エビヅルとノブドウとその利用法
今回はエビヅルというブドウの仲間についてのお話!
初夏のとある日、植物の観察&採取の会にお誘いいただきまして、軽いトレッキングをしてきました。
植物の先生である"仙人"がそこらに生えている植物についてイロイロ教えてくれるという会。
トウオオバコやボタンボウフウなどなど、
知らなかった植物や、気になっていた植物について教えていただけたりして、学びの多い一日でした。
さて、今回はその中でエビヅルという植物を食べてみたのでその見分け方と食レポになります。どうぞご査収下さい。
エビヅルという植物を知った
さて教えてもらった植物のひとつエビヅル。
それは道端の垣根みたいなところにからまって生えていました。
つる植物的な見た目で、仙人いわく先端が食べられるとのこと。
ブドウの仲間だそうで、身近なブドウ科であるヤブガラシ(一年草)よりもよっぽどブドウに近いみたい。
木質化する植物で、分かりやすい特徴は葉っぱの裏が産毛に覆われているところ。
まだ青いですが実もついていました!
これは熟したら食べられるそーです。
秋の楽しみが増えました!やったぜ。
余談、○○目のはなし
面白いもので、いちど植物の特徴を知ると他の場所でもその植物が目につくようになります。
別日によく通う山地で見た、フェンスに絡まっているこの葉っぱ…
んん…
もしや、これもエビヅルなのではなかろうか?
手にとって見ると表の葉っぱの質感がおんなじ!やはり!
こういうのをよく「○○目」とか表現します。
いままで見えなかったものが見えるようになるというわけ、今回の場合はエビヅル目(め、もくではないですよ!)といったところでしょう。
<ピコーン)
野草採取はRPGやってるみたいで楽しいです。
よく似たノブドウ・ヤマブドウとの見分け方
エビヅルに近くに生えていたこの植物。同じようなつるで、同じようなブドウ似の葉っぱなのですが…
別種でこちらはノブドウという名前とのこと。ブドウの仲間というところまでは同じですが、利用方法が異なるのだそうです。
ぱっとみ同じに見えるのですが…簡単で葉っぱの裏を見れば一発!
つるっつる!
このとおり、エビヅルには生えてた産毛がノブドウにはないのです。近縁種なのに違うんですね~、面白いです。
ちなみにノブドウも新芽は食べられるそうですが、この時期はすでに新芽は無さそうでした。
代わりにノブドウは実が良い感じに熟し始めていたのですが、これは食べられないそう。残念!
でもお酒に漬けると薬になるのだそうですよ。
※ブドウ類をお酒に漬けることは法律で禁じられているのでご注意下さい。ノブドウも含まれるのかは知りません。
ヤマブドウもこの仲間
因みにこの仲間に他にヤマブドウという植物がいますが、こっちは葉っぱの裏の産毛が褐色みたいです。
以前に実を食べたのですがとても香り高く美味でした。いずれ念入りに観察して違いをレポートしたいところ!
エビヅルを食べてみた
さて、とってきたエビヅルがこちら。
エビヅルのほかサルトリイバラの新芽が混じっていますが、それはまた別の話で~
ブドウの新芽は新鮮だとブドウ的な酸味や香りがあるとのことですが、エビヅルはどうなのでしょう?
どうやって食べるか悩んだのですが、少量ですし今回は定番の天ぷらにしてみます。
衣をつけて油でジュワーっと!ね。
さくっと完成、
エビヅルのかき揚げ。
バッチリ黄金色に揚がりました。
さっと塩をふっていただいてみましょう~
もう手づかみでいいよね!
いただきま~~~す。
サクッ♪
バリバリ…
しっかりめに揚げたエビヅルのかき揚げの食感はほどよくクリスピー。穂先のやわらかな食感と合わさって単純に香ばしくて旨い。
肝心のブドウの香りは~~
どうかな~~~?
しないかなあ…?
量が少なかったし、1つ1つが小さいですからね。揚げてとんじゃったかもしれません。
ちょっぴり残念ですが、山菜としては単純にうまいです。
ごちそうさまでした。
まとめ
エビヅルはブドウの仲間で新芽も実も食べられるエラいやつ、試しに新芽を食べてみたところ柔らかな食感で美味でした。次は実も味わってみたいところ。
今回はブドウの香りをひきだせませんでしたが、おひたしなんかにしたら香りませんかね…?次はたくさんとってそっちもやってみたいところ!山野で目につくようになりましたしね。
まとめるとこんな感じ
在来三種の野生ブドウのポイントをまとめるとこんな感じ!
名前 | 大きさ | 葉の裏 | 実 | 実をお酒に漬けるのは? |
エビヅル | 小さい、垣根サイズ | 白い産毛が生えてる | 食べられる | 法律で禁じられている? |
ノブドウ | 小さい、垣根サイズ | つるっとしている | 食べられない | 法律で禁じられている? |
ヤマブドウ | 大きい、大木に巻きつくサイズ | 赤褐色の産毛が生えている | 食べられる。美味 | 法律で禁じられている |
エビヅル(葡萄蔓)
【採取場所】山裾
【採取時期】初夏(葉)、秋(実)
ブドウ科ブドウ属。身近なブドウの仲間でつる性の木本。人里だとフェンスや垣根に巻き付いている事が多い。ブドウに似た葉で裏に産毛が生えるのでわかりやすい。初夏の新芽が食べられるほか、秋にはくろぐろとした果実が採取できる。
参考にさせていただいた資料:Wikipedia、 EVERGREEN 植物図鑑、BOTANICA
宣伝コーナー
【おまけ料理レシピ】エビヅルのエビエビかき揚げ
【材料】
エビヅル x片手いっぱい(1枚分)
むき小エビ xエビヅルと同量 ※なくても良い
卵 x1個
小麦粉 x1カップ
水 x1カップ
油 xたっぷり
【作り方】
1.
エビヅルは穂先の手でちぎれる部分を採取する。
持ち帰った後はさっと洗って水をきっておく。
2.
むき小エビは塩をして5分ほどおき洗ってぬめりをとっておく。
冷凍ならそのままでOK。
3.
卵をといて、小麦粉と水と合わせる。水は冷水を使う。
季節によって具合が変わるので、半分位から微調整しながら入れるのがベター。
“少し粘度があるけど飲めなくはない"くらいの濃度にする。
4.
油を180度に温める。2を少量落としてすぐ浮いてくるくらいになればOK。
1・2を3に落とし、しっかり絡める。それを手でつかんで油に落とすと丁度いい具合になる。
5.
菜箸で固まりができないよう油に浮かべる。
浮かしたまま、真ん中にまとめるように優しく動かしてると勝手にくっついてかき揚げ型になる。
火が通ってきたら、箸でつかんでひっくり返す。
6.
キツネ色に揚がったら完成。
塩で食べるのがオススメ。
ディスカッション
コメント一覧
エビズル、ノブドウについて。
この二種はブドウ科ですが、属が違います。エビズルはブドウ属(ヤマブドウもブドウ属です)、ノブドウはノブドウ属です。
ユリ科で言うとエビズルとノブドウは、ユリとチューリップくらいの関係です。エビズルとヤマブドウの場合は、オニユリとヤマユリくらいの関係ですね。
そして果実酒ですが、ブドウ属が禁止されているのは、ブドウのアルコール抽出液がワインの代用となるのを避けるため(ちょっと馬鹿馬鹿しい理由ですね)なので、ノブドウは対象外です。
同じ理由で米や麦の果実酒も規制対象になります。
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