クサガメをとって食べた初めての話

2022年8月4日川・池クサガメ,季節【夏】


さいしょに生き物をとって食べた日のこと…

皆さん覚えていますか?

クサガメ

生き物をとって…

殺して…

食べる。

(正確には魚釣りはやっていたので、魚介類以外の…って感じですけど!)

私にとってはじめての体験はクサガメでした。

その行為はとても鮮やかでそして重たくて、今でもはっきり覚えています。

クサガメ料理

今回はそんな“初めてとって食べた話"を思い出して書いてみますよ。

クサガメしか釣れなかった日

2016年くらい?のとある初夏、

私がやってきていたのは千葉県某所。

カミツキガメをとりたくて現地を調べていたのです。

当時はバイクを持っていなかったので、自転車を借りて、

カメがいそうな川を回っていたんですよね。

地元の人に聞き込みをしたり、

試しに釣りをしてみたり…とイロイロやったんですが、

まー結果的にカミツキガメはとれなくて、

代わりに釣れたのがコイツ、

クサガメ。

クサガメ

当時はカメ釣りなんてしたことなくって、デカいカメを触るのは初めて、

「なるほど~これがカメか~!

甲羅硬いな~!

うっわ、くっさっ!!さすがはクサガメ!!」

などといじっていたのですが、

「ところで、カメってどうやって食べるんだ?初めてでさばけるのか?」

という疑問が湧いて来まして、

「いきなりカミツキガメで失敗したら嫌だし、まずはこいつを持ち帰ってチャレンジしてみるべきなのでは?」

ってことでクサガメをお持ち帰りしたのです。

初めて生き物をさばいてみた(内蔵注意)

さて、持ち帰ってきたクサガメをどうするか?

当時は生き物を殺したことなんてありませんでした。

クサガメ

解体したことあるものというと小魚くらい。

どーしたらいいものか分からず、

とりあえず包丁を入れてみるのですが…

まぁ~固くてむりですよね。

カメは頭と手足を甲羅に引っ込めているわけですから、文字通り"刃が立ち"ません。

しかも時々動くんですよ…

これがかわいそうでならない…

「やっぱり止めて逃がすか?」

という思いがチラつきます。

いやいや、それは色んな意味でダメでしょう…

こと魚においては「釣った魚はちゃんと食べる。捨てない。」がモットーだった私としてはキチンと最後までやりとげたい。

意を決してペンチを取り出して、

ペンチのイラスト
ペンチ@いらすとや

頭をひっぱって、甲羅から引きずり出します。

そうしたら心を無にして…

首を包丁でずばー!

さて…

これで後には引けません。

お次は甲羅。

包丁でいじっていると、いちおう傷がつくことが分かりました。柄のところで甲羅をゴリゴリ削る作戦でいってみましょう。

包丁の柄

ゴリゴリ…

永遠に続くのでは?と思うほど地道な作業、

ほほを伝う雫は、汗か?涙か?

1時間ホド格闘、

カメに対する申し訳ない気持ちが湧いてくる中、ただひたすらに辛い時間が過ぎていきます。

そして…

パカリ!

クサガメ料理

ついに開きました。

このときの気持ちは、

「やりとげた!」

という達成感。

それと、

「無限に続く懺悔から開放された!」

という二重の達成感、思わず笑顔になる私。

クサガメ料理

続いてやってくるのは「カメの中身ってこうなってるんだなぁ~」という好奇心。

抱卵個体だったらしく未成熟卵もでてきました。鶏でいうところのキンカンという部位、これも初見。

クサガメ料理

未知なるものが沢山でワクワク!

クサガメ料理

こうなると楽しくなってくるのですから、私はこの時点でこっち側の人間だったんでしょうネ。

クサガメを食べてみる

メニューはカメ鍋に決めていました。

カミツキガメの調理をやったことある人の記事(DPZの平阪さんのヤツですね)で見ていたので、それを真似してやりました。

一人で食べるのは勇気が必要だったので、物好きな友人を召喚。

身とモツと甲羅を分けて、

よく洗った甲羅鍋にぶち込んで煮てみます。

内蔵と肛門のあたりはクサガメのニオイがするので入れませんでした。

(写真ナシ、スミマセン。)

1時間くらい煮たところで野菜を加えます。

シイタケ・エリンギとか白菜、それに春菊・水菜。だいたいは水炊き風。

クサガメ鍋
クサガメ鍋

※ホントは下茹でしたあと、皮をむいたほうがいいです(下のは二回目に食べたときの写真)。

クサガメ料理

出来上がったものがコチラ、

クサガメ鍋。

クサガメ料理

味は…

思っていたより臭みはなくて、

鶏でも豚でもない不思議な旨味のするスープ。

だったのを鮮明に覚えています。

そう、

クサガメはうまかったんです。

最後に入れてみたカメのキンカンは、風味こその鶏の卵に煮ているのですが、ざらりとした食感でほんのりスープが飲みづらくなりました。卵は入れないほうが美味かったかな、別で食べたほうがいいです。

友人が発見したのですが、

亀の甲羅にスープを注いで飲む。

という猟奇的な食べ方がうまい!と一緒にやりました。

口当たりがいいし、カメの香りが鼻孔に突き抜けてパンチが増すのです!

そんなふうに堪能をし、

「ごそうさま!美味しかった!」

とクサガメにお礼を言いつつ箸を置いたのでした。

まとめ

初めてとって食べた生き物、それがクサガメでした。

はじめて生き物を殺すという体験。ましてやそれがカメだと処理にとてもてまひまかかり、長く重たい時を体感をする事ができました。幸か不幸かじっくり考えて自分とカメと向き合う時間、それは今でも忘れません。クサガメありがとう。君は美味しかったよ!

クサガメ(臭亀)

【採取場所】河川、池、沼
【採取時期】冬以外
イシガメ科イシガメ属。日本でよく目にするカメのうちの一種。日本在来のものではなく、中世に持ち込まれた外来種と考えられている。性格は比較的温厚だが、危険を感じるとクサいにおいをだす。

参考にさせていただいた資料:Wikipedia、デイリーポータルZ

宣伝コーナー

甲羅つきという非常に合理的な生き物であるカメの図鑑、カッコ可愛い!


スッポン鍋、めちゃめちゃ高いけどこの旨さは他にありません…。

カメ釣りの針はワーム針がオススメ。かなり大きい針でも飲んじゃうので要注意。

【おまけ料理レシピ】クサガメ鍋

【材料】
クサガメ x大きいの一匹
豆腐 x適量
昆布 x適量
長ネギ x適量
生姜 x適量
シイタケとか白菜とか好みの具 x適量

【作り方】
1.
クサガメの首をペンチで掴んで吊るす。
首が伸びたところで金切りバサミで落とす。

2.
甲羅を開く、金鋸(ダイソーに売ってる)でギコギコやるのが早い。
包丁の柄はすんごい時間がかかるのでオススメしない。

3.
内蔵を傷つけないように取り出す。
手足を甲羅と関節に沿って切り出す。
お尻としっぽは臭腺があるので使わない。

4.
甲羅、腹甲、手足、をそれぞれ下茹でする。

5.
手足の皮を剥く。
甲羅の皮を剥く。

6.
クサガメの手足と甲羅、適当にカットした生姜・ネギの青い部分・昆布を弱火で1時間茹でる。
→昆布だけ沸騰したら取り出す。

7.
6のダシを濾して、塩で味を整える。
豆腐と好みの具材を加えて軽く煮たら完成。