オタマジャクシ(ウシガエル)の乾物を作って食べる

2023年3月7日川・池ウシガエル,オタマジャクシ,季節【夏】


ある日、相談がありました。

「 ウシガエルのオタマジャクシを美味しく食べられないか?見た目がオタマジャクシに近いほうがいい。例えば干物とか。 」

うん、私が言うのもなんですがなかなかクールな相談です。控えめに言って大好き!

そういえば以前にウシガエルのオタマジャクシ(略してウシオタマ)を揚げて食べる記事を書きました。

揚げて食べると軟骨も気にならずウマかったんですが、

そのウシオタマの…………干物?

ウシガエルのオタマジャクシ
ウシガエルのオタマジャクシ、でかい!!

両生類の干物なんて、そんなものやったことありませんでしたが、イモリとかもカンポーで干物になるし、やればできそうですね?

そんなわけで、

「やってみましょう!」

と実際に作ってみたところ、できちゃいました。

ウシガエルのオタマジャクシの干物
完成したオタマジャクシの干物

今回はそんなオタマジャクシの干物制作チャレンジレポートです。

※相談元に記事にしてよいことは確認済みです!

オタマジャクシを取りに行く

というわけで、試作用のウシガエルのオタマジャクシを採取するため、ウシオタマ影の濃い池にやってきましたよ。

ウシガエルは夜行性、昼間はあまりとれません、

夜の帳が落ちるのを待つことしばし…

時間がたって20時をすぎたころ。

ウシオタマが出てきました。今までどこにいたんだよ!?ってくらいウジャウジャと。

ウシガエルのオタマジャクシ
岩についたコケを食べるオタマジャクシ

こいつ遊泳力がけっこうたかくて、網ですくうのがちょっと難しいのですが、必殺技がありまして、"二本の網ではさみこむようにしてすくう!"と簡単にとれます。

てぇい!

ざっぱーん。

ウシガエルのオタマジャクシ
すくったウシガエルのオタマジャクシ(友人撮影、私の手)

でかいのがとれましたね。

いやいや…いつも思うんですが、デカすぎません?

20センチに迫るサイズ感で、でっぷりとした体躯。もしコイツが手軽に美味しく食べられるならタンパク源として非常に有用なのではなかろうかといっつも思います。

しかし製品化されていないということは、それほど美味しくないということなのでしょうか…?

とりあえずはやってみなくては始まらない。さっそくシメて持ち帰りましょう。

※ウシガエルは特定外来種のため、オタマジャクシも生きたまま運搬できないのです!

オタマジャクシを干物にする方法

さて、オタマジャクシを干物にするなんて、どうすれば?

とりあえずメザシみたいに刺して干してみましょう。そうしよう。

…とチャレンジしたものがコチラ。

オタマジャクシの干物A案
オタマジャクシの干物A案

干しぶどうみたいになりました。

これはダメですね…

「オタマジャクシらしさを残す」というリクエストが反映されてないように思えます。

リトライ。

干物ってゴザとかに並べて干しがちなのでは?

ということで、開いて平らにして干す方法にチャレンジ。

オタマジャクシの干物
つまみぐいしそうな奴がいますが、オタマジャクシには手を出しませんでした

クーラーの風が当たる場所に置くこと一時間、

パリパリに乾きましたね。

オタマジャクシの干物B案
オタマジャクシの干物B案

おっ!?

なんとなく丸っぽくて、"オタマジャクシっぽい形"になりました。この作成方法でイイのではないでしょうか。

ならばその路線で行ってみようということで、再び現地に趣きまして

本番作成に挑むため、大量のウシオタマを採取。

現地で開いて持ち帰ります!

オタマジャクシの干物を作る

こちらが持ち帰ってきたウシガエルのオタマジャクシたち。

これを平らに広げられるよう、開いてゆきます。

ここで気になるのが血のにおい。

オタマジャクシって捌くときに鉄臭いかおりがするのですよね…

これを上手に消すのが美味しさのヒケツ!(おそらく

対策として麺つゆに浸け、マイルドにする手法を試作段階で実証済み。

くさいものはだいたい醤油味にしちゃえば美味しくなるのです。

また、他の味も試してみたいよね?ってことで、今回はもう一種類。

塩こうじ味も作成。

余談ですが、お酢で洗う手法も試してみました。これをやるとヌメリと共に汚れがよく落ちます。血のニオイも落ちます。

ただ、"漬けすぎると外皮がボロボロになって見た目がとても悪くなる"という欠点がある諸刃の剣ライクなやつです。ご利用は計画的に。

さて、15分ほど味をなじませたところで、一度取り出しペーパーで水気をきります。

これを、網とペーパーに並べて

お手性のダンボール型食品乾燥機に突っ込みます。

30分ほど温風で乾燥運転をしたところ…

パリパリに乾きました。

綺麗にオタマジャクシの形も保てています。

見た目は完璧なのではないでしょうか?どっからどう見てもオタマジャクシ。

でも実際の問題は味ですよ。

ドキドキしますね!

オタマジャクシの干物の味は?

できあがったオタマジャクシの干物を味見してみましょう。

とりあえず麺つゆ味を。

これどうやって食べるんだろう?

さすがにで食べるのはいかんでしょ…

この干物、足がついてますね!

ってことでフライパンで加熱してみます。

焼かれるオタマジャクシ(干物)
焼かれるオタマジャクシ(干物)

じゅう。

弱火でじっくりと加熱。

ぷく~~~

おぉ!?ふくれてまるっこい形を取り戻してきましたよ。

ふくれるオタマジャクシ(干物)
ふくれるオタマジャクシ(干物)

コゲるまえに取り上げ、食べてみましょう。

はむ。

もぐもぐ…

ってウッマ!?

さばくとき気になった鉄っぽい香りは徹底した対策により消え、骨も軟骨的な食感で一切合切気になりません。

ほとんどアジのみりん干しの味ですね。

見た目もアジのみりん干しに似てるような

ま、味付けが同じだからそりゃそーなんですけど…

むしろ骨と鱗のゼイゴがないぶん口溶けがかろやかで、ウシオタマのほうが旨いのでは??

ついでに作った塩麹味もウマ味がきいててヒジョーに美味しい…。まさかのまさか、殆ど手を加えなくてもこんなに美味しいとは。これもしかして商売になるレベルなんじゃ?

ごちそうさまでした。

まとめ

ウシガエルのオタマジャクシは開いて干すと良い感じに干物になります。でもって、みりん干しにしたウシオタマはまさかのアジの干物の味。ゲキウマです。ぶっちゃけ商売になりそう。

親が旨いなら子供はよりうまい。マトンよりラムのほうが旨い。カエルよりオタマが旨い。なるほどそういうことか。オタマのほうが取りやすいし、干物にしたら保存も効くしで究極の利用方法なのではないでしょうか。

ウシガエル

【採取場所】池、流れの緩やかな河川
【採取時期】5月~9月
アメリカアカガエル属の外来カエル。食用に持ち込まれたものが野生化した。オタマジャクシはその幼生。手足はなく尾びれで泳ぎ、藻や水草を削って食べる。生まれた最初の年はオタマジャクシの姿で冬を超し、翌年に変態しカエルとなる。カエルもオタマジャクシもどちらもむいて加熱するだけでも食べられるため、サバイバルの食材として非常に有用。

参考にさせていただいた資料:Wikipedia

宣伝コーナー

ウシガエル釣りにはフロッグが便利。共食いのようですがよく食うのです


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【おまけ料理レシピ】ウシオタマの干物

【材料】
ウシガエルのオタマジャクシ xたくさん

めんつゆ4倍 x適量
塩麹 x適量
お酢 x適量 ※なくてもよい
ゴマ x適量 ※なくてもよい

【作り方】

1.
採取に行く前に、ジップロックにめんつゆと塩麹を水で溶いたものをそれぞれ入れておく。
お酢ときれいな水も用意する。

1.
ウシガエルのオタマジャクシを採取する。
網が二つあるばあいは挟み込むように採取する。
ない場合はガサガサすると楽。

2.
ウシガエルのオタマジャクシは現地でさばいて内蔵をだす。
カッターナイフがあると楽。
※本種は特定外来種のため、生きたままの運搬が禁じられています。

3.
冷水でよく洗う。
お酢でさっと洗うとより汚れが落ちるが、見た目が悪くなる。好みで。
再び冷水でよく洗ってペーパーで水をよく切る。

4.
水をきったら、めんつゆと塩麹につける。

5.
15~30分も漬ければOK。
水気をペーパーできって、キッチンペーパーに貼り付けるようにし、最後にゴマをふる。
これを風通しの良い場所で干す。良い場所がなければ扇風機をひとばんを当てて乾かすと楽。