カミツキガメをお肉にする手順(前編) ~アライグマでも分かるカミツキガメのさばきかた~
千葉は印旛沼で繁殖をしているカミツキガメ。
こいつがとても美味い!というのは皆さんご存知かとは思いますが、
「カメの処理のやりかたなんてわからん!」
という方が多いのが現実。
ということになりますと、
「誰でもわかる、処理方法を説明をしなくては!」
という使命感を持ってしまうのが私。
そんなわけで、今回はカミツキガメの調理の仕方についてのお話です。
カミツキガメのさばきかた
今回は前編、パーツごとに解体するところまで話します。
さばかれるのはこちらのカミツキガメ氏。
生きたままの運搬はできないので、現地で頸動脈をきって絶命&血抜きをします。
作業するときは、フィッシュグリップで吊るしつつ、しっぽを踏んづけてやるのが楽でいいですね。
甲羅長20センチ強、印旛沼でとれる個体としては中サイズのものでしょうか。
1.さばくのに必要な道具
必要な道具はこんなかんじ、
・金属ノコギリ … ダイソーのでもOK、甲羅を切るのに使います
・金切りバサミ … 骨を断つのに使います。なければダイソーのニッパーとかでもOK
・包丁 … 小型のもの、モーラナイフみたいなのが一番楽
・ゴム手袋 … 野生動物を扱う際の必需品
必須ではありませんが、アルコールスプレーもあるといいですね。
サルモネラ菌の対策。なければ洗剤でOKなので、肉が触れたシンクはメチャクチャ洗いましょう。
2.カミツキガメの腹甲を取り外す
まずは腹甲を外すところから。
ゴム手袋をきっちりハメて、金属ノコギリを使います。
当てるポイントは、ワキの下あたり。
なるべく甲羅寄りを切りましょう。
包丁では切れない硬さなのですが、金属ノコギリでギコギコやると簡単に切れます。
以下のようにカットできたらOK。
続いて、反対側も同じようにカットします。
カミツキガメの腹甲と背甲のつなぎ目は、この二箇所だけ!
案外、防御力が低い生き物なのですね。
(そのぶん運動能力が高いです)
あとは金属ノコギリの出番は以上でおしまい、あとは包丁一本で最後までいけます。
包丁を腹甲沿いの皮にあて、切れ込みを入れていきます。
慣れない方はハサミでもOKです。
深く入れると内蔵に当たってしまうので、浅めに包丁を入れて下さい。
以下の図のように包丁を入れたら完了。
腹甲を持ち上げ、つながっている筋肉・膜などをカットすると…
パカリと腹甲が外れ、内臓にアクセスできるようになります。
3.カミツキガメの内蔵を取り出す
続いて内蔵を取り出します。
包丁を使うのは最小限に。手で引き出しながら、ときどき包丁で膜を切れば、ずるずると出てきます。
最初に出てきたのは、コレ。何だかわかりますか?
答えはキンカンです。
このカメは女の子だったわけですね。
キンカンというのは未成熟卵。食感は悪いですが食べられます。プリンにもできます。食感は悪いです。
続いてこちらが心臓。
ドクドク動いています。
カメは非常に生命力が強く、首を落として12時間くらいは余裕で心臓が動きます。ミステリー。
続いて、こちらが肝臓。いわゆるキモです。甘くて美味しいです。
画像内の白い丸いものは胆嚢。
苦玉ですね。潰してしまうとキモがダメになってしまうので、扱いには注意しましょう。
キモを食べる場合は苦玉を除去します。
続いて、こちらは胃袋。
喉とのつながりをカットし、摘出します。
ちなみに、胃袋の中からはザリガニがでてきました。
で、胃袋につながっているこれが腸管。
うんこが入っているので、ヘタに傷を漬けないように注意。付着すると衛生的にも、味的にもNGです。
摘出する際は、うんこのないところをカットし、以下のように結んでしまいましょう。
胃や腸管は、中身をひねり出して、開いて、よ~く洗えば食べられます。私は好きではありませんが…。
続いて、コチラは卵巣。食べたことはありません。
最後に、肺。
甲羅にひっついており、左右に一つづつあります。一応食べられます。
以上で内臓の摘出完了。
水で洗うと、このように綺麗になります。
4.後足を取り出す
ようやくお肉のターン。
まずは、甲羅に沿って包丁を入れ、皮を裂きます。
皮を裂いたのち、甲羅とお肉との間の膜のようなものをカットし、切れ込みをいれていきます。
そうやっていくと、硬いものにあたるのですが、それが甲羅と後ろ足との接合部です。
接合部がむき出しになるまでカットします。
そうしたら、後ろ足を掴んで、グルッと回します。力任せにやっちゃって下さい。
ボキッという手応えとともに関節が外れ、後ろ足がまるっと摘出できます。
現在の進捗はこんなかんじ、
内臓系とお肉とは別の容器に入れたほうがいいです。
5.前足をはずす
続いて前足を外します。
まずは、首と肩との間に包丁を入れ、皮を裂きます。カミツキガメには鎖骨がないので、サクッと切れます。
そうしたら、腕を掴んで、再びグルッと回します。
膜とかが残っていたら、ちょいちょい包丁でカットします。
そうすると、ボキッといって、腕が外れます。
反対側も同じように外しましょう。
これで残るは頭のみ。
6.頭を取り外す
首の付け根のジョイントに切れ込みを入れ、折り取るのですが、これが結構タイヘン。
骨の形が独特でジョイントが分かりづらいのです。
対策としては、金切りバサミで関節を強引にカットすると楽です。なければニッパーとかでもOK。
ブチッ!と外して、
頭が外れました。
首周りのお肉は貝柱みたいな食感で美味しいですよ。
残った甲羅、良い出汁が出るのです。
よく洗って膜や内臓のカスをとっておきましょう。
これで、解体完了。
カミツキガメは可食部が多く、重量の半分くらいは食べられる。優秀な生き物です。
今回はここまで!
続きは「カミツキガメをお肉にする手順(後編)~下ごしらえと調理~」をお待ちください!
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カミツキガメのとり方はコチラ
まとめ
カミツキガメの解体手順を紹介しました。
他のアカミミガメやクサガメと異なり、甲羅との接合部が少ないカミツキガメは解体しやすいです。
加えて美味しいので、駆除をするだけでなく印旛スッポンとかいって食用に供すれば良いのに…とは思いますが、行政の都合上、ナカナカ厳しいのでしょうね。
カミツキガメ
【採取場所】印旛沼水系などの、河川、用水路
【採取時期】5月~6月(産卵シーズン)がとりやすい、7月~10月もとれる
カメ目カミツキガメ科カミツキガメ属。北アメリカ原産。昭和のペットブームで盛んに輸入された。飼育しきれなかったのか野に放たれ、印旛沼水系にて繁殖が確認されている。現在は特定外来種に指定され、駆除の対象。また生きたままの運搬を禁じられている。
参考にさせていただいた資料:Wikipedia
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