、これもけっこうちがう!

ドクゼリの根。厚生労働省、自然毒のリスクプロファイル、より引用

ホンモノワサビはスーパーで見慣れているので分かるんじゃないかなーさすがにっ!

というわけで、ワサビとドクゼリは似ていません。もちろん気をつけるべきですが、それほど神経質になる必要はないでしょう。

野良ワサビを食べてみる

さて持ち帰ってきた正真正銘のワサビがこちら。

“持ち帰るのに使った袋"をあけたとたん、ワサビの香りがフワッ!!としてたまらん…

どうやって食べようか?というところなんですが…

ワサビの持ち味は辛味。しかしこれが繊細なやつで、加熱調理しちゃうとすぐ飛んじゃうんだそう…

とはいえ、そのまま食べるのはちょっぴり心配なんで、サッとだけ火を通しておきましょう。

沸騰したお湯に入れて…

サササッ!!10秒~15秒くらい。

そしたら冷水にあげて~

水をきってみました。

大きい葉っぱですが、瑞々しくやわらかな質感で美味しそう。

細かくきざんでいきます。

シンプルに塩だけのパターン。

それと、醤油を垂らすパターンも作ってみようかな。

というわけで完成です!

ワサビと麦ごはん。

わびしいというか、わさびわさびしい夕食。こういうのでいいんですよ!こういうので、

まずは塩だけのをいってみましょう!

ぱくり…

ん!ちゃんと辛い。軽く加熱したせいか辛味が前面にでてきています。ただの草ですが塩だけでオカズとして成立。ワサビすごいぞ。

続いて醤油あえ。

シャキシャキ…

ん、しゃきっとした茎を噛みしめるとワサビの香りと辛味がしっかり。醤油のせいか辛味がマイルドで食べやすいです。初心者向け!

オマケで、茹でたワサビの花も食べてみましたが、これもちゃんと辛い。

花から根まで、ほんとに全部辛いんですんねえ・・・

すごいぞ野生の香辛料!

ごちそうさまでした。

まとめ

たまたま出会った野生のワサビの葉っぱを食べてみました。これが茎から花まで、ちゃんと辛くって、うまい!

これなら根っこも相当美味しいんじゃないかな…とは思うものの、ワサビの個体は減っているらしいので、ガマンです。よっぽど増えたら味見してみたいのですが、まぁワサビそのものはスーパーで売っていますし、大事にしていきましょうそうしましょう。

ワサビ(山葵)

【採取場所】水辺の湿地
【採取時期】春
アブラナ科ワサビ属。日本原産の水生植物。山地の渓流や湿地に生息する植物。ハート型の大きい葉が特徴で、春に花弁の4枚ある白い花を咲かせる。全草にいわゆるワサビの辛味と香りがある。寿司を中心とした日本料理に欠かせない食材のひとつ。

参考にさせていただいた資料:Wikipedia、ヤマケイポケットガイド 山菜・木の実、厚生労働省、自然毒のリスクプロファイル

宣伝コーナー

九州醤油はいいぞ!(いいぞ)

図鑑があれば裏山が宝山に♪

自衛のため、毒植物の知識も忘れずに

【おまけ料理レシピ】葉ワサビの醤油あえ

【材料】
ワサビの葉
九州醤油

【作り方】
1.
ワサビの葉をつむ。間引くように一株から数本にしておくこと。
養殖の産地で葉ワサビを買うのもアリ。奥多摩や天城なんかが有名。

2.
お湯を沸騰直前まで加熱し(90度くらい)、ワサビを10秒ほど、しゃぶしゃぶのように茹でる。

3.
茹でたワサビを冷水でさまし、短時間で取り出し、水気をきる。

4.
食べやすい大きさにカットし、九州醤油を垂らしたら完成。