オニグルミのリキュール”ノチーノ”を作る。失敗の話とレシピつき!

2022年3月11日木の実クルミ,季節【夏】


若いクルミで作るリキュール、ノチーノをご存じでしょうか。

まだ青いクルミをお酒に付け込んで作るリキュールなんですが、とってきたオニグルミで簡単にできるわりにけっこうおいしくて、ちょいちょい作っているのですが…

今年は時期をあやまりちょっぴり失敗してしまい…。

そんなやらかしノチーノのレポートです。レシピついてますので是非チャレンジしてみていただきたい!!

オニグルミを取りに行く

6月のとある日、やってきたのは多摩川のとある河川敷。

目的はモチロン、オニグルミの木。

バイクの後ろに続いてる林が全部オニグルミ、そうここは取り放題ゾーン!

クルミをとるにはまだ早い季節ですが、

今回は未成熟のクルミがターゲット。

硬い実というイメージのあるクルミですが、この時期だと包丁でスパッと切れるんです。

これをお酒に仕込むとクルミのエキスが出てきていい感じになる。それがノチーノというリキュールです。

さて、けっこう高いところに実がついており、手は届きません。

どうやってとるんだ?

というわけで用意したのは、ででーん!

マジックハンド。

これで高いとこの実もラクラクゲットしてやろうというわけ。

オニグルミ・ゲットだぜ!

見よこの完璧な作戦!

とか喜んでたんですが、

枝が垂れているところだったら、手が届きましたね。

まぁ広い範囲にアプローチできるということでひとつ!

そんな感じでクルミをひょいひょい採取。ビニール袋いっぱい集めてみました。

ここまでは順調だったんですが…。

聖ジョパンニの日で失敗した話

今回は伝統的にノチーノ用のクルミに最適な日であるという、

6月24日(聖ジョパンニの日)

に採取してきたのですが、

結論としてこれが失敗で、

どう失敗かというと…

クルミが硬すぎ!

ノチーノは真っ二つにしたクルミをアルコールに漬け込むことで作り上げるのですが、

硬すぎて真っ二つにできません…

どうやらとってきたクルミが熟しすぎていたよう。

“めちゃめちゃ体重をかけてなんとか割れる"ってレベル。

加えて外側の果実部分(種の周りを包む部分)もボソボソ質感になっています。

「これ、ノチーノできるの…?」

本当は前述のとおり力をかけずにスパッと切れるくらいのクルミで作るのが理想(wikipedia調べ)。

回想写真、おととしに仕込んだノチーノで使ったクルミ
回想写真、おととしに仕込んだノチーノで使ったクルミ

その目安が聖ジョバンニの日だと考えていたのですが、よくよく考えたらヨーロッパと日本で気温は違うでしょうし、それに土地の具合や日当たりによって変わるハズ。

一概には言えなさそうですよね。そりゃそうだ!

回想写真、おととしに仕込んだノチーノで使ったクルミ

というわけで、

ノチーノが作れるのか怪しくなってきましたが、

「若いものより、よりナッティーな味が出るのではなかろうか!」

ということで、

このクルミでやってみることにしましょう。

まぁ物は試しです。ダメなら来年また仕込みますよ。

クルミのアクで手を真っ黒にしつつ、根性で割ること2時間。

すべてのクルミを割る事ができました!

もう二度としません!

努力したぶん美味しいといいなあ…!

失敗オニグルミでノチーノを仕込む

苦労して切った(割った)オニグルミでノチーノを仕込んでいきます。

材料は大量のオニグルミと、

大量の砂糖。

それとお酒。

本当はウオッカとかでやるらしいのですが、コスパ的に果実酒(35度)をチョイス。

ビンがいっぱいになるまで入れていきます。

重量的に クルミ2:お酒2:砂糖1 くらいの割合でしょうか。

側面から見るとこんな感じ、

なんというか、おどろおどろしい色合い。5月のものよりだんぜんアクが濃い気がしますよ…。

ちゃんと出来るか不安でしかたない…。

以前に作った5月クルミのノチーノはこんな感じ、明らかに違いますね!

回想ノチーノ、5月の包丁で切れるタイプ

このあと、

・日の当たる窓際において

・毎日シェイクして撹拌する

という工程を続けて熟成させます。

そうすることで、クルミの成分がでてきて→酸化して→日光で焙煎され→まろやかになる?って感じらしい(正直なところよくわかってない)

本場では各家庭ごとにスパイスで味付けをするものなのだろう。

とりあえずは定番のクローブシナモン、

レモンの皮、

マダガスカル産バニラも入れてみましょう。

失敗をごまかそうとしている感じが否めませんが、さてどうなる!

三カ月後にひきあげ作業

仕込んで3ヶ月たったものがコチラ、

完全に真っ黒になりました。

ここで一旦を濾してしまいます。

まるでを打ち込んだかのように真っ黒ですね~

香りは…

まだクルミのアクのにおいが強い。

これを更に3ヶ月放置、

年末頃に飲み頃になる予定。

失敗!?ノチーノの味は…

12月のとある日、

更に三か月熟成させました。いよいよ実際に賞味してみましょう!

注いでみました。

香りは、アクというよりナッツ系の雰囲気に変わっていますね。いけそう

では試飲~

ちびり。ちびり。

ん!

甘い。

そりゃまあ砂糖さんを1キロぶち込んでますからね~

さて肝心の風味なんですが、とても複雑…

ナッツ系の香ばしい風味がメインではありますが、

加えてコーヒーのような苦み、果物の酸味、入れたスパイスの面影、それぞれ感じて、後味にクルミのアクがほんのりぴりっ!と来る感じ。

総評でいうとまあまあ美味しい。

「めっちゃ失敗した」と思ってたけど、それほどマズくなってはいなくて安心しました。

とはいえ素材の個性がまだ尖っているというのが正直な感想、もっとしっかり寝かせたら化けるかもしれません。

ちなみに定番の牛乳割も飲んでみましたが、

ココアみたいな味で、今回は風味(クセ)が強いぶん牛乳で割る分には以前に作ったノチーノより美味しいかも…?

アイスにかけても美味しそうなのでやってみよう。

意外となんとかなりましたね。ありがとうオニグルミ。

まとめ

タイミングを誤って硬すぎたクルミを使って、不安でいっぱいのなかノチーノを作ってみましたが、できあがったものはまあまあ飲めるものでした。とはいえ尖った風味で、ちゃんと飲むならトータル1年くらい寝かせたほうが美味しそうです。

欲を言うと、次回は未熟すぎず、硬すぎず、包丁に抵抗があってなおスパッと切れるくらいのクルミでやってみたいところ。来年の課題!

オニグルミ

【採取場所】河原
【採取時期】5月下旬~6月上旬(ノチーノにする場合)
クルミ科クルミ属。西洋のクルミと違って殻が鬼のように固いことが特徴的、可食部は小さいが風味は強い。ノチーノはイタリアはエミリアロマーニャ地方で作られていたリキュール。歴史は古く中世の書物に記載があるとのこと、当時は薬としても使われた。現在では地球温暖化の影響でヨーロッパでさえ6月24日は遅すぎんだとか。

参考にさせていただいた資料:Wikipedia、DailyportalZ、くるみの庭をつくろう


【おまけ料理レシピ】オニグルミのノチーノ

【材料】
未成熟のオニグルミ x2~3キロ
アルコール(果実酒用、35度) x2リットル ※ウオッカやスピリタスが理想
砂糖 x1キロ

・スパイス(お好みで)
クローブ x少々
シナモン x少々
レモンorオレンジの皮 x少々
バニラ x少々
その他、フェンネル、コリアンダシード、カルダモン、キャラウェイシード、なども試していませんが面白そうです。

【作り方】
1.
オニグルミはナイフでスパっと切れるくらいのものを採取する。木によって硬化具合が違うので、現地で試しながらとるといい。

2.
オニグルミを洗い、水気をよくきる。
半分にカットし、梅酒を作る時のビンに詰める。ビンの半分以下が目安。

3.
2にアルコールを流し込む。度数が低いと腐敗の原因になるため、最低でも35度以上がオススメ。

4.
3に砂糖を加える。記載の量だとシロップ級の甘口に仕上がるため、好みで量を調整する。
甘いのが苦手なら半分にしてもOK。

5.
ここまで入れてビンの7~8割くらいが目安。
しっかり封をして、日当たりの良い場所に置く。

6.
可能なら毎日1回振る。
無理でも、週に1回くらいは振る。
最初の1カ月くらい続けて、そのあとは飽きたタイミングで止めてOK。

7.
そのまま3カ月~1年熟成させたら完成。