コナギが田んぼに大量にいるので食べたら旨かった話

2023年9月20日野草・山菜コナギ,季節【夏】


東京都心にはいないけど、ひとたび郊外にでると大量にいる植物…

その一つがコナギ。

コナギの群落

それもそのはず、コナギは水田密着型の植物で、河川よりどちらかというと田んぼや湖などの止水で繁茂する植物。

田んぼのない都心にはいようがない…

ところが、ひとたび水田地帯にいけば、いるわいるわの大繁茂!農家の天敵ともいえる雑草らしい。

コナギの群生
コナギの群生

でもって、このコナギは食べられる種類の植物で、昔はけっこう食べていたとのこと。

なるほど、食べられる嫌われ者。逆に大好き。ぜひとも食べてみなくては…!

というわけで、今回はそんなコナギを食べてみる話ですよ。

コナギと水性昆虫観察会

コナギと出会ったのは、昆虫マニアに連れてってもらった水生昆虫観察会。

田んぼ

郊外のとある水田にやってきて、水路でガサガサ。

とれたのはミズカマキリとか。

ミズカマキリ

ゲンゴロウやその幼虫。

ゲンゴロウの幼虫

コオイムシ。

コオイムシ

水生昆虫王者、タガメ。

タガメ成虫

などなど。夏の水路は色々な昆虫が見れて楽しいですね。

そんなときに出会ったのが…

コナギの群生

この草。

コナギの群生

田んぼの隙間にワッサーー!としげる水草タイプの植物。

コナギというらしい。

コナギの群落

水田に適応した雑草で、根強く、駆除するのが大変なんだとか…。

でも食べられる植物らしいんですよコレ。

コナギってこんな草

水田にいがちな雑草、それがコナギ。小ネギじゃないですよ。

田舎の水田をめぐれば、必ずといっていいほど出会うことができます。地中に根をはり、特徴的な葉をたくさん出す姿で分かりやすい。

コナギの群落

葉っぱをちぎってみました。

すーっとのびた茎の先に、つるりとした水滴型の葉っぱ。

コナギの葉っぱ

茎は浮草らしく、しっかりしつつも軽くて肉厚。浮力ありそう~。

とはいえホテイアオイみたいな浮袋はありません。どちらかといえばホウレンソウの茎みたいな感じ。

コナギの葉っぱ

ホウレンソウといえば美味しそうですが、それもそのはず!

コナギは大量に生えるためか、昔から食料にされてきたそうです。それこそ万葉集に記載のあるくらい。

コナギの葉っぱ

硬すぎず、それでいて肉厚な質感で、まあまあ食べごたえありそう。

これは味見をしてみないといけないのではなかろうかっ。

農薬と水生昆虫のハナシ

この田んぼはコナギがわさわさ。めっちゃ生えていたのですが、

どうもコイツが育ちすぎると稲の生育を邪魔するらしくって、駆除のためによく除草剤が使われるそうな…

コナギの群生

でも除草剤を使っちゃうと、水性昆虫とか薬に弱い生き物もやられちゃう…

特にタガメは農薬に弱いらしく、無農薬に近い世界でしか生きていけないんだそう。

タガメ幼虫
タガメの終齢幼虫、まだ羽はありません

しかし、農薬を使わないと、それはそれでコナギが繁茂して美味しいお米の邪魔をする…

うーん!

自然とはままならんものです。

せめてコナギでも食べてやるとしましょう。そうしましょう。

コナギを料理する

というわけで、とってきたコナギがこちら。

とってきたコナギ

若い葉っぱをちぎってとってきました。

食べたことのない食材で、ワクワク。

とはいえ中国やベトナムでは売ってるくらいの食材なので、約束された美味しさ…の予定。

とってきたコナギ

なんとなく質感がほうれん草的なので、卵焼きにでもしてみることにします。

あとシンプルなおひたしかな。

コナギの料理
卵はブラマーという品種のもの

野生でとれたもの。キレイな場所水にいたとはいえ、まずは下茹で。ほんのり塩を加えたお湯でゆでますよ。

コナギをゆでる

うわ!浮いて茹でづらい…

まぁそりゃそうか、浮草ですもんね。

コナギをゆでる

2,3分ほど茹でてしんなりしてみました。茹でてもなお浮く。

コナギをゆでる

ギュッと絞って

コナギをゆでる

おひたしにすべく、出汁醤油につけます。

しかし水をはじいて、つからない…

まるで観葉植物を料理している気分…

コナギを料理する

…と、思っていたのですが、

冷めたのをもんだら、急にシュッとなりました。ようやく観念しましたか逞しい雑草め。

コナギを料理する

これでおひたしが完成なわけですが、その半分は卵焼きにします。

卵とあえて~

コナギを料理する

フライパンで焼きます。

じゅー!

コナギを料理する

焼けたのを盛り付けて…こんな感じ?

コナギ定食。卵焼き & おひたし。

コナギの料理

こうなってくると浮草感や雑草感は消えて、美味しそうに見えるから料理ってすごいですね。

コナギを食べてみる

まずはコナギの葉っぱのおひたしから、ゴマかけると急に美味しそうに見えますね。

コナギのおひたし

コナギの味はいかに!

いただきまーす!

コナギのおひたし

もぐもぐ…

ん、美味しい。

触感はネギ系かな。ネギの青いぶぶん。でも味はネギ臭はなく小松菜みたいなシンプル系。

コナギは、小菜葱と書くのですが、まさにその通り。ネギらしい食感の菜なのでは菜かろうか。辛子ミソをつけてヌタにしたら美味しそうだ菜!

お次はコナギいり卵焼き。ちょっと違う品種の卵を使ったらメッチャ黄色になりました。

コナギ入卵焼き

ではでは、いただきます。

ふむふむ。もぐもぐ。

こちらも美味しい。

コナギ入卵焼き

出汁醤油で味のついたコナギが、卵焼きとマッチしますね。

やや繊維感がありますが、ネギ的なものなので、問題なくいけます。でも軽く包丁を入れたほうが食べやすいか菜。

コナギ入卵焼き

総じて、コナギ、アリですよ!

ごちそうさまでした。

まとめ

水田にはびこるコナギを食べてみました。食感は食べ慣れたネギの青いところ(ネギ臭はしません)で、かつ味はネギ臭やクセがなく小松菜のようで食べやすい。とっても庶民的な味の野草です。

場所によっては大量に生えているので、また田んぼに遊びにいったときは持って帰ってみようかな?日本でも食品として流通させたら、そこそこ売れそうなもんですが、需要ないのかなあ。もったいない。

オマケ:コナギの花

花はこんな感じ!花茎の背が高く、複数花をつけるものは"ミズアオイ"という別種とのこと。

コナギの花
コナギの花@wikipediaより

コナギ(小菜葱)

【採取場所】水田
【採取時期】6月~8月
【薬効】解熱、解毒、利尿、など(参考資料より)
ミズアオイ科ミズアオイ属。水田によく生えるやっかいな一年草。イネより早く育つため、イネの光や養分を奪ってしまう。農薬が効くため、近年はそれほど見かけなくなった。以前は食物として利用したそうで、万葉集にも記述がある。ベトナムや中国などでは現在でも食用する。

参考にさせていただいた資料:Wikipedia、田んぼの生き物図鑑、Tra cứu dược liệu Việt Nam(Tra cứu dược liệu)Baido百科(鸭舌草)

宣伝コーナー

田んぼの生きもの図鑑。コナギも乗ってますよ!

めんつゆはコレが一番すき。ダシの風味がしっかり

田んぼに入るには長靴が必須。オススメはコレ。軽くてかさばらず丈が長い!

【おまけ料理レシピ】コナギの卵とじ

【材料】
コナギ x両手いっぱい
卵 x2~3個
砂糖 x好みで
醤油 x適量
ニンニク x1片
オリーブオイル x適量(多めがオススメ)

【作り方】
1.
コナギは若く葉っぱが硬すぎないものを選んでつむ。
よく水で洗い、ざっくり1~2回包丁を入れておく。

2.
フライパンにオリーブオイルをしき、弱火で薄切りにしたニンニクを香りが出るまで炙る。
コナギを投入し、中火でしんなりするまで炒める。
しんなりしたら、醤油で味付けする。

3.
卵を割り、好みで砂糖を加え、かきまぜておく。
フライパンのコナギがしんなりしてきたら、卵を加え、2とあえる。

4.
卵焼きやオムレツのように好みの硬さで固めたら完成。
好みで醤油かめんつゆをかけていただく。