ナナカマドの真っ赤な実の味と酒に漬ける話
真っ赤で小鳥サイズの木の実はだいたいマズいし、なんならダメなやつ。
食べられない…
…なんて思っていたのですが、
中には美味しいものもあると知ったのは、とある秋の長野。でもってそれはナナカマド。
とある植物の先生の“フィールドワーク会"に参加させていてだいたとき、教えていただいたのです。
図鑑で見たことはあったのですが、高山植物で東京あたりにはいないのですよね…。奥多摩あたりにでもいかないと。
今回はそんなナナカマドの赤い木の実を味わったり、お酒に漬けてみたりする話です。
ナナカマドってのはどんな木?
場所は長野で、こちらがナナカマド。
道路脇に生えている雑木のひとつ。野生個体のためか、幹や枝が頼りない感じ、
細っこい枝に不釣り合いなほどたわわに実った赤い実。
重そうですね、少し軽くしてあげましょうか?
葉っぱはこんな感じ、左右に揃ってついてます。対生ってやつ。
手にとって見るとエッジがギザギザ、
葉脈や枝が赤く染まっているのが特徴でしょうか。慣れてきたら葉っぱだけで判別できそう。
カマド(竈)という名前が文字に入っていますが、
『燃えにくい木で、7日間焚いても燃え尽きないから。』ナナカマド。
また、
『7日間かまどに入れておくと良い炭ができるから、ナナカマド。』などなど複数の由来があるそうです。昔はよくこれをカマドに突っ込んだんでしょう。
実を手にとってみたら、こんなかんじ。
赤い木の身って、経験上有毒なイメージですが、これは無毒らしい。むしろ薬になるそう。
とはいえ基本的に"お酒につけるもの"であって美味しくはないそうですが、そのままでも食べられるそうです。
よく熟したものを、試しに1つ食べてみましょう。
ぱくり。ぷちっ。
ん!
渋っ!!
あ、でもちょっと甘くて、フルーティな香り。
しっかり熟した果実は液状で、口に中にナナカマドエキスが広がります。なんだか元気になりそうな味。
ちなみに、赤い木の実をつける植物は他にも、例えばナンテンとか。がいてこっちは毒があるので要注意。
ナンテンは葉がぜんぜん違うくて、エッジがつるりとしているので、よくよく見ていれば間違えないでしょう。
実だけだと中々見分けづらいので、葉っぱと合わせてチェックしてみるのが吉。
今回はこのナナカマドが沢山とれました。
せっかくなので持ち帰ってお酒につけてみたいと思います。
ナナカマドをお酒に漬けてみる
持ち帰ってきたナナカマドがこちら、
いい感じに色づいたものをたっぷり貰ってきました。
とはいえ、まだ秋のはじめで熟れきっていないものがほとんど。
一部の熟れているものは中身が液状化して、実が透き通っています。こっちのほうが良い味がでそう。
比率的には熟れてないものがほとんどですが、先生は「熟れてなくても味が出る」と言うてたし、まぁやってみましょう。
まずは房から実をはずしていきます。
ぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷち…
この手の食材は…
ぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷち…
この作業がなければ…
ぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷち……
もっと良いんですけど…
むけました!
イクラみたいで美味しそうですね?山いくら。
ビンに入れてみました。
でかいビンしかなくって、なんか大げさな感じ、
イクラに注ぐのは醤油ではなく、ホワイトリカー。果実酒にします。
こいつをトクトク~と注いで、
うん、やっぱり比率が悪い。
これに実と同量の砂糖を加え、しばらく起きましょう。
半年ほどで飲めるそうです。
そう、私は"待て"ができるハンター!
ナナカマド酒の味は?
3ヶ月ほど経過したものがこちら、真っ赤な色がでてきました。
実を入れっぱにしておくとエグみがでてしまいそうなので、ここで実をぬいてしまいます。
ん。
蓋とあけて、ふわっと香るのは…
柑橘系っぽいような、木の実のような、青臭いような、かいだことのない香り。
ザルで濾して実とお酒を分けます。実の色はすっかり抜けていますね。
代わりにお酒が赤く染まりました。チンキみたい。
既に美味しそうですが、ここから更に熟成させます。
期間は更に3ヶ月ほど。味をなじませるわけですね。
というわけで、更に半年熟成させます。
…んで、半年経過したものがこちら、
見た目はややくすんだか?ウイスキーみたいな色になりました。
のんでみましょう。
いただきまーす!
ぐび。
ん!美味しい。
砂糖が入っていて当然甘いのですが、ちょっと苦いのと種くさい?
なんとなく薬効がありそうな風味。効きそう…!
柑橘系のようなフルーティな香りもして、意外といけます。栄養ドリンクが好きな人はハマるかも?
徹夜で勉強するときとかに飲んでみようかな。
ごちそうさまでした。
まとめ
長野で食べられる赤い木の実、ナナカマドを教えてもらって、かじってみたり、酒に漬けて飲んでみたりしてみました。そのお味は柑橘っぽいものの、苦味とエグみがあって薬っぽい。
お酒に漬けたらまんま薬。飲むとなんだかギンギンになったような、そんな気がする味です。
おまけ:ナナカマドの花
夏に白くてフサフサした花をつけます。こんな感じ!
ナナカマド(七竈)
【採取場所】山すそ
【採取時期】秋~冬
【薬効】陳代謝の促進、疲労回復、貧血症、冷え性、精神安定、安眠など(n-s-nature)
バラ科ナナカマド属。高山帯に自生する落葉広葉樹。葉はぎざぎざで対生する。秋に枝が垂れ下がるほど沢山の赤い実をつける。この実には天然の保存料が含まれており、冬に枯れても綺麗に赤いまま残る。
参考にさせていただいた資料:Wikipedia、ヤマケイポケットガイド4 山菜・木の実
宣伝コーナー
図鑑を片手に木の実をひろうと楽しいですよ!
私がめっちゃ好きで超オススメの日本酒
果実酒を漬けると生活が豊かになります…が飲み過ぎにはご用心
【おまけ料理レシピ】ナナカマドのリキュール漬け
【材料】
ナナカマドの実 xたっぷり
ホワイトリカー35度 xナナカマドの実の2倍
砂糖 xナナカマドの実と同量
アルコールスプレー 食べ物OKのやつ(70度くらいのもの)
【作り方】
1.
ナナカマドの実をつんでくる。
真っ赤に染まり、更に液果になったものがよい。
ナナカマドの実は中々枯れず、冬に雪が降ってからでもつめる。
2.
実をさっと洗い、水気をきる。
3.
清潔なビンにナナカマドを入れる。
アルコールスプレーをふきかけ、ビンとナナカマドを消毒する。
4.
砂糖を加え、更にホワイトリカーを加える。
フタをし、1~3ヶ月おいておく。
5.
1~3か月後、ザルで木の実をこす。
更に3ヶ月経ったあたりが飲み頃。
合計1年くらい漬けたほうがいい味がするらしい。
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