オタマジャクシの四足はチキチキボーンの旨さだった
オタマジャクシ、誰もが知ってるカエルの子供。
子供の頃は網ですくってみたり飼育してみたりと、皆さん一度は触れた事のある生き物なのではないでしょうか。
さて、そんなオタマジャクシを眺めていて思うことが一つ…
まるまる太ってうまそうだな…と。
きっと皆さんと同じような事を考えていると思うのです。きっとそう!
どっかの番組でサバイバリストが食べてたような気はするのですが、どんな味なんだろう…?(なので毒はないはず)
というわけで今回はそんな人類共通の疑問を解消するべく、オタマジャクシを食べてみた話です。とびきりでっかいウシガエルのオタマジャクシをね。
カエルとオタマジャクシ
オタマジャクシはカエルの子供。春に卵として産み落とされたのち魚のように水中で育って、大きくなった夏ごろに手足が生えて陸上生活を送るようになります。
今回のターゲットであるウシガエルはアメリカからやってきた外来種のためちょっと特殊。5月頃に卵を生むのはだいたい同じなのですが、孵ったオタマジャクシはそのまま越冬。冬を超した翌年に変態してカエルの姿になるのです。
また卵も数も非常に多く、アマガエルが200個~1,000個なのに対し、ウシガエルは6,000~40,000個にもなるそう。これが1週間ほどで孵化すると、大量のオタマジャクシが水域を埋め尽くすほどに…。
ウシガエルは冬眠期間を除いてほぼ1年中オタマジャクシの姿を見る事ができ、なお数数も多いため非常にとりやすいのです。なおかつ数くてデカい。
すばらしく都合の良い獲物なわけです。
さっそくとりにいってみましょう!
オタマジャクシを取りに行く
夏真っ盛りの8月のある日。そろそろいい具合に成長したであろうオタマジャクシをゲットしにいってきました。
ちょろちょと泳ぎ回るオタマジャクシをどうやって捕まえるのか?といいますと、
今回はガサガサという手法で採取します
ガサガサとは一人追い込み漁のようなもの。
オタマジャクシの潜んでいそうな水草の前に網を構え、足で水草をガサガサとかきまわし、オタマジャクシたちを驚かし網に追い込むのです。
オタマジャクシは水の流れのない場所を好むということで。今回はウシガエルの鳴き声が聞こえる野池のような場所にやってきました。
タモ網を片手にレッツトライ。
さっそくガッサガサとやっていきましょう。
おっと!一回目のガサガサであっさり捕獲、
でっぷりと太ったオタマジャクシがとれました。
さすがはウシガエルのオタマジャクシ。大きい。
これなら食べごたえじゅうぶんです。
続けてどんどんやっていきましょう。
ガッサガッサ!
おっと、今度は別の生き物。
アメリカザリガニの小さいやつ。もしや私と同じでオタマジャクシを追いかけているライバル?負けませんよ。
川エビや小魚という可愛らしい獲物もGET。美味しそうに跳ねてるけど今夜は食べてあげないのだ。また川エビチャーハンを作るときに会いましょう。リリース。
ガサガサは無作為に色々な生き物が網に入るおかげで、いろんな生き物を観察できてたいへんよい。
数カ所でガサガサをやったところ、味見には十分な量のオタマジャクシがとれました。これくらいにして次のステップにいってみましょう。
オタマジャクシの下処理
このまま持ち帰ってレッツクッキン♪といきたいところですが、オタマジャクシとはいえウシガエル。特定外来生物に指定されているために生きたままの運搬は禁止されています。
というわけで現地でシメる必要があるのですが、せっかくなので美味しく食べるためにもここで内蔵の除去と血抜きをやっておきましょう。
処理をはじめるとツンとくる血のにおい。鉄分を感じるあのにおいがけっこう強め。果たして美味しく食べられるのだろうか?心配になってきました。
また、せっせと処理をしてると気づいた事がひとつ。
オタマジャクシは成長度合いによって徐々に姿がカエルへと変わっていくわけですが、
この状態の変化によって消化器官も変化していくようです。
オタマジャクシとカエルとで食べるものが違うので当然といえばそうなのですが、実際に目にすると奇妙でしかありません。生きたまま次第に内蔵が変化していくというのは、いったいどんな感覚なのだろうと不思議な気持ちに…。
そんなこんなで処理おしまい。
血の匂いがちょっぴり心配ですが、料理すればなんとかなると信じて今度こそレッツクッキンやっていきましょう。
オタマジャクシを調理する
持ち帰ってきたオタマジャクシを調理します。
まずは臭みとりを兼ねた塩もみから。
しっかり揉み込んだところで一度洗い流し、水気をキッチンペーパーで拭き取ってしまいます。
ヌメリをとった事で気づいたのですが、オタマジャクシもカエルと同じで皮をはがせるようです。ちょいと手間ですが一匹一匹はいでしまいましょう。ペリペリっと。
以上で下ごしらえ完了!あとは料理するのみ。
今回はカエル料理では定番の唐揚げでいってみることにしました。
まずニンニク醤油にしばらくつけこみましたら、
ぺぺっと片栗粉をまぶしまして、
180度の油でじゅわっ!!と揚げます。
揚げすぎないようにサッとひきあげたら完成、
オタマジャクシの唐揚げ、
名付けてフライドオタマ♪
揚げてしまうとぱっとみオタマジャクシには見えず食べやすそうなところがGood。
さてお味のホドはどうでしょう…さっそく頂いてみます!!
サクッ♪
んんん……?
うまーーーーーい!!!
なんですかこの食べ物、旨味がめちゃくちゃ濃いですよ。
心配していた血の匂いもなければ、小魚っぽい苦味も一切なし。例えるなら地鶏のような強い旨味。カエルになるために溜め込んだ栄養素のおかげなのでしょうか。パワフル。
成長段階によって味が違うのも面白い。
足が生えていないものは柔らかくてしっとしりした味わい。
例えるならチキンナゲット。ご飯に乗せて食べたい味。
対して、手足がきっちり生えたものは筋肉質でこってりとした旨味。
筋肉質な歯応えがムチムチで旨味もより強い。骨が柔らかくジャキジャキ食べらるところもナイス。完璧。既製品でいうとチキチキボーン。ビールがいくらでも飲める味。
どちらにも共通することは、
めっぽううまい!
また、別の機会に友人にふるまってみたところヤハリ大好評。
頂いた感想は、
「鶏皮っぽい。」
「旨味はタコ、歯ごたえのないタコ唐。」
「口溶けがいい、臭みがない白身魚みたい。」
「鳥と白身魚を足して割ってないやつ。」
などなど。それぞれ感想が違うのは食べた個体が違うから?
結論、
オタマジャクシはうまい。満場一致で!!
ごちそうさまでした。
まとめ
「オタマジャクシは美味しいのか?」という全人類共通の疑問の回答を得ることができました。これほどうまいとは思いもしませんでしたが…。
カエルの成体に比べ、比較的簡単に取ることができ資源量も豊富なオタマジャクシ。栄養に困ったサバイバリストでなくともおすすめのできる食材です。ウシガエルはそこらじゅうに生息しているため、ぜひ一度試していただきたい。
後日、干物にもチャレンジしてみました。
オタマジャクシ(ウシガエル)
【採取時期】4月~9月
【採取場所】緩い流れの水場
オタマジャクシはカエルの幼生の総称。手足はなく尾びれで泳ぎ水中で生活する。カエルの種類によってオタマジャクシでいる期間が異なるが、ウシガエルは約2年。1年目はオタマジャクシの姿で冬を超える。藻や水草を削って食べるほか、メダカなど動物食のものも口にする。冬眠をする冬季以外は採取できる。
【おまけ料理レシピ】フライドオタマ
【材料】
オタマジャクシ x20匹
塩 x少々
油 x適量
片栗粉 x適量
A.
しょうゆ x大さじ2
みりん x大さじ1
おろしニンニク x大さじ1
【作り方】
1.
ウシガエルのオタマジャクシを採取する。
現地で内蔵と血を抜いてきれいな水で洗っておく。
2.
とってきたオタマジャクシを塩もみをし皮をむく。
3.
Aを混ぜたタレに、2のオタマジャクシを5~10分ほど漬け込む。
4.
片栗粉をまぶして、180度の油でさっと揚げる。カラッとあがったら完成。
ディスカッション
コメント一覧
消化管の変態 実際見ると楽しそうですね
これを読むまでおたまじゃくしを食べるという発想がありませんでしたが、読み終わったら結構アリかも と思ってしまいました
くずにしさんコメントありがとうございます!
けっこうアリ感が伝わったようでなにより(笑)
ぜひとも味わってみていただきたい。ほんとうまいです
昔はウシガエルはザリガニとかニジマスとか食料対策として輸入されてきて実際にたべていたのでしょうか?
いつ頃のお話しなんでしょうかね?
ウシガエルが入ってきたのは昭和初期のころみたいです。
自分たちで食べるというより、日本で缶詰つくってアジア圏への輸出してたらしいですね、ザリガニはウシガエルの餌用らしいので同時期、ニジマスは明治でこちらは完全食用。いまやサーモンとしてなじんじゃいましたね
おたまって食べれたんだシラナカッタです。ヤ!
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