東京でとって食べる生活

マテバシイのどんぐりデンプンでタピオカを作ってみた

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世間は空前のタピオカブーム。テレビではキラキラとしたインスタ映えするタピオカスタンドが取り上げられ、カフェでは競うかのようにタピオカドリンクが発売。近所にはインスタ映えするタピオカスタンドが新規オープンしました。

タピオカミルクティー。たっぷり入ったブラックタピオカがもちもちして大変うまい

そんなブームの真っ只中、私もタピオカに抱く熱い想いがひとつ、

タピオカをどんぐりから作りたい…!!

古来、縄文を代表とする狩猟採集生活の時代から食べられてきた重要な食物のひとつであるどんぐり。

その栄養素の中心はデンプンです。

デンプンの粉、理科の授業でジャガイモから作った方も多いのではないでしょうか

でもって、タピオカはキャッサバという芋から精製したデンプンから作られるのだそう。

つまりは同じデンプンなわけで、どんぐりのデンプンからでもタピオカは作れるのではなかろうか?

日本人たるもの、海外からやってきた熱帯植物のデンプンではなく、古来から食してきた里山どんぐりのデンプンでタピオカを作ったほうが口に合うのではなかろうか。

いや、狩猟採取民族の末裔としてはむしろそうすべきなのではないでしょうか!

というわけで、今回はどんぐりを拾ってタピオカづくりにチャレンジしてみた話です。

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どんぐりを取りに行く

まずは材料のどんぐりを採取しにいきます。

やってきたのは都内のとある公園。狙うのはマテバシイのどんぐり。

どんぐりはどれでもデンプンを豊富に含むのですが、たいがいのどんぐりにはタンニンという渋味成分が含まれており、食用とするためには大変な渋抜きの工程が必要になります。

子供の頃、どんぐりをかじって「マズッ!」となった経験をしたことのある方は多いのではないでしょうか。あれがタンニンの渋みなのです。

そんなどんぐりのうち、渋みの無いものの一つがマテバシイ

マテバシイの木

マテバシイは大きめの公園ならだいたい植わっています。

樹皮はこんなかんじ、

割れがなくなめらか。白っぽい色合い

ドングリはこんなかんじ、

縦長で、帽子つき。特別に縦長なシルエットで、慣れると簡単に見分けられます

マテバシイは渋みがなく、炒って割るだけで美味しく食べられます。その味は栗のような香りがしほんのり甘い。

こんな美味しいものがそこらの公園に落ちている。拾わない手はないというものです。

たくさん拾っていきましょう。

人気のようで、ほとんど拾われてしまっていました。それでもそこそこの量を確保!

マテバシイからデンプンをとる

続いて、採取してきたマテバシイからデンプンをとります。

まずはカラをむいて中身を取り出します。

金切りバサミでバチンと割ってむいていきます。

中身は栗と同じような黄色、生でもほんのり甘くて美味しいです

ひととおり剥き終えました。

マテバシイのむき身、かかった時間は二時間ほど

水に晒すと少し濁りがでて、デンプンが多少は流出しているように見えます。

とはいえ、このままだとデンプンを抽出しきるのは厳しそう。水と共にフードプロセッサーにかけ、細かくしてみましょう。

ウォーン!硬いものは何でもフードプロセッサーで砕くとだいたいうまくいきます

オオゥ…。

ミキサーにかけるとドングリからとったとは想像もできないような、どろっとした牛乳のような液体ができあがりました。この中にデンプンが…?

マテバシイミルク、無味

ドングリの固形物が沈んでいるため、ザルで濾して取り除きます。

取り除いた固形物、これはこれで栗の香りがします。炒ってコーヒーにするか、炊き込みご飯に混ぜ込むか、別の用途に使えそう

取り除いた固形物を再び水洗いし、なるべくたくさんのデンプンを搾り取ります。

そして、ザルを抜けた細かい破片を取り除くため、ガーゼで濾します。

ガーゼが小さすぎて一度こぼしてしまいました。大きめがおすすめです

そうして抽出したどんぐりミルクを一晩おき、デンプンを沈殿させてみました。

デンプンが沈殿し、うまいこと分離しています。成功…かな?

一晩たったものがこちら、ミルク状だった液体のうち、デンプンが沈み透き通っています。

これの上澄みを捨てます。

限界ぎりぎりまで捨てました

まだ水分が残っていますが、残りの水分は乾燥させ蒸発させる事にします。

24時間おいたもの、どうにも色がおかしい

1日おいたものがこちら。

微妙に泡立っているうえに、茶色く色づき樹液の香りがします。カブトムシとかの好きなにおいですねこれは。

このままではなんか違うものがてきてしまう!…と私の直感がビンビン。

ここで作戦変更。液体を別の平皿に移して別々に乾燥させるやりかたにチェンジ。サーキュレーターも回して乾燥を急がせます。

救世主サーキュレーター、立つ

更に1日乾燥させたものがこちら、

平皿のほうは乾燥しきってパリパリ、

今度はうまくいっているように見えます。

まだ水分が残っています

沈殿物のほうはスプーン入れてみるとまだ水気がある様子、更にもう1日乾燥させてみます。

いわゆる片栗粉の状態

カリカリに乾きました。うまくいったようです。

マテバシイのどんぐりデンプン完成です…!

断面は焼き菓子のようで、ほんのり樹液の香り。美味しそうに見えますが味はありません、粉です

マテバシイデンプンからタピオカを作る

さて、いよいよタピオカ作りに入ります。

タピオカ作りに使うのは、もちろんどんぐりデンプン

ドングリ採取から一週間、長かった…!

固形物は水を入れるだけではとけないため、スプーンで潰しながら

どんぐりデンプンに少量ずつ水を加え伸ばしていきます。

どろどろはNG

ちょっとづつ足したつもりが、入れすぎました。

形を保てない状態ではタピオカに丸められません。デンプンを足して調整していきます。

これくらいでポロポロの状態ならOK

うまく丸められるほどの粘度にすることに成功、

これをタピオカっぽく球状にして熱湯で茹でていきます。

デンプンは熱と水分を加えることでα化という状態変化をし、もちもちの食感に変化するのだそう。

逆に冷えて乾燥すると老化といって固くなります。

ご飯を炊くとモチモチしたり、冷えたご飯がカチカチになるのと原理は同じ。

ちゃんと形と保っています、今のところは成功っぽい

というわけでα化をさせるべく、丸めては湯に放り込んでいく作業を淡々とやっていきます。

すべて丸め終えたら、これを30分ほど茹でます。

茹でていると粉っぽさがとれて茶色くなってきました

30分茹でたものがこちら、一般の乾燥タピオカを基準にしたのですが、うまくいったのでしょうか。

ひとつかじってみましょう。

ぱくり、

…こなっぽい!

中心まで水分が行き渡っていないようです。

デンプンの性質なのか、どんぐりデンプンのα化にはずいぶんと時間がかかるようです。

ここからは炊飯器にバトンタッチ。デンプンのα化は50度~70度で行われるとのこと、それならば炊飯器の保温モードでもギリギリ足りるはず。

保温モードで朝まで放置してみましょう。

朝まで7時間保温したものを、

寝起きに炊飯して30分ほど沸騰させてみました。

沸騰30分+保温7時間+沸騰30分の結果

カットしてみると中心がまだやや白いですが、マァ良しとしましょう!

これを作っておいたミルクティーに加えまして、

とうとう完成、

マテバシイのどんぐりタピオカミルクティー!!

たくさんの工程をふんでようやくできあがり、めちゃくちゃ嬉しいです。

ではさっそくいただいてみましょう!

ずぞぞぞぞ……

むにむに。

ウーン、タピオカっぽい…栗?

タピオカらしいモチモチ食感はするにはするのですが、ナッツ的なゴワつきもあります。

濾し方が甘くて、デンプン以外の成分が多かったのかも…。

大きさが不揃いなせいで、ストローに入り切らないのも失敗!

とはいえ、ひとまず見た目は完全にタピオカにはなりましたし概ね成功といってよいのではないでしょうか。

ぶじマテバシイのどんぐりからタピオカを作ることができました。感無量でございます。

さて、ここから調子に乗って蛇足に入ります。

マテ茶の茶葉、お茶専門店で購入

せっかくなので、マテ茶を買ってきました。

本来マテ茶はボンビーリャなど専用の茶器で飲むものだそうですが、今回は省略

マテ茶を淹れて、冷蔵庫で冷まして…

タピオカをIn

マテバシイのどんぐりタピオカ入りマテ茶、略して

マテマテ茶!!

マテ茶、 緑茶とも紅茶ともと違ってほうじ茶のような香ばしさがイイ

ハイ…すみません。

言いたかっただけです。

マテ茶とマテバシイとに味的な相乗効果は全く無かったことをここに報告いたします。

ごちそうさまでした。


○まとめ

マテバシイのどんぐりからデンプンを抽出。時間はかかりましたが、なんとかタピオカを作ることができました!

大変ではありますが、材料はそこらの公園で拾えますし工程そのものはかんたんです。夏休みの自由研究……はどんぐりのシーズン的に遅いので、冬休みの自由研究の課題にいかがでしょう。

■マテバシイ(馬刀葉椎、全手葉椎)
【採取場所】公園、緑地
【採取時期】9月~10月
ブナ科の常緑広葉樹。古来から食用として利用され、植えられてきた。よく育ち剪定にも強いため街路樹や公園の緑樹として植えられる事が多い。実は二年かけて熟す。

【おまけ料理レシピ】マテバシイのどんぐりデンプン

【材料】
・マテバシイ x500g~1kg

【作り方】
1.
マテバシイを採取する、虫に喰われていない綺麗なものを選ぶ。

2.
カラを剥く。非常に硬いために注意。ニッパーか金切りバサミを使うのがおすすめ。

3.
水を加え、フードプロセッサーにかける。

4.
固形物をザルにあけ、よく水洗いしデンプンを抽出させる。

5.
抽出したデンプン入りの液体をガーゼか布で濾す。

6.
濾した液体を安置し、デンプンを沈殿させ、上澄みは捨てる。
水を変えつつ、この作業を2~3度繰り返す。
常温では発酵する可能性があるため冷蔵庫に入れるとよい。

7.
沈殿物を乾燥させ、どんぐりデンプンが完成。

※片栗粉や葛粉と同様に使える。くず餅にしたり、パンやクッキーに混ぜ込んだり、唐揚げの衣になどに利用できる。


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