バラフエダイのシガテラ毒・毒味レポート
でかくて旨そうな魚が釣れたとして、それが毒魚だったら…!
あなたはどうしますか?
そうあの美しい薔薇色の毒魚、バラフエダイのように、です。
毒針(エイ)とか、皮に毒がある(フグ)とかではなくって、身に毒があるタイプの毒魚。つまり避けられない。美味しく食べれば、それは文字通りの毒見。
“美味しさ" と “命の重さ"
そんなの比べるまでもなく、命をだいじにであって食べるべきではないでしょう。
しかし、
他にまともな魚がとれなかったら?
それなりに安全に食べられる理屈があれば?
食べたくなっちゃうかもしれません…よね?
あぁ…危険が危ない!
しかし、この魚が“マズければ"、そんな事態になっても『スルーできる』はず。というわけで、みんなの代表として毒見をしておこうそうしよう!
…というわけで毒魚バラフエダイを食べてみたレポートです。
バイクと一緒に島旅行にいってきた
とある秋。伊豆七島へ島釣りに赴いていました。
今回はバイクを船に積み、愛機と共に島に渡るスタイル。
片道6,000円、往復で12,000円。まぁ現地でレンタカーを借りる代わりと思えば妥当な価格。
代わりに船室は船底の相部屋、でもマットがあるから快適、オッケー♪
22時に出発して、翌朝には島に到着。
下船するとバイクがコンテナに積載されて上陸していました。
へぇ…そういうシステムなんですね、なんか隙間が多くて非効率じゃないですかね?いいけど!
走り出したら、日中は島内を一周ツーリング!
お昼はそのへんでアシタバをつんで、アシタバ焼きそばを作ってみました。
からしマヨつきの一平ちゃんとアシタバの組み合わせは無敵の島味。
ついでに港にも寄って海や風の具合をチェック。今日釣りやすいのはどの方角でしょうかね。
でも日中は釣りをしません。秋とはいえ暑いから、
釣りは夜。
夜になったら目星をつけておいた港へ移動して、
遠投ぶっこみ!
餌のイカをつけて、40号のオモリでばーーーんと遠くに飛ばします。
ぶっこんだあとはカップ麺でも作りながら待つだけ。
そんなキャンプみたいな釣りの旅。こういうのが楽しいのですよ。
Q.バラフエダイが釣れました。食べられますか?
そんな島の夜釣り。中くらいのエイとか、バカデカイエイ(上がらない)などに遊んでもらっていると…
夜20時くらいに、いい感じのアタリ、
糸がぎゅーーーーーーーんっ!!と沖にひっぱられます。
「コレは美味しい魚なのでは!?」
と、ワクワクしつつ回収。あがってきたのでは…
50センチほどのタイ的な体型の魚。太くてうまそう。
でも知らないやつ!
「だ、だれだきみはーーーーーーーーー!?」
この島のメインターゲットはフエフキダイやフエダイで、てっきりそれかと思っていたのですが、
【フエフキダイ】
【フエダイ】
なんか違うんですよ。
シルエットは似ているんですが、尖ったヒレに気品がないし。キバあるしで、ぱっとみからして粗野ないでたち。
よくよく調べてみると、バラフエダイという魚だとわかりました。
美味しいのでしょうか…?
A.毒魚です。食べられません
バラフエダイと分かったのは良いのですが、どうやらこの魚は毒があるらしい。
一般的に販売自粛、つまり売ることができない魚。
シガテラ毒という種類で、主にシガトキシンという成分が原因の生物濃縮なタイプ。
南海のイシダイとかの中毒が有名で、wikipediaによると…
シガテラとは、熱帯の海洋に生息するプランクトンが産生する毒素に汚染された魚介類を摂取することで発生する食中毒。
シガトキシン、スカリトキシン、マイトトキシン、シガテリンなど20種以上が確認されている。いずれもナトリウムチャンネルに特異的に作用し、神経伝達に異常をきたす。
wikipediaより引用
とのこと、
特に有名な症例が“ドライアイスセンセーション"というもので、温度感覚が麻痺して氷に触れた際に感電したかのような痛みを感じる症状。ひどい場合は一ヶ月も苦しみ、海外では死に至った症例もあるとか…。
毎日のようにたっぷり氷を浮かべたコーラを飲む私にとってクリティカルヒット!!
ちなみにこの毒は熱耐性があり、加熱してもどうにもなりません。
さて、まるまる太って美味しそうなんですが、リスクが有るタイプの魚といいことがわかりましたが…
「どないしよ?逃がす??」
と思ったのですが、いいサイズの釣果はこのバラフエダイのみ。
念のためにね、丁寧に血抜きをして持ち帰っておくことにしました。
念のためにね、保険ってやつよ保険保険っ。
バラフエダイを食べてみる自己責任で
んで、この日ともう一晩釣りをして、本土に帰ってきました。
釣果は…こんなかんじ!
・バラフエダイ【毒】
・ソウシハギ【毒】 ※もらった
・イトフエフキ
・アカハタ
・カサゴ
・マウツボ
うん、見事にでっかいのが毒魚しかないですね!

…こ、これは毒魚を食るレポート回避不可!?
背に腹にはかえられません。
保険として持ち帰った魚が役に立ったわけで、これはこれでバラフエダイありがとうなのですが、
どちらかというと、これから私に必要なのは生命保険なのでは…?
などと思いつつ、さばいてお刺し身にしてみました。
バラフエダイ(毒)のお刺し身、完成です。
自己責任で食すわけですが、私なりに安全と考え、私の考える安全の範囲で食します。
私の私なりの理屈をメモしておきます。あくまで私のためのですよ!
第一にシガテラ毒は沖縄など南方系の魚に多い中毒。伊豆七島からは遠く離れており、影響範囲外と考えました。よくシガテラに侵されがちのイシダイが当島では当たらないという話も聞いています。
第二に、島民(泊まった宿の主人、釣具屋のかた、島の釣り人)に聞き込みをした結果、島ではフエダイの仲間はそれほど区別せずに食べてしまうと聞いた事、また島でバラフエダイの中毒は聞かないとの情報があった事です。写真を見せても無反応でした。よく当たるなら何かしら反応があるはず。
第三に、バラフエダイの毒性はサイズが大きくなると共にに強毒になる傾向があるが、今回釣れた40~50ほどのサイズでは強毒の確率が低いと考えられること。(琉球列島におけるシガテラ毒魚の年齢と成長が毒性に及ぼす影響評価、より)
以上より、
私が食べたとして、当たる可能性は非常に低く、当たったとしても大事には至らない。
と考え、食べちゃうことにしました。
幸いチュー◯ッヒ生命保険にも入ってることです、なんかあっても大丈夫!
入っててよかった生命保険!
クーラーに入れててよかった保険のネタ魚!
バラフエダイ(毒)の味は?
バラフエダイのお刺し身
はい、それではいただきます。
まずはお刺身から、
もぐ…
ん、脂しっかりですね!
タイ系の風味がしますが、旨味は弱め?
食感はちょっと水っぽいかな~~~。
冷凍しちゃった(宿で保管をした)せいか?こういうものなのか?
とはいえフツーレベルで、めっちゃうまい!というほどのものではないかな~~~
ま、シガテラ毒は味には影響しないようです。そりゃそうか。
怖いし、刺し身は5きれでやめとこうかな…
食べすぎない、だいじ!
バラフエダイの煮付け
次、煮付けにしてみましょう。
少量なので、ホットサンドメーカーで作りますよ。
めんつゆ・みりん・ショウガを流し込んでジュワ~~~っと加熱。
蓋をして…
ひっくり返して…
じーっくり煮付けたら、できあがり!
バラフエダイの煮付け。
いただきま~~~す!
はふ…はふ…
んっ!
ウマい。
食感ホロホロ。
柔らかすぎず硬すぎず。
身のほぐれ方がよくって、タイより好きかも?
単体では旨味が控えめでしたが、煮付けるとちょうどいい塩梅。美味しいですよこれ。
でもね、これもね、やっぱりシガテラが不安なのでね。
一つまでにしときましょうネ。
バラフエダイのソテー
最後、油との相性も見ておきましょう。
オリーブオイルでニンニクを熱して、そこにバラフエダイの切り身をドン。
弱火で、じ~~~~っくり火を通してできあがるのは…
バラフエダイのソテー。
厚めの切り身に油がからみ、実にうまそう。
毒魚なのを忘れちゃいそうですね…
いただきます!
ぱくぱく…ふかふか…
うん、これも美味しい。
ほどよくほぐれる肉質がいいですね、バラフエダイの肉質は加熱向きなのかもしれません。
これも食べすぎないように、5口までくらいにしておきましょう。
ごちそうさまでした。
…さて、どうなるシガテラ毒?
まとめ
まず報告。数シガテラ毒の症状は出ませんでした。日をおいても反応ありませんでしたので、無症状だと言って良いでしょう。今回は40センチほどの中型魚だったので何事もありませんでしたが、大型魚だと毒性が高い個体が多いそうなので、もっとでかいやつだとダメかもしれません。要注意。
で、バラフエダイは食べるべきか?
肝心の味はちゃんと美味しくて、刺し身だとやや水っぽいのですが、加熱すると美味でした。
とはいえ、メチャメチャに旨いものではないので無理して食べなくてもよいでしょう。無理して持って食べなくてもいい!どーしても食べたいなら小型のやつで、用心して、かな。
一般的に有毒魚として扱われている魚です。決して真似をして食べることのないよう、よろしくお願いします。
バラフエダイ
【採取場所】離島
【採取時期】夏~秋
フエダイ科フエダイ属。フエダイの仲間の中では大型のほう。甲殻類や魚など肉食性。1mを超えるサイズに成長する。シガテラ毒を保有する可能性のある魚の一種。南鳥島沖で漁獲された個体などで中毒の事例が報告されている。
参考にさせていただいた資料:Wikipedia、厚生労働省:自然毒のリスクプロファイル
琉球列島におけるシガテラ毒魚の年齢と成長が毒性に及ぼす影響評価
宣伝コーナー
【おまけ料理レシピ】なし
毒魚なので料理レシピはありません。
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