クロアナゴ。東京湾の恐竜を食べる!とうへい鍋も食べる

2024年3月14日クロアナゴ,季節【夏】


「東京湾で釣れる巨大な魚ってなんだろう…。」という疑問を昔はもったもの。

今なら答えられますよ、そのひとつはクロアナゴ。

釣ったクロアナゴ
釣ったクロアナゴ、写真からサイズ感伝わるでしょうか

ダイナンアナゴとも呼ばれるアナゴの仲間で、その巨体は1mをゆうに超え、ペットボトルを丸呑みできるほど、まるで恐竜・ダイナソー。

今回はそんな初めてのクロアナゴと、経験を積んだ私とクロアナゴの話。

クロアナゴ(ダイナンアナゴ)は東京湾で釣れる!

クロアナゴを東京湾で釣ったのはそーとー昔の話、2017年くらいのハナシ。

DPZでH氏が東京湾のクロアナゴ釣りをやっている記事(2012年!!)を読んで、私も釣りたい!!とチャレンジしてみたのです。

H氏は船から釣っていたようですが、船が苦手な私は「陸からも釣れないのかな…?」と調べてみたところ、神奈川県で釣果情報を発見。1m超えのクロアナゴが釣れてとある釣具屋に持ち込まれたとのこと。

そんなら、その辺で釣ってみたら釣れるんじゃネ!?というわけで、実際に釣りにいってきたわけですが、

まさかのビギナーズラックで一発で釣れちゃったんですよね。

クロアナゴの写真
サイズは1mとちょっと、極太で私の腕より太いヤツ!

1m超えの魚がオカッパリで釣れるとは、なんという東京湾ドリームっ!

大きすぎてタモに入らず苦労をして、近くの釣り人に手伝ってもらって上げたのもいい思い出ですねえ…

初めてのクロアナゴ料理

このクロアナゴはその場でバラして、友人と食べてみました。

ハラミはカルパッチョに!

クロアナゴのカルパッチョ
クロアナゴのカルパッチョ

ダイナソーボディは蒲焼に!

存在感バクレツで最高ですね。

クロアナゴの蒲焼
クロアナゴの蒲焼

いただきまーーーーーす!

もぐっ

グサッ!!

「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

小骨が刺ささったーーーーーー!

っていうお約束もちゃんとやりましたとも、ええ。

味はちゃんとアナゴなのですが、恐竜ボディに見合った裁縫針ほどもある骨が身の中に埋まっていて、ひどく食べづらいのですよね。

クロアナゴの蒲焼
クロアナゴ丼、でかすぎて米が見えない

骨のことは事前情報で知っていて、なんとなく骨切りしてみたのですがぜんぜんダメ。痛い。

こりゃキツイ!

ということで、残りはミンチにしてツミレにしてみました。これなら美味しく食べられます。

クロアナゴのツミレ
クロアナゴのツミレ

酢豚みたく甘酢あんにからめたものがとても美味でした。こうなると身が沢山とれるエラい魚と言う印象になりますね。

酢クロアナゴ
酢クロアナゴ

なお、それ以来毎年一回くらいは同じ場所でクロアナゴを狙っているのですが、釣れたのはそれっきり。

やはりビギナーズラックだったようです。

福岡県(のごく一部)名物クロアナゴを釣った

さてさて時はぶっとんで五年後。

たまたま福岡県の小倉あたりで釣りをする機会があったのですが、そこで再びクロアナゴに出会うことができました。

お仕事の出張で一ヶ月ほど滞在したのです。

福岡の某磯
福岡の某磯

小倉の海、東京の海

いきなり余談。

小倉あたりの海を回って思ったことがあります、それは…

海が浅い。

どこの海も遠浅で、遠投できる範囲だと水深5Mそこらしかないのですよ。

東京近海だと、投げれば10M近くは落ちるし、いくとこいけば20M落ちる場所があります。

例えば羽田あたりとか。

東京近海の等深線
東京近海の等深線(うみしる、地理院地図より)

江ノ島のあたりも深いですよね~。裏磯から投げればドーン!と落ちる。

東京近海の等深線
東京近海の等深線(うみしる、地理院地図より)

しかし小倉あたりはそういう場所が少ないんです。

これが福岡北東部の海図なんですが、見て下さいこのとおり。ちょーーー遠浅。

小倉近海の等深線
小倉近海の等深線(うみしる、地理院地図より)

九州は大昔にはユーラシア大陸とつながっていたというし、その名残なのでしょうか?

大陸棚とかで、漁をする上の漁場としては優秀らしい。

磯の投げ釣り
磯の投げ釣り、直置きは竿が痛むのでオススメしません!

でもでも浅くて!

がっつり投げても仕掛けの沈む手応えがないんです。糸がびゃーーーっと出ていかないのって、何だか物足りないのですよね~。

福岡県で釣れたのはクロアナゴ

余談おわり。

そんな福岡でも釣れてくれたのがあのクロアナゴ。

クロアナゴ、中サイズ
クロアナゴ、中サイズ

水深のある河口の磯を見つけ、サバの切り身をつけて遠投していたところかかりました。

根魚が少ないと思っていたのに、居てくれてよかった~~~!

サイズは前回ほどでもなく、80センチくらい。ミニダイナソー。

クロアナゴ
クロアナゴ、今回のはペットボトル丸呑みにできないですね。それでも細腕くらいの太さはありますが

ちょいと調べてみたところ、福岡県の一部地域ではクロアナゴをとうへいと呼んで食べる文化があるらしいのです。

出張中ではあるのですが、せっかくですし持ち帰って福岡流で食べてみましょう。

クロアナゴを食べる再び

さて持ち帰ってきたはいいものの、出張中でビジネスホテルの身。

いつも使ってる道具がない。

ホテルの流しとクロアナゴ
ホテルの流しとクロアナゴ、ただよう絶望

お鍋もネェ♪

フライパンもネェ♪

調味料もそれほど揃ってネェ♪

てか真面目に。

まな板も、お酢も、タワシも、何もかもないのですよね。どうして魚持って帰ってきちゃったんでしょうね私は??

ま、やれば何とかなるデショ!

まずヌメリとり。唯一の調理器具、キャンプ用のコッヘルで沸かした熱湯をかける作戦。

タワシがないんだけどー??

と思ったら、お風呂の身体こするやつがちょうどいい具合じゃあないですか。

採用!

ゴシゴシ、めっちゃヌメリはとれる。使い捨てできるし、これ普段遣いしても良いのでは。

切るものがほしいので、ぺらぺらまな板とぺらぺらナイフを百均・ダイソーで買ってきました。

これでどうにかこうにかミニダイナソーの頭を落とします。

切り身になりました!

やればなんとかなるもんです。

やはりハラミの骨がないところはで食べたいですよね。

醤油も無いのでそうめん用のめんつゆで、お刺身といきましょう。

もぐもぐ…

さっぱりみずみずしくて美味しい。

でもちょいさっぱりしすぎかな~。前に食べたカルパッチョのほうが美味しいです。

福岡(のごく一部)名物とうへい鍋を作ってみる

クロアナゴでとうへい鍋を作る

続いて福岡のクロアナゴ料理の定番、とうへい鍋を作ってみます。

とうへい鍋のレシピを調べてみると、

ざっくり「クロアナゴでダシをとった味噌味の鍋」とのこと。なるほどなるほど。

頭を綺麗にしてダシをとることにします。

身はやはり骨切りが必要とのこと。

ダイソー包丁の切れ味が悪くてタタキみたいになっちゃいましたが、骨は音がしたのでちゃんと切れてるハズ。

中骨と頭をコッヘルでじっくり煮てダシをとります。

ホテルのIHがてんで役にたたないので、キャンプ用のバーナーを使っています。

なんか屋内なのにキャンプやってるみたいデスネ。

薬味はショウガだけ。ネギもないのでネギ入りの味噌汁を買ってきました。これもダイソー。

最後に身を加えて煮たら、海苔(ダイソー)でフィニッシュ。

完成!

ミニダイナソーとダイソーの味噌汁。

違いました、

クロアナゴこと、とうへいの味噌汁とでもいったところでしょうかね、

味は…

ずず…

ウマイ。クロアナゴからシッカリ旨味がでているっぽくて、濃厚な味噌汁って感じ。

身もフワフワで美味、なるほどさすがは郷土料理っ

クロアナゴの蒲焼リターン!秘策は油とホットサンドメーカー

最後に身を蒲焼にしてみましょう。小さいからいけるはず!(懲りてないですねこの人)

秘策としてホットサンドメーカーを買いました。アマゾンの翌日発送のありがたさよ。

前回は骨でひどいめにあったのでね、油をたっぷりひいてじっくり揚げ焼きにしてやろうというのが今回の作戦。

ウナギの蒲焼とかって、ウナギ自身の油で揚げ焼きにするんです。あれで骨を柔らかくしているので、それを再現するというワケ!

ジューーーーー!!

っと時間にして30分ほどやってみました。

やったか…!?

ここに麺つゆを加えて煮詰めます。

これで何となく蒲焼き風になるはず。

それではいただいてみましょう。

ぱくり。

もぐもぐ…

オォ!

食べられる、骨が食べられるゾォ!

アリです。

ウナギの蒲焼レベルのやわらかな骨の感覚。これなら普通に食べられますね。中サイズのクロアナゴは揚げ焼きにすれば骨ごといけることがわかりました!

ごちそうさまでした。

まとめ

東京湾と福岡のそれぞれのクロアナゴの話でした。太平洋側にも日本海側にもどっちにもいて、それなりにデカくて美味しい優秀な魚です。

色々食べたのでオススメを書いておきましょう。一位:骨からダシをとったとうへい鍋。あれは美味でした。ニ位:カルパッチョ、三位:ツミレ、四位:蒲焼 かな。蒲焼はどーしても食べたければ揚げ焼きにしてチャレンジどうぞ。失敗すると痛い(物理)ぞ~!

クロアナゴ(黒穴子)

【採取場所】各地の沿岸部、石がゴロゴロした場所
【採取時期】春~秋
アナゴ科アナゴ属。別名ダイナンアナゴ。日本沿岸に生息する大型のアナゴ。埋没骨が多くそれがサイズに見合った太さで非常に食べづらい。ハラミは骨がなく刺身で生食できるほか、身を骨切りして利用できる。各地に食べる文化があり福岡県大島の"とうへい"、大分県臼杵市の"レースケ"などが有名。

参考にさせていただいた資料:Wikipedia、臼杵市観光パンフレット(レースケ)、うちの郷土料理:農林水産省(とうへい鍋)、デイリーポータルZ

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Zzzzz….

【おまけ料理レシピ】旅先でも作れるとうへい汁

【材料】
クロアナゴ 小~中 x半身
長ネギ x1本
小ネギ x適量
ショウガ xひとかけ
好みの味噌汁のもと x2袋

【作り方】
1.
クロアナゴは熱湯をかけたあと、タワシ(旅行用ボディタオルがおすすめ!)でこすってヌメリをとっておく。
そのあと、腹開きにして内蔵と頭・中骨をとる。
頭と骨はダシに使う。内蔵はキモを好みで汁に加えてもよい。

2.
身の骨切りをする。
あまり切れない包丁をつかって体重をかけるようにしてゴリゴリやる。
皮を切らないように注意する。一口サイズにカットしておく。

3.
中骨の血合いをとる。
頭をアゴから開いて、血合いを流し、エラを排除する。

4.
3とショウガ・ぶつぎりにした長ネギをひたひたの水で、沸騰させないように煮る。

5.
30分ほど煮たら、具材を取り除き、2を加え、5分ほど加熱し身に火を通す。

6.
味噌汁の元を溶かし、子ネギをふって完成。
※好みで豚汁の具とかを入れると豪華になるヨ!