キョンを拾って食べてみた。気になる味は?
千葉で野生化しているシカっぽい生き物、キョン。
こいつがたまたま道端に落ちているのを発見…!
キョンというと外来生物なわりに、狩猟ではとれないちょっぴり特殊なヤツ。
なかなか食べる機会がなく、味が気になっていたのです。
メッチャ気になる…!!
せっかくなので拾って食べてみました。
キョンって何?どんな動物?
キョンというのはシカの仲間の動物で、ホエジカ属というグループ、シカと似ててもけっこう違った生き物。例えば、臭腺という機関で縄張り作りをしたり、イヌのように吠えたり、ちょっぴり違った習性を持ちます。
で、こいつ、台湾から中国あたりに住んでいたんですけど、動物園で展示するため日本に連れて来られてきました。
ところが施設が壊れたり、廃業したりで逸脱。野生化してしまいました。
山林に適応した動物で、かつ日本の気候にマッチしたようで、大繁殖。
現在は、千葉の房総半島や、東京の伊豆大島に定着しており、日本の生態系や、農産物に被害を与えています。
そんなキョンなのですが、
狩猟鳥獣に指定されていません。
狩猟鳥獣ってのは、雑にいうと「ルールに従えばとって食べていい鳥類・哺乳類」。
これに指定されてると一般人でもとって食べられるんですけど、キョンは指定されていないのですよね。
理由は
「指定されると遊びでとるために、生息地を広げようとするヒトが現れる」
とか、
「無計画な狩猟は、計画的な駆除の障害になる」
などなど噂をされていますが、ホントのところは不明。
とって食べるには駆除をやってる自治体に入って、行政の管轄でやらなきゃいけない、ちょっと特殊な害獣なのです。
キョンを拾った
さて、とある猟期の朝。
千葉某所にバイクで狩猟に行っていたある日。
キジを探したり、
カモを探したり…
しかしとれず、
なんかいないかなーと、バイクを走らせていると…
道端にカラスが群がってる。
「おっ。カラス撃てそうじゃん!」
と、バイクを止める私。するといっせいに散るカラスたち。
「ちぇっ、まぁそんなもんだよね…」
と、ふとカラスの群がってた所を見ると…
動物の死体が。
何だろ?
子シカ?
と思ってみてみると…
キョン。
若干つつかれて皮が剥がれてたりしますが、わりとキレイ。
おそらく交通事故でひかれたんでしょう。新しいので深夜から今朝のどこかで?
12月の気温のおかげでとキョンの耐寒性のなさのおかげか、
保存状態は良好。
もしかしてこれヒトでも食べられるヤツなんじゃないの?
とって食べれないからなぁキョンは…
お店でもめったに手に入らないし…
(もくもくもく…)
悩んでいる私の中で悪魔がささやくのです。
悪魔「持って帰れば合法的にキョンを食べられますぜ!ダンナ!知りたいんでしょ、味。」
いやいやいや…
さすがに、ちょっと死んだやつは、食中毒とか怖いし、ってかバイクで一頭持って帰れないよ?
(もくもくもく…)
そうすると天使がささやくわけですね
天使「道路の掃除に貢献するのは良いことです。そうですね、せめてバイクに積めるかどうかだけ、見てみてはどうでしょうか?」
…。
なんということでしょう。
匠の手にかかればキョンがバイクのバックパックに、ぴったり!!
おまけでバイクの悲鳴も聞こえたような気がしますが、持って帰っちゃいましょう。
ロードキル・キョンお持ち帰りでーす。ありがとうございました~。
■安心メモ
自治体の法律によると落ちている動物は「一般廃棄物扱い」になります。
つまり落ちてるキョンは一般廃棄物、道路に落ちてるゴミを拾うのと同じで合法です。
ロードキルのキョンをさばいてみた
やってきたのは千葉の友人宅。
流石に東京まで持ち帰るのはしんどくてね。
持つべきは落ちてたキョンを持ち帰っても許してもらえる千葉の友人!!
まずは観察。こうやって見てみると、シカと随分違いますね。
頭には臭腺がありますし、手足もずいぶんと細い。
面白いのはキバがあること。
草食動物のクセにドラキュラみたいなキバがあるんですよ…ふしぎ!何に使うの?チュパカブるんですか?
ではではキョン。さばいてみましょう
べりべりべり~~~ん!
なるほどなるほど、事故では胴体あたりをぶつけていた事が判明、特に下半身は中身がヤラレていました。
しかし…!
逆に頭を含む上半身は無傷に近い状態。
まぁ味見できれば何でも良いよね!
悪魔「ばっちりだぜ!」
天使「よくできました!」
天使と悪魔にも褒めてもらえました。
ではさっそく食べてみましょう。
■安全メモ
・死んだ野生動物は衛生状態が不明瞭で、食用にすると重篤な事態になる可能性があります
・野生動物の解体に慣れている人間が十分にチェックをしたうえで判断しております
・決して真似しないで下さい!
キョンを食べてみる。キョンの味は?
こちらが摘出したキョンの前足。
なんとなくシカの前足に似ていますが、やや色合いがブラッディー
コレは血抜きができていないせいなのか?
それとも持ち味なのか?
骨から外して、と。
まずは普通に焼いて食べてみましょう。
じゅわ~~~
シンプルにオリーブオイルで焼いて、塩コショウ。
キョンの味を知るにはこれくらいが良いでしょう。
見た目は美味しそうですよ。
さっそく、いただきます!!
はむ。
!!!!
うまい。
まず柔らかい。
火加減を絶妙に調整したとはいえ、驚きのやわらかさ。
それ以上の驚きは
まったくクセがない、こと
雑味なく、ありがちな草食動物らしい香りがありません。かなりマイルド。牛や豚よりよっぽど食べやすいのではなかろうか?
醤油ともよく合います。
キョンの味はシンプルで雑味がない。
かなりうまいですよこれ。
キョンの煮物の味は?
続いて、赤ワイン煮をやってみましょう。
材料はこんな感じ、
軽くコショウをふったキョンに片栗粉をまぶし、バターで焼いていきます。
両面カリッとするまで焼きます。
もう美味しいは約束されたようなもんでしょう!
鍋に移してワインで煮ます。
そこにローリエ・イタリアンハーブ・タマネギ・ニンニク・トマトなど入れて、マイルドに仕上げていきます。
15分ほど煮たら完成。
これは間違いなく美味しいやつ…!
ではでは、食べてみましょう。
いただきます。
はむ。
おぉめちゃめちゃ柔らかい…
もちろん旨い。
あれ?
いやうまいんですが、後味にほんの少し、ほんの僅かに野生の草のような香りが…?
煮ると逆に臭みがでてしまうんですね…ふしぎ!
ごちそうさまでした!
まとめ
海外からやってきて野生化しているキョン、道路に落ちていたので持ち帰って食べてみました。シンプルにソテーにしてみたところ、驚きのウマさ。柔らかいし、まったくクセがないのです。
煮物はすこーし、血の味がでてしまうようですが、これも全然うまい。シカというか、ウシやブタよりクセがないかも?台湾では高級食材として扱われるとのことですが、なるほどナットク。美味な食材でしたよ。
Youtube版もだしました!こっちもみてください!!
キョン
【採取場所】千葉南部、東京某所
【採取時期】狩猟鳥獣ではないため捕獲不可。駆除個体が食用に供されることはある
シカ科ホエジカ属。広東省や台湾などが原産。見た目は小柄なシカという印象だがけっこう違う生物。目の横や角の横に"臭腺"と呼ばれる穴があり、匂いをだして縄張りを示す。この臭腺から"ヨツメジカ"とも呼ばれる。あと鳴き声がうるさい。台湾では特定記念物扱い。日本だと千葉や伊豆大島では逃げ出して野生化している。定特定外来生物。
参考にさせていただいた資料:Wikipedia
書籍紹介コーナー
【おまけ料理レシピ】キョンの赤ワイン煮
【材料】
キョン肉 ※ウシでやってもうまいですよ
タマネギ
ブーケガルニ
ニンニク
トマト缶
赤ワイン
塩
コショウ
片栗粉
バター
【作り方】
1.
キョン肉を大ぶりの一口サイズにカットする。
2.
軽く塩コショウをふり、片栗粉をまぶす。
3.
たっぷりのバターで両面こんがりと焼く。
4.
ワインをひたひたに加え煮る。
5.
沸騰したら、ブーケガルニ、ざく切りにしたタマネギ、ニンニク一粒、トマト缶少々。を加え、弱火で30分煮る。
6.
煮えたら、塩で味を整えて、完成。
彩りに茹でた野菜(分量外、ニンジン・ジャガイモ・ピーマンなど)、を添えていただく。
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