コナギが田んぼに大量にいるので食べたら旨かった話
東京都心にはいないけど、ひとたび郊外にでると大量にいる植物…
その一つがコナギ。
それもそのはず、コナギは水田密着型の植物で、河川よりどちらかというと田んぼや湖などの止水で繁茂する植物。
田んぼのない都心にはいようがない…
ところが、ひとたび水田地帯にいけば、いるわいるわの大繁茂!農家の天敵ともいえる雑草らしい。
でもって、このコナギは食べられる種類の植物で、昔はけっこう食べていたとのこと。
なるほど、食べられる嫌われ者。逆に大好き。ぜひとも食べてみなくては…!
というわけで、今回はそんなコナギを食べてみる話ですよ。
コナギと水性昆虫観察会
コナギと出会ったのは、昆虫マニアに連れてってもらった水生昆虫観察会。
郊外のとある水田にやってきて、水路でガサガサ。
とれたのはミズカマキリとか。
ゲンゴロウやその幼虫。
コオイムシ。
水生昆虫王者、タガメ。
などなど。夏の水路は色々な昆虫が見れて楽しいですね。
そんなときに出会ったのが…
この草。
田んぼの隙間にワッサーー!としげる水草タイプの植物。
コナギというらしい。
水田に適応した雑草で、根強く、駆除するのが大変なんだとか…。
でも食べられる植物らしいんですよコレ。
コナギってこんな草
水田にいがちな雑草、それがコナギ。小ネギじゃないですよ。
田舎の水田をめぐれば、必ずといっていいほど出会うことができます。地中に根をはり、特徴的な葉をたくさん出す姿で分かりやすい。
葉っぱをちぎってみました。
すーっとのびた茎の先に、つるりとした水滴型の葉っぱ。
茎は浮草らしく、しっかりしつつも軽くて肉厚。浮力ありそう~。
とはいえホテイアオイみたいな浮袋はありません。どちらかといえばホウレンソウの茎みたいな感じ。
ホウレンソウといえば美味しそうですが、それもそのはず!
コナギは大量に生えるためか、昔から食料にされてきたそうです。それこそ万葉集に記載のあるくらい。
硬すぎず、それでいて肉厚な質感で、まあまあ食べごたえありそう。
これは味見をしてみないといけないのではなかろうかっ。
農薬と水生昆虫のハナシ
この田んぼはコナギがわさわさ。めっちゃ生えていたのですが、
どうもコイツが育ちすぎると稲の生育を邪魔するらしくって、駆除のためによく除草剤が使われるそうな…
でも除草剤を使っちゃうと、水性昆虫とか薬に弱い生き物もやられちゃう…
特にタガメは農薬に弱いらしく、無農薬に近い世界でしか生きていけないんだそう。
しかし、農薬を使わないと、それはそれでコナギが繁茂して美味しいお米の邪魔をする…
うーん!
自然とはままならんものです。
せめてコナギでも食べてやるとしましょう。そうしましょう。
コナギを料理する
というわけで、とってきたコナギがこちら。
若い葉っぱをちぎってとってきました。
食べたことのない食材で、ワクワク。
とはいえ中国やベトナムでは売ってるくらいの食材なので、約束された美味しさ…の予定。
なんとなく質感がほうれん草的なので、卵焼きにでもしてみることにします。
あとシンプルなおひたしかな。
野生でとれたもの。キレイな場所水にいたとはいえ、まずは下茹で。ほんのり塩を加えたお湯でゆでますよ。
うわ!浮いて茹でづらい…
まぁそりゃそうか、浮草ですもんね。
2,3分ほど茹でてしんなりしてみました。茹でてもなお浮く。
ギュッと絞って
おひたしにすべく、出汁醤油につけます。
しかし水をはじいて、つからない…
まるで観葉植物を料理している気分…
…と、思っていたのですが、
冷めたのをもんだら、急にシュッとなりました。ようやく観念しましたか逞しい雑草め。
これでおひたしが完成なわけですが、その半分は卵焼きにします。
卵とあえて~
フライパンで焼きます。
じゅー!
焼けたのを盛り付けて…こんな感じ?
コナギ定食。卵焼き & おひたし。
こうなってくると浮草感や雑草感は消えて、美味しそうに見えるから料理ってすごいですね。
コナギを食べてみる
まずはコナギの葉っぱのおひたしから、ゴマかけると急に美味しそうに見えますね。
コナギの味はいかに!
いただきまーす!
もぐもぐ…
ん、美味しい。
触感はネギ系かな。ネギの青いぶぶん。でも味はネギ臭はなく小松菜みたいなシンプル系。
コナギは、小菜葱と書くのですが、まさにその通り。ネギらしい食感の菜なのでは菜かろうか。辛子ミソをつけてヌタにしたら美味しそうだ菜!
お次はコナギいり卵焼き。ちょっと違う品種の卵を使ったらメッチャ黄色になりました。
ではでは、いただきます。
ふむふむ。もぐもぐ。
こちらも美味しい。
出汁醤油で味のついたコナギが、卵焼きとマッチしますね。
やや繊維感がありますが、ネギ的なものなので、問題なくいけます。でも軽く包丁を入れたほうが食べやすいか菜。
総じて、コナギ、アリですよ!
ごちそうさまでした。
まとめ
水田にはびこるコナギを食べてみました。食感は食べ慣れたネギの青いところ(ネギ臭はしません)で、かつ味はネギ臭やクセがなく小松菜のようで食べやすい。とっても庶民的な味の野草です。
場所によっては大量に生えているので、また田んぼに遊びにいったときは持って帰ってみようかな?日本でも食品として流通させたら、そこそこ売れそうなもんですが、需要ないのかなあ。もったいない。
オマケ:コナギの花
花はこんな感じ!花茎の背が高く、複数花をつけるものは"ミズアオイ"という別種とのこと。
コナギ(小菜葱)
【採取場所】水田
【採取時期】6月~8月
【薬効】解熱、解毒、利尿、など(参考資料より)
ミズアオイ科ミズアオイ属。水田によく生えるやっかいな一年草。イネより早く育つため、イネの光や養分を奪ってしまう。農薬が効くため、近年はそれほど見かけなくなった。以前は食物として利用したそうで、万葉集にも記述がある。ベトナムや中国などでは現在でも食用する。
参考にさせていただいた資料:Wikipedia、田んぼの生き物図鑑、Tra cứu dược liệu Việt Nam(Tra cứu dược liệu)、Baido百科(鸭舌草)
宣伝コーナー
【おまけ料理レシピ】コナギの卵とじ
【材料】
コナギ x両手いっぱい
卵 x2~3個
砂糖 x好みで
醤油 x適量
ニンニク x1片
オリーブオイル x適量(多めがオススメ)
【作り方】
1.
コナギは若く葉っぱが硬すぎないものを選んでつむ。
よく水で洗い、ざっくり1~2回包丁を入れておく。
2.
フライパンにオリーブオイルをしき、弱火で薄切りにしたニンニクを香りが出るまで炙る。
コナギを投入し、中火でしんなりするまで炒める。
しんなりしたら、醤油で味付けする。
3.
卵を割り、好みで砂糖を加え、かきまぜておく。
フライパンのコナギがしんなりしてきたら、卵を加え、2とあえる。
4.
卵焼きやオムレツのように好みの硬さで固めたら完成。
好みで醤油かめんつゆをかけていただく。
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